【障害者差別解消法改正】改正法の施行間近だからこその事案が勃発?
映画館で車椅子利用者による騒動が発生
まずいつものお約束から入るが、当noteは原則として個人を晒し上げて叩く行為は極力避けるようにしている。よって、個人名を出してああだこうだ言うとか、Twitterなどに直リンをするといった手段は選ばない。
そういった前提のもとで話を進めるが、とある車椅子利用者が映画館で不愉快な思いをしたとして、映画館の実名を出して批判したことが騒動となっている。
事の発端は、車椅子利用者の女性が車椅子席のある一般シアターではなく、「それが用意されていない別料金が必要な高級シート」で映画を観ようとしたところ介助を断られ、なおかつ今後の利用も断られたというもの。
話によれば、この女性は過去にも同じシートで映画を観たことがあり、その際にはスタッフ達に介助をさせ、足を伸ばせるリクライニング型のシートに座って映画を観たのだとか。その時の記念写真を自分で公開しているのだが、車椅子は自分の座席の隣に置いてあった。
問題なのは、この高級シートのあるシアターには車椅子用の設備がなく、スタッフが手で車椅子を抱えて段差を越えねばならないという点。また、同映画館の他のシアターには普通に車椅子席が用意されているという点。女性は別料金を払った上で介助の必要なシートで観たいと主張している点。
主な論点になっているのはこの3点だと思われる。
[前提] 障害者差別解消法、改正法の施行が4/1から
この件について述べる前に、まずは大前提として、4月1日から障害者差別解消法の改正法が施行されるという事をお伝えしたい。
内閣府が内容のわかりやすいリーフレットを公開しているので、まずそれだけは必ず目を通して欲しい。
手短にまとめると
「事業者による、障害者への、合理的配慮の提供を義務化する」
というもの。
事業者というのは、飲食店や商店、今回の映画館といった「何らかのサービスを提供する場所」ということになる。
この障害者差別解消法により
「障害を理由に」
・サービスの提供を拒否する
・場所や時間帯などを制限する
・健常者には付けない条件を付ける
といった差別的な扱いが禁止される。
また新たに義務付けられる合理的な配慮とは
・障害者が何らかの対応を必要としていると意思表示した場合は、"負担が重すぎない範囲" で対応せねばならない
・合理的配慮の提供にあたっては、障害者と事業者が話し合い、"お互いに理解し合いながら対応策を検討" する
となっている。
このリーフレットは非常に細かく状況が説明されており、たとえば合理的配慮に反していると看做されないケースとして、このような例が挙げられている。
ようはスーパーマーケットなどで「従業員が付きっきりで買い物の補助をする」ことが難しい場合は、必要な商品をメモして、空いた時間にそれらを集めて来るといった代替案が認められているのだ。
また障害者に対しても事業者に対しても、少々厳しい言い方もされている。例えば事業者に対して「もし何かあったら」を理由に障害者への配慮を断ってはならない。
ようは具体的にこれがこうなっているため難しいといった説明がなく、何となく危ないから、何となく不安だからといった、モヤモヤした言い方はするなということ。逆を返せば、問題が生じることが分かっている場合は、堂々とそれを主張しろということになる。
これも非常に大切な部分で、この改正法は障害者を特別扱いするものではなく、健常者と同じサービスを利用できるような状況を整えることが目的だと断じている。
他にも「とにかく対話をしろ」と念を押されているなど、読むべき箇所がとても多いので、先のリーフレットは必ず読み込んでおいて欲しい。
ではこの改正法を元に考えた場合に、今回の映画館トラブルはどう判断すべきなのだろうか。
ここから先は
¥ 500
皆様からの金銭サポートがあると、子育てに追われる哀れなオッサンの生活がいくらか楽になると思わせておいて、息子の玩具やお菓子や遊園地代で殆ど溶けます。