カスハラ対策マニュアルが公表されました

昨日2022年2月25日付で厚労省から「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等が公表されました。
令和2年の告示第5号(いわゆる「パワハラ防止指針」)の「望ましい取組」の「7」で言及された「他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメント」や「顧客からの著しい迷惑行為」への企業対応につき、行政として一つの答を出しています。


※ちなみに「他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメント」とはBtoB、すなわち法人顧客(得意先)担当者等からのパワハラであり、「顧客からの著しい迷惑行為」とはBtoC、すなわち店頭などで消費者から受ける悪質なクレームを指すようです。
これまで「パワーハラスメント」とは「職場の」という枕詞が必ず付いており、上司、先輩、同僚を含め事業主と雇用関係にある(あるいは業務委託や派遣受入も含む)職場の人間関係に限定されていた、と言っても良く、こういった顧客筋からのものは厳密にはパワハラとは言っていなかったのですが、今般の指針から就活生、インターンシップ生、フリーランスの発注先など雇用関係がなくても取引上立場の弱い人びとに行ってはならないとされる一方、BtoBやBtoCの顧客からの行為にも一歩踏み込んでいます。


パワハラ防止指針「7」のポイントは、カスハラに対応するマニュアルを作っておくこと、現場前線の労働者に対応を丸投げせず組織として対応すること、メンタル不調を含む労働者の相談や苦情に応じる体制を作ること、などですが、残念ながら企業内パワハラと同じく行為者を止める手立てや直接的に行為を禁止する規定などはありません。


カスハラについては、法制化に先立つ「検討会」でも特に成蹊大の原昌登先生が強く問題提起され、連合の調査でも大きな問題としてクローズアップされていました。特に消費者向けのサービス業の加盟が多いUAゼンセンの調査結果では「土下座を強要された」「脅迫された」「メンタル不調に陥った」など現場で働く人びとの悲痛な声が集約されています。
https://uazensen.jp/2020/12/22/3388/


一般に○○ハラと何でもハラスメントにする風潮には賛成できませんが、このような大切な問題では新たな造語が社会の認識を変えるきっかけになる上で必要だと思います。


https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24067.html


#パワハラ #カスハラ #連合 #UAゼンセン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?