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伊藤詩織氏の中傷裁判、判決文の激ヤバ部分がイマイチ報じられていないのはなぜ?

【伊藤詩織vsはすみとしこ】東京地裁にて一審判決

マンガ家のはすみとしこ氏らが、Twitterなどを使って伊藤詩織氏を誹謗中傷したとした裁判で、東京地裁が名誉毀損を認め、はすみ氏らに88万円の支払いを命じる判決を下した。

この件はTwitterを中心として注目を集めているようで、この判決を受けて各WEBメディアが裁判について報道していた。

簡単に判決結果にだけ触れるものもあれば、もう少し突っ込んで持論を展開するものもあり、昨今の「SNS誹謗中傷問題」の代表例として扱われているように見受けられる。

この志田陽子氏の記事のように、丁寧に争点を解説している記事もあり、他のテーマと比較すると、総じて平均点の高い報道が成されていると言っていいだろう。

ところが、これだけ “知“ が集まっている話題であるのに、何を置いてもツッコミを入れておかねばならない 「この判決の超絶危険な欠陥部分」について深く言及されているものが少なすぎる。

皆さん「SNS誹謗中傷問題」というテーマに盲目的になり過ぎて、それに都合の良い判決が出たからと、無意識の内に「オールオーケー」と判断してやいませんか?

この判決について積極的に発信をしているライター・ジャーナリスト達は、本当にマズさに気付いていないのだろうか。もしそうなら、そいつらは二度とネットやSNSについて口出ししない方がいいと思う。

もう一度冷静に判決内容を確認しろ

上から順番に、毎日新聞・時事通信・朝日新聞のWEB記事を並べてみたが、これらの無料部分だけでいいので内容をチラ見して欲しい。

もし時間に余裕があるならば、このGoogleのニュース検索結果(伊藤詩織・判決で検索したもの)もざっと確認していただきたい。

これだけ名のあるメディアが一斉に報じているのに、今回の判決の一番の問題点を指摘していないのだ。
どいつもこいつも「SNSの誹謗中傷よくない!」という点に感情の大半を持って行かれてしまっているようで、それよりも大事な「表現の自由/言論の自由、内心の自由」といった基本的人権が否定され兼ねない欠陥に目が向いていないらしい。

上で例に上げた朝日新聞の記事から、問題となる箇所を引用する。

性被害を訴えたジャーナリストの伊藤詩織氏が、事実と異なるイラストをツイッターに投稿され名誉を傷つけられたなどとして、投稿者ら3人に計770万円の賠償を求めた訴訟の判決が11月30日、東京地裁であった。小田正二裁判長は投稿とリツイートについて名誉毀損(きそん)を認め、3人に計110万円の支払いを命じた(略)

https://www.asahi.com/articles/ASPCZ62RMPCZUTIL01G.html

まず、この部分は特に問題はない。裁判が起きた理由と、その結果が書かれているだけなので、ここまではヨシとしよう。

男性2人がコメントを付けずにこの投稿をリツイートした行為も「はすみ氏の投稿に賛同する表現として本人自身の発言だと理解するのが相当だ」と認め、それぞれ11万円ずつ賠償を命じた。

https://www.asahi.com/articles/ASPCZ62RMPCZUTIL01G.html

大問題なのはこの部分である。朝日新聞の記者は、この文章を打ち込んでいて、少しも疑問に思わなかったのだろうか。

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