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電動自転車が重いんだけど、そんな重みもあと6ヶ月もないんだと気づいた

今の時期は仕事帰りに迎えに行くと、もう薄暗いどころか夜がひょっこり顔を出している時間。
寒暖差も大きくなってきて、日中はあんなに暖かったのにね〜寒いね〜と、白い息を長男と一緒に吐きながら、ふと思ったことがある。

私は長男が1歳の時に電動自転車デビューをした。
一足こぐとグーンっと勢いづくのに始めは慣れなくて、小さな長男を前の座席に乗せて、恐る恐る漕いでいた。

とにかく重いのだ。電動自転車も、長男も。
重いのに、グーンっと軽々走るのが当初はこわかった。

乗るまでしらなかったが、倒そうものなら自分自身が大けがをする。そして、長男は既に10キロ超え。
これを毎日毎日上げ下ろししてかごに乗せて、保育園まで運ぶ。

文字にするとすごい重労働である。

大きな段差でバランスを崩したときに、長男を前の座席に乗せたまま自転車をひいていた自分ごと倒れたこともある。
ごめんね、と長男に怪我がないことに安心して、通りがかりの人に手伝ってもらって自転車を起こしたりした記憶も何度かある。

それも思えば、前の座席に長男が乗っていたのなんてもう3年以上も前だ。

今は前の座席に、妹である長女が乗っていて、後ろの座席に長男が乗っている。

総量は子どもだけでも確実に30キロを越えているのである。
方向転換ですらフラフラする。

だけど、思えばこの日常的な重みももうあと半年もない。
代わりに長女が後ろの座席に乗るようになり、長男は自分の足で小学校に行く。

重いなあ、よっこいしょ、あぶないなあ、早く乗ってくれ、まだ乗らないの、ほら抱っこするよ、雨降ってるからカバーするよ、ちゃんとベルトぱっちんしてる?、はやくかえろ〜、

たった1日ですら何回この声がけをするのかわからない。
でも、この5年間当たり前だった長男との日常的な営みが、ふと気づくとカウントダウンするほどに短くなっていた。

気をつけて乗っていた重い電動自転車、こんなのに乗らなくても自分で歩いて行くんだな。

私が迎えに行かなくても、走って帰ってくるんだなあ。

乗せていかなくたって、自分の足で、私が守れないところにどんどん冒険しに行くんだなあ。

親が守ってあげられることなんて、ほんのこれっぽっちだなあ。
と気づくときにはもう残り僅かだったりする。

育児ってこんなのの繰り返しだな。
当事者としてはいっぱいいっぱいで過ぎ去ってから気づくことが多すぎる。


今日も重いなあって思いながら、春を迎えるまでのあいだ、「今日の晩ごはんなに?」と少し舌っ足らずで聞いてくる長男に「なんでしょうね〜?」と少し大きな声で応える私は、冷たい空気に鼻がツーンとなって涙ぐむのである。

歳をとって、子育てが自分の手から離れたとき、思い出すシーンの1つだと思う。きっと、このツーン、も長男の声も、きっと覚えているだろうな。

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