吉原~山谷エリアを生活圏として再評価してみる(大袈裟に言ってみた)
吉原・山谷のいま
浅草のだいぶ北側、南千住駅の南、その一帯には日本を代表する大遊郭のあった場所であり、現在も日本きってのソープ街である吉原。そしてスラム街として良くも悪くも名の通っていた山谷の街がある。
こう言うと非常に印象が悪くなってしまうだろうが、実はこの辺りは「生活者に優しい、住みやすいパーツが揃った土地である」という一面も持っている。
特に山谷スラムについては一言も二言も言いたいことがあるのでちょっとだけお時間をいただきたい。
そもそもスラムというのは、そこに集まってくる人間達の需要・目的によって「移動するもの」なのだ。
スラムと言ったって別に無職で何をやっているか分からない人間ばかり住んでいる訳ではなく、近場に工場などの働き口があるとか、その割に地価・物価が安くて生活が楽だとか、そういう条件が揃った時に「労働者が集まって生まれるもの」という前提がある。
食い詰めて他に行き場がない人間が集まってスラムが出来る訳ではない。スラムに住んでいたって何かしらの手段で収入(現金)を得ていると考えるべきなのだ。
現在の山谷はというと、そういったスラムの「そもそもの条件を満たせない土地」であり、現に昭和の昔のイメージとは程遠い町並みになっている。よって「もはやスラムとしての需要は喪失してしまった」と考えるべきだ。
だからこそ海外で売られている日本旅行のガイドブックに「格安で泊まれるバックパッカー向きの街」なんて紹介をされるのだろう。昔のイメージのままの危ない山谷だったら、流石にそんな無責任な書かれ方はしない。
色々な意味でお風呂のまち
じゃあ今の吉原~山谷エリアには何があるのかと言うと、私が強くオススメしたいのは "お風呂屋さん" である。
と言っても、たまたまお風呂で出会った女性と恋愛関係になって一夜のアバンチュールを……的なお風呂屋さんではない。そういう風呂屋も多いが、それとは別の健全な銭湯かつ他の土地の人間に羨ましがられるようなハイレベルな銭湯が集まっている。
銭湯特集などで高頻度で取り上げられる23区でも特に評価の高い湯どんぶり栄湯を筆頭に、山谷~吉原~三ノ輪の辺りまで名銭湯がひしめき合う土地なのだ。
私などは息子が銭湯好きということもあって、しょっちゅう親子2人で子乗せチャリをかっ飛ばしてお湯をいただきに来ている。
たとえば、つい先日訪れたこの堤柳泉も、キャラの立った面白い銭湯だった。入り口にはガチレトロな下足箱が置かれており、この土地で何年も営業し続けていることが分かる。
んが、靴を預けて正面を向くとまず最初の強烈な違和感が。階段を降りるとダンススタジオがあり、上がると銭湯があるという、なかなか他では見たことのない仕様。
お風呂は種類が多く、薬湯・ジャグジー・熱湯・水風呂(井戸水)・露天風呂・サウナ(+300円)とあり、どれもお湯が深めで気持ちいい。各浴槽がゆったりサイズなのも嬉しいところ。
お湯はだいたい41~2度くらいで統一されていて、熱湯は44度くらいだった。露天風呂には外気浴スペースもあるので、サウナ後に整う使い方も可能。
設備はだいぶ古めかしいし、近所の栄湯と比べると派手さはないが、グダ~~っと寛げる素晴らしい銭湯である。
皆様からの金銭サポートがあると、子育てに追われる哀れなオッサンの生活がいくらか楽になると思わせておいて、息子の玩具やお菓子や遊園地代で殆ど溶けます。