うどん県はゲームより先にうどんを規制せよ

「あなたは香川県民ですか?」

という訳で、今さらながらな話題ではあるのだが、うどん県のゲーム規制条例(ネット・ゲーム依存症対策に関する条例)のお話である。
流石にまだ知らんという方は少数派だと思われるが、念のためどういう事なのか説明する。

約2週間ほど前になるだろうか、SNSを中心に「香川県議会で検討されているネット規制条例がやべえ」という話題が広まった。

・スマホの使用時間は平日60分、休日90分まで
・未成年者のスマホ利用は22時(中学生以下は21時)まで
・学校や保護者はこの条例に協力しろ

こんな条文が堂々と書かれており、さすがうどん県、糖質の取り過ぎは本当に脳味噌に良くないんだなと思い知らされた。

だが話はこれでは終わらない。

この話題が拡散され、香川県に対する非難の声が高まった1月20日に条例検討委員会の緊急会合が開かれ、内容が一部修正された。
だが、その内容の一部が最初に公開された文面よりさらに酷くなっており、火に油をジャンジャン注いでいるというのが現状である。

なお、この条例案(修正前)の全文はITmediaが掲載してくれているので、それをご参照あれ。

以下はこの条例案を読んだものとして進める。

条例案の初期版と修正版の最も大きな違いは、当初は「スマートフォンなどの使用」とされ、時間制限が設けられていたものが「コンピューターゲームの利用」に書き換えられた事であろう。
これによりスマホを1日1時間しか使えないという狂気に満ちた文面ではなくなった代わりに、この話がもう何周遅れなのかという「ゲーム叩き」である事が発覚した。

また、修正版の条例案で発覚した事だが、香川県は独自の調査によって「ゲームの射幸性の高さが依存症を引き起こしている」という結果を導き出したらしい。世界規模で見ても、それをハッキリと証明した例はないはずなのだが、香川県にはきっと世界でも有数の研究者がいて、日夜ゲーム依存について調べていたに違いない。

また、ゲームメーカーなどへも条例への協力を「義務だ」と呼び掛けている事から、今後はあらゆるゲームに年齢認証だけではなく「あなたは香川県民ですか?」という居住地認証も必要になる。
さらに、その認証に「はい」と答えた場合は「60分~90分で強制的にゲームが切断され、日が変わらないと再ログイン出来ない」といった仕組みも実装せねばならないだろう。

また、保護者や学校、医療関係者に対しても「義務」なんて書き方をしているので、香川県内では親と学校と病院などが連携して、子供がゲームで遊び過ぎていないか監視せねばならなくなる。
香川県は「罰則はない」と言っているけれども、条例にそう明記されているのであれば、それを根拠に親や学校に「ちゃんと子供を見張れよ?」と脅して回る事は可能だ。

とんでもなく殺伐とした土地になるな香川県。嫌いなクラスメイトを陥れるために、秘密警察に密告するヤツとかが表れるに違いない。

ちなみに、香川県議会はこれを2月中に通し、4月から施行する考えだという……。

条例で縛るようなものなのか?

さて、嫌味めいた書き方は程々にするとして、この件に対して最も多い声は「こんなものを一々条例で規制するのか?」だろう。スマホの利用時間にしても、ゲームで遊ぶ時間にしても、それは県にツベコベ言われるべき事ではなく、各家庭で親が子供と向き合ってその家のルールを設ければいいだけではないか。
各家庭にはそれぞれ事情があるし、親も子供も特性・個性は様々である。だからこそ、それを良く知った家族同士で、最も良い形になるよう話し合って決定する事が大切なのではないかと思う。
それを乱暴に「条例だから」で済ませるというのは、家族という機能にダメージを与える可能性すらある。

また、子供と言えども自己決定権・愚行権があり、ある程度はやりたいようにやる権利がある。仮にそこに何か問題があった場合に、それを止めるのはやはり親であるべきだろう。
そうした点を無視し、わざわざ条例で言う事を聞かせようなど、親と子の距離感や関係性を否定するかのような暴君ぶりである。
香川県議会というのは、そうまでして県民のプライベートにまで手を入れ、支配したいのであろうか。

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