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[梅毒感染者が爆増] セックスワークを社会から排除し "不可視化" する事のリスクを考えよう

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長く続く "プロ受難の時代"

私の経歴が元AV監督という事もあり、普段はAV新法などについて語る機会が多いのだが、実は風俗業界の知人も多い。

その中には一緒にネット配信番組をやっていた業界人もいるため、風俗業界の最前線の事情はそれなりに把握しており、またそれを世間に伝える活動をして来たという自負もある。

そんな立場にある私が何年も前(おそらく最初の報は10年近く前ではなかろうか)から危ないなと感じていたのが、風俗業界における梅毒のまん延だ。

最初は吉原や九州など特定の風俗街で梅毒感染者が出たという情報がちらほら聞こえて来る程度だったのだが、正直その段階ではまだマシだった。
何故ならば、風俗街の中で起きた事ならば、ある程度の管理が行き届いているため、梅毒感染者が見つかってもすぐに対処ができるし、事実そのようにして感染の拡大を防げていた。

ところが状況が変わり、店舗型風俗店が各地で潰されまくり、また長い不況の煽りで「デリヘルすら買えない」懐事情の人間が増え、トドメのコロナ禍突入。

これによって「プロのセックスワーカーを買えない男が激増している」のに、「金がないから売春(パパ活)で食おうとする女が激増する」という、悪夢のような状況に陥ってしまった。

その結果何が起きたかというと、個々がSNSなどでやり取りをし、通常の風俗ではあり得ないような低価格で売り買いが行われる、素人売春の隆盛である。言葉を変えれば "援助" だの "サポ" だの "パパ活" だのと、その時々によって「頭に蟲が湧いたような言葉で語られるアレ」だ。

いちいち訳の分からない造語を持ち出さなくても、全て「素人売春」と呼べばいいだろうに。なんでパパ活だのサポだの気色悪い単語が必要なのだろうか。

何年前の事だったか記憶は定かではないが、とある雑誌の取材で話をしたウリまでやってるクソガキ(♀)が、やってる事は単なる売春であり、金持ちのオッサンにぶら下がってるだけの乞食クソビッチ(おっと)だっつうのに、「ウチらがやってるのはエンコーでも売春でもなくてパパ活だから」なんて言い出した時は、思わず手近な鈍器で殴り付けたい衝動に駆られた。

ヘイト感情が暴発して横道にそれてしまったが、こんな狂った状況が、ついには「梅毒患者大増殖」という、誰の目にも明らかな数字として表れてしまったのだ。

梅毒患者大増殖

やっと本題に入るが、先に述べたように「梅毒が流行り出している」という情報自体は何年も前から囁かれていた。

だが、当初は風俗街など限られた場所での話だったものが、あれよあれよという間に、気付けば風俗街の外の話になってしまった。

上ですでに触れているけれども、"プロのセックスワーカー" から "素人売春" へ現場が移動してしまい、感染拡大に歯止めが効かなくなってしまったのである。

ここ何年かは良くも悪くもコロナ禍のお陰で沈静化していたものが、ここに来て感染者1万人超えという、ある意味でコロナよりもよほど恐ろしい状況になってしまっている。

両方の記事とも "若者" "マッチングアプリ" "不特定多数" といった言葉が並んでおり、「梅毒拡大の要因が何か」を断定してしまっている。

だが、何のエビデンスも示さないまま「素人売春のせいだ」と論じてしまうのは不誠実なので、次に私の得意な「統計データから現実を見る」という手法で、この国でいったい何が起きているかを考察してみよう。

統計データが指し示す答え

この問題を考える上で、実に有り難いデータを公開してくれている機関がある。その名も『国立感染症研究所』だ。

この由緒正しい老舗研究所は、当然のごとく梅毒の動向についても丁寧に調べ上げている。

このページには『日本の梅毒症例の動向について』というタイトルのデータがpdfやエクセルで配布されており、その中に「殆ど全ての答えが詰まっている」と言っていい。

詳しくはぜひ皆さん自身でデータを読み込んで欲しいのだが、ここでは特徴的な数値についてざっくりと抜き出して行く。

年齢分布からハッキリと何かが見えてしまう

※以下の図表は『日本の梅毒症例の動向について (2022年第3四半期 : 2022年10月5日現在)』より抜粋

まずは最も重要であろう年齢分布から。

この数字を見れば一目瞭然なのだが、四半期のどこを見ても男は20代から50代辺りまで満遍なく、特に際立ってこの年代が高いという部分は殆どない。

それと比較すると女の方は異常な偏りを示しており、20代前半がズバ抜けて高く、20代の後半がそれに続き、30代からは急激に減少する。

この数字が何を示しているかと言ったらもうお分かりだろう。そう「女が最も商品になるのが20代前半」というだけの話である。

余計な話をするならば、ミドルティーンからハイティーンにかけては一発懲役のリスクが高いため避けられる傾向にあるものの、それでも充分な人数が「ヤっている」という事まで見えて来る。

次に、2022年の第3四半期の男女別の人数を合計してみると、【男:2,287人 女:1,239人】と、男の感染者の方が2倍近く多い。
これが何を示しているかというと、ようは売ってる女の方が2倍くらい多く、1人が何人もの相手をしていると考えるのが最も現実に近いだろう。

ただ、性感染症は全てが売春などで感染る訳ではなく、例えばパートナーに魔が差してどこかで病気を貰って来てしまい、気付かず性行為をしたら罪なき人にも感染ってしまったなんて事も考えられる。

よって、この数字のすべてが売買春によるものだなどと言っては単なる暴論になってしまう点は申し上げておく。

が、それを差し引いて考えても「そういう事だよね」という答えに至らざるを得ない。

最前線が素人売春へ移ってしまった事も数字に出ている

では次にこの表を見て欲しい。上で「素人売春が広まったせいだ」と申し上げたが、それは私の思い込みでも何でもなく、この統計データにもハッキリと表れている。

これは『直近6か月以内の性風俗産業の従事歴および利用歴』だが、パっと見て何か違和感を感じないだろうか。

空欄や不明の割合が男で3~4割、女で約5割ほどあるという前置きが必要だが、それを引いて考えても意外なほどに風俗利用歴(男)も風俗従事歴(女)も少ないのだ。

ハッキリと「風俗行きました!」とか「働いてました!」と答えている人間だけに絞っても、性風俗店経由の人間は4割程度しかいないのである。
じゃあ残りの6割は何だよという話になるのだが、それこそが「最前線は素人売春である」ことの証明だと言っていい。

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