労働政策研究・研修機構より管理職の働き方について調査研究結果が出ました


独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)はいわば労働政策に特化した国のシンクタンクですが、将来の政策検討の基礎資料となる調査をさまざまなテーマで行っています。
このほど、現場の実態として「そりゃそうだよなぁ」と共感できるテーマの調査結果が公表されたので以下にご紹介します。
働き方改革を進めろと言われても、結局中間管理職にしわ寄せが来てる。プレーイング・マネージャーじゃなくてマネージング・プレーヤーでひぃひぃ言ってるのに何を今さら、とおっしゃるなかれ。
「何を今さら」がこうして正式な調査結果としてまな板の上にのぼったということは、行政が将来的に政策立案する際に根拠となる基礎資料として市民権を得た、ということです。1ミリでも、1センチでも。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2022/254.html
(以下、ウエブサイトの記述から抜粋)
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資料シリーズNo.254
管理職ヒアリング調査結果
―管理職の働き方と職場マネジメント―

働き方改革が進められ、労働時間に関する法律制度も改正されたが、それを実行するのは個別企業や職場である。先行する諸研究にかんがみると、業務の分担や采配を担う管理職にこそ、労働時間をはじめとした職場にかかわる様々な問題に対処しうる重要な鍵があると考えられる。そこで本調査は、管理職者に対してヒアリング調査を行うことで、管理職自身の働き方や職場管理の実情を把握し、今後の実務的政策的課題の参考となり得る諸情報の獲得を試みた。
(略)
管理職自身の働き方については、プレイングマネージャーであることが多く、特に管理業務が多いことによって多忙となり、労働時間も長い傾向にあった。会社以外でも仕事をこなさなければいけない状況にあることも垣間見られた。また、予算・人員等に関する自身への権限の不足が、業務効率化等を進める上での課題として認識されていた。
(略)
管理職は、担当部署の業務管理のほか、部下の業務分担や進捗の管理、残業等の労働時間管理、評価や育成など多様な役割を担っている。その中で、業務成果や効率化を目指して、様々な創意工夫を行なっている。一方、管理職自身の働き方においては、長時間労働になりやすいことがうかがえた。現場管理職の担っている役割の大きさと同時に、その負荷の重さも確認された。特に、会社の働き方改革(残業削減)の動きの中で、管理職の業務負荷が増え、労働時間が長くなっている面がある。また、業務成果の達成や業務効率化に励みながらも、権限不足から歯がゆい思いもするなど、中間管理職としての苦労や苦悩がうかがえた。
(略)
働き方改革の目的は、単なる一般社員の残業削減にとどまるものではない。仮に一般社員の残業が短縮された場合でも、業務の見直しが進まなければ、管理職の業務負担が増加するなど、別の形での労働負荷となって現れる可能性がある。ヒアリングを行った管理職が所属する企業においては、依然として業務量や忙しさを課題としている例が少なくなく、その背景として、業務の性質、顧客都合、職場風土などが挙げられた。日々の業務量・進め方や職場風土を会社全体で見直すことが、持続可能な働き方の見直しにつながると考えられる。
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