宇宙SF3:廃墟宇宙の果て

第一話

これの続きです。


命からがら爆発から逃げてきた俺と彼女と愛犬のボスは、俺の職場である廃墟の手前あと数十メートルの所にいた。
瓦礫を乗り越え、急いでいると、彼女のヒミカが言った。
「ボス? ボスはどこ??」
「ボス?!」
ワンワン!
彼女の愛犬のボスは大きな壁の前で、一生懸命壁を開けようという仕草をしていた。
おい、ボス。そこは壁だぞ。早く逃げないと……。
と、俺がボスを強引に連れてゆこうとしたときだった。
「まって! ボスは何かあると思うの」
「何か?」
「ボスの鼻はきくのよ!」
ボスの様子をよく観察すると、壁に爆発であいた穴の斜め奥の方を気にしている様子だった。
そこを覗き込んで、俺は驚いた。
こいつは……、百年前の扉、それも伝説と思われていた施設の扉だ!!
「なんてこった……! こんな時に……!!」
その施設の扉は、俺達の仕事の大目的であり、この国の将来がかかった重要な施設の扉であったのだった。
バアン!!!
また、爆発が起きた。
四の五の言っている暇はない。この百年前の扉を開けて、中に入らなければならない。そうでなければ……!
バババアン!!
「ユート、任せて!」
「ヒミカ?!」
ヒミカはひょいと壁の穴に手を乗せると、スルリと上がり、穴の中へと入っていった。
「ヒミカ!」
ワンワン!
ガガ……ゴゴゴゴ……バリバリバリバリ……!!!
壁が崩れて、百年前の扉が開いた。
その施設は、宇宙船の、秘密の管制塔の扉であったのだった。
二人と一匹は急いで中に入り、身を隠した。
ゴゴゴゴゴゴ……!
そして、百年前の扉はまた閉まったのだった。



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