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名前を知らずに 白い花

昔、つきあっていた人(今の主人)との散歩中に、きれいな白い花が咲いていました。小さな白い花がたくさん、流れるように咲いていました。名前の知らない花でしたが、とても気に入りました。

「今日はいい花にあえて良かった!」

「良かったねー!」

と言いあいました。家から遠い町の公園でした。


さて、数年後、結婚報告をかねて、大好きな叔父の家に遊びに行きました。庭には叔父の可愛がっている花が可愛らしく咲いていました。

「これはね、キンギョソウ。これは、ヤマブキの花が咲くよ。これは球根。チューリップは、終わっちゃったんだ」

「この石は何?」

「この敷き詰めた石はね、屋根から雨垂れがあるから、土だと穴があいてしまうんだ。だから砂利を敷いているんだよ」

「へえ~」

好きな花の話をしているときの叔父は、それはそれは嬉しそうで、本当に植物を可愛がっているのだな、と思いました。

好きな花の話で、叔父は、

「そうそう、しばらくすると、『ユキヤナギ』という花があちこちで咲くよ。雪のようでね、綺麗で大好きなんだ」

へぇ。見てみたいな。と思いました。

帰りも、叔父と花々のお見送りが、嬉しかったです。それで、今はもう、叔父は、いないのですけれどもね。


ある日、歩いていると、また、いつか公園で見た、名前の知らない、可愛い白い花に出会いました。

その頃、花の名前を調べるのがマイブームだったので、調べてみました。それは、

『ユキヤナギ』

でした。

ああ、この白い花がユキヤナギだったのか。と、驚いて、叔父に再会できたような気がして、嬉しくて涙があふれるようでした。


それで、今年も、ユキヤナギが咲く季節になると、いつも、ながめて、懐かしくて、嬉しいような、不思議な気分になるのです。


ちょっとしたようなユキヤナギの思い出ですが、宝物なのです。

ただし、よく思い出すと、季節を間違えて記憶しているかもしれないので、あやふやな話です。

今日は春の彼岸入りなので、叔父に、ありがとう、と、心のなかで思います。



さて、こちらは、散歩で撮った写真。

帰ったら、主人に見せています。良かったねー! と、喜んでくれます。すると、私も嬉しくなるのです。

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また喜んでくれると嬉しいです。

どうもありがとうございました。

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