理解するという作業を文章で表現する 〜“理解“の負の影響と向き合いながら〜

多くの場合、一度何らかの形で「理解」してしまうと、たとえその後事情変わってしまってもその「理解」をアップデートすることは難しい。
知識がアップデートされないことは、少しずつ、私たちの目を曇らせていく。
初めの段階で、誤解もなく、あとあと事情が変わっても対応できる完璧な理解ができれば良い。でも、そんな理解は簡単ではない。簡単ではないから、妥協した理解で済ませてしまう。
これは、「理解」することの負の影響だ。

“理解“することが必要な場面で、簡単な理解しかできない。そんな時に、負の影響を軽減する方法はあるのだろうか?
理解の負の影響を減らしながら、将来理解をアップデート可能なようにする、そんなことはできるのか?

今回は、最近自分が研究で行った“理解“に向けた作業を、文章に書き起こしたい。

研究の中で

最近、研究をしている中で、“理解“というものと向き合う機会を、たまたま得た。
あるソフトウェアの出力を信じれば、AからBに変換できる。でもそのソフトウェアにはオプションがたくさんあり、それぞれでAからBへ変換した結果が変わってしまう。私は、今手元にあるAをBに変換したい。そんな状況。

ただ、オプションがいっぱいある、では埒があかないので、どうしてそのオプションで色々と違うのか、その背後にある理論は何か、調べることにした。

資料はある、しかし…

幸い、それを概ね説明している資料と出会った。その論文を書いた人にも質問できる。
しかし、自分が欲しいものをピンポイントで説明しているわけではないので、その資料から解釈して必要な数式に変換しないといけない。
それができない。今までこの分野をサボってきたツケが回ってきている。

それでも、時間の余裕があるわけではないので、仮のやり方で良いので、AをBに変換したい。一度仮のやり方をまとめてしまえば、後でここに戻ってきて時間をかけて勉強することができる…

とりあえず、簡単な「理解」をして、変換したい。ここで、どんな「理解」をすれば良いのだろうか?

先日「理解」とは何か、という記事を書いた。「理解」とは、いろいろなバリエーションがあって、単純なものではない。人によって、何を指しているかも異なる。


では、私は、この場面でどんな「理解」をすれば、先に進むことができるだろうか?

1番ダメなのは、勘違いで、見当違いのことをしてしまい、それを修正するのにものすごい時間がかかるパターン。
今回は、幸いにも、AからBへの変換を、ソフトウェアで計算できる。
なので、背後にある理論を解釈して、手計算した結果を、ソフトウェアの出力と比較することで、自分が大きな間違いをしていないかどうか確認できる。
そこで、今回は、手計算でソフトウェアでの変換を概ね再現できること、を簡単な理解と呼ぶことにした。

手計算でAからBへの変換を再現する、その観点で資料を読み直す。

手計算をする、とは、
資料に書いてある論理をもとに、すごく簡単な変換式・数式を作り、それに実際に数字を当てはめるということ。
今回の例で行くと、理解のために、
1. 資料に書いてある論理を解釈して、変換式を作ること。
2. 変換式に数値を当てはめ、電卓で計算する。
3. ソフトウェアの出力と比較する。
4. 一致しなかった場合、資料を読み直し、変換式を修正する。
の手順で作業をすることにした。

ここまでで、今回の場合の理解する、ということを文章に書き起こすことができた。

「理解」をするための作業を、文章に書き起こしてみた。

GW前後に、実際にこの手順で作業をした。
この手順で資料を読み込んでみると、疑問点がいくつか浮かんだ。幸い時々やりとりしている方が著者なので、質問のメールができる。

資料を読んで、先程の手順で理解を試みて、わからないところをさらに資料を読んで、どうしてもわからないところをメールで質問する。この繰り返し。
正しいやり方かはわからないけど、理解に向けた作業の、一つの例。

皆さんは、どうやってわからないことを理解していますか??

最後までお読みいただきありがとうございます。私たち大学院生にとっては、多くの人に実情を知ってもらうことがなによりの支援になります。普段の会話やSNSで大学院生について話題にしていただけると大変ありがたいです。