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ヘイ!タクシー!

昨日、ランチの帰りに道路を横断しようとしたら、ちょうど一台のタクシーが目の前を通った。
その瞬間、ふと手を挙げたい衝動に駆られたわたしは、ある出来事を思い出す。

それはこども時代のこと。
通りすがりのタクシーを拾う大人に、なぜか憧れを抱いていたわたしは、いつかじぶんで手を挙げてタクシーを止めてみたいという、変な夢を抱いていた。

ところが、田舎育ちで車社会だったのもあって、なかなかその夢を叶えられずにいた保育園児は、ついにそのチャンスを掴むことになる。
ある日、お母さんと回覧板を渡しにすこし離れたご近所さんの家まで歩く最中、一台のタクシーが走ってくるのに気づく。
これは、いましかない!と思い立った園児は、キョロキョロしながら、ちょっと控えめに手を挙げてみる。
すると、ちょっと戸惑っているのか減速してくれるタクシーに気づいた園児の母は、すこし慌ててその手を下ろさせ、車に向かって一礼する。
それに気づいた運転手さんは、笑いながら加速して通りすぎていった。
母も、ダメでしょう?!と言いつつも笑っていたから、わたしもごめんなさいと言いながらも、へへへっと笑ってなんだか味を占めてしまいそうだった。

きっと都会や繁華街なら怒られるようなイタズラも、田舎街だったからか笑って許してくれる寛容さがあったように思う。

いまでは地方出張や帰省の際、タクシーを利用する機会があり、その度に運転手さんから話しかけてくれる。
それは、田舎の醍醐味にも感じる。

あの頃のよくわからない小さな夢は、いまでは簡単に叶えられる非日常に変わった。
そんな日常や非日常は、たぶん山ほどあるはず。
また思い出したいね。

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