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板橋区大山の再開発問題に関する記事が掲載されました


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記事掲載のご報告

つい先日、twitterの方でつべこべ書いたネタなんですが、私の生まれ育った板橋区には、ハッピーロード大山+遊座大山という超巨大な商店街があります。

この大山の商店街がどちらも再開発による危機に瀕しており、特にハッピーロードの方は 「何割か削られる」 どころではなく 「商店街としての機能が失われる」 という最悪の結果すら予想されている状況です。

参考までに、この件に関する私のツイートのツリーをどうぞ。

この大山再開発問題について、アーバンライフメトロという媒体が記事を掲載してくれました。

実はこの記事、そもそもは今年の初め頃に掲載して貰う予定だったのですが、諸事情あって記事掲載のタイミングを見計らっていたらコロナ禍突入でそれどころではなくなるという……。
そんなゴタゴタがあって、いまやっと陽の目を見る事が出来たのでありんす。

そしたら原稿を送った直後にこんな記事が出回るっていうミラクル。

大山民は自分で払った税金で自分の生活の支えになっている商店街を潰すだけでなく、アスベストを浴びるハメになるという訳でございます……。

さて本題。

実はこの記事、私が当初書いた原稿を、編集部の方でだいぶリライトしてくださり、可能な限りマイルドにして掲載しています。
私が書いたバージョンそのままでは攻撃的過ぎて、問題提起どころか逆に反感を買うおそれがあり、それは私自身も自覚していたので、むしろこちらから「媒体の方針に合う形に手直しして欲しい」とお願いしたくらいです。

すまんのう、板橋の話となるとシラフではいられなくなるのじゃ。


さて、前置きが長くなりましたが、せっかくnoteがある事ですし、今回はその編集部による手直し前のバージョンに、大山の現状がよく分かる画像とキャプションを加えて公開しようと思います。

上記のような理由から、あまりこのままの内容で拡散したい訳ではないので、申し訳ありませんが月額マガジン購入者様向けの有料記事とさせてください。

『板橋区の「人気商店街」が消滅危機――大規模開発と住民生活に揺れる現場から』 元原稿


『都内でも特に安泰だったはずのハッピーロード大山に何が?』

板橋区のハッピーロード大山といえば、戸越銀座・十条銀座・砂町銀座の三大銀座に匹敵する、都内有数の活気あふれる商店街です。

全長500mを超える大型アーケード商店街で、商店数はメインの通りに限っても200店舗以上あり、シャッター店(廃業店舗)が殆どありません。
1日の商店街利用者は約3万5千人で、住宅街に囲まれているため周辺人口は数万人おり、商店街に内包されている東武東上線大山駅の1日の乗降者数は5万人以上と、廃れる要素の少ない将来安泰な商店街と見られていました。

ところが、こうした数字が全て過去のものとなる可能性が高まっています。ハッピーロード大山は『大規模都市開発』により、廃れるどころか消滅の危機に陥ってしまっているのです。

今回はどれだけ地元住民に愛され、生活の基盤とされている商店街であっても、行政の都合でいともたやすく破壊されるのだという例として、この板橋区大山の再開発問題を取り上げます。

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※ 商店街受難の時代にあって、日に数万人単位の客が訪れるモンスター商店街として有名なハッピーロード大山の様子。東武東上線の大山駅を内包しているほか、近隣から自転車で買い物に訪れる人も多い。


『大山再開発計画』
大山地区の再開発は複数のプロジェクトが同時進行しており、このまま計画が進められれば、ハッピーロードは半分ほどの長さになってしまいます。
それに加えて、いつ終わるともしれない大工事が駅周辺で行われるため、歩行者も自動車も通行が不便になることが予測され、実質的に「商店街はあるけど使えない」という状態になる事が予想されています。

この再開発計画は、大きく分けて下記の3つに分けられます。

(1)補助第26号線の延伸
(2)東武東上線の高架化
(3)駅前広場の建設

(1)補助第26号線の延伸
補助第26号線とは、すなわち都道420号線鮫洲大山線のこと。鮫洲大山線は昭和21年に計画された都道で、長らく眠っていたものが何故か起こされ、全面開通すべく急ピッチで動き出してしまいました。

鮫洲大山線は品川区の大井一丁目から、板橋区の仲宿交差点に至る20m道路(車道9m 歩道5.5m×2)ですが、最後の300mほどが通せずにいました。というのも、そこにハッピーロード大山があるからです。
過去には商店街の商店主や住民の9割が道路建設に反対し、計画が頓挫したそうですが、ここに来て強引なまでの手段で進められ、そうした民意は殆ど無視されてしまっていると言います(地元民談)。

この26号線が現状の計画通りに延伸されると、ハッピーロードの川越街道寄りの半分は全滅に等しい被害を受けることになります。中には立ち退かずに済む商店もありますが、商店街が大型道路で分断され、離れ小島のようになった場所にポツンと取り残されるのですから、そんな立地で商売が成り立つとは思えません。

しかも、運の悪いことに立ち退き予定地区には地元住民の生活を支える生鮮3品(野菜・肉・魚)を扱うスーパーや市場が固まっており、その多くが消滅してしまいます。すでに商売を諦めて閉店してしまった精肉店もあり、それに続くお店が出れば加速度的に売り場が失われて行くことになります。これでは商店街が住民の生活を支える場としての機能を維持できません。

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※写真左側の通りにはみらべるやよしや(SainE)といったスーパーマーケットが固まっているが、道路計画に引っ掛かっているため立ち退き確実。他にも潰れるスーパー・市場・精肉店などがいくつもあるため、生鮮品の売り場が商店街から激減する。


(2)東武東上線の高架化
補助26号線には、ハッピーロード大山をどうするか以外にも、大きな問題点があります。その最たるものは、完成済みの道路(都道420号線・東京都健康長寿医療センター前)との境目にある東武東上線の線路です。

今は一方通行の小さな踏み切りがあるだけで、これを上手くパスする案が固まらず、計画が長らく寝かされていたのですが、最近になって東武鉄道が遂に重い腰を上げ、東武東上線の高架化を決定しました。
これによって、中板橋駅から下板橋駅の間の約2㎞の区間で高架化工事が行われることになり、補助26号線の計画を後押しする格好となったのです。

ところが、東武東上線は利用者ならばご存知でしょうが、線路のギリギリまで民家が迫っているようなローカル臭漂う路線です。そこを高架化しようにも、現状では工事車両が入れるスペースがありません。
よって、まずは踏み切りをどうこうする以前の問題として、中板橋駅~大山駅~下板橋駅間の至る所に、いくつもの工事車両用の側道を作らねばならないのです。

しかし、先に述べたように東上線の線路は間際まで民家が迫っているような状況ですから、側道を作る段階で間違いなく多数の立ち退きが発生する大掛かりなものとなります。

しかも、この東上線の高架化と補助26号線の延伸工事は足並みを揃えて行われる訳ではなく、先に26号線が作られ、その後に東上線の高架化が完了する予定になってしまっているのです。

それでは巨大な26号線を東上線の線路がせき止めることになり、さらにその状況で線路の高架化工事を続けるのですから、「商店街を失った上に街も道路も両方使えない」という酷い状況に陥ってしまいます。

ハッピーロード振興組合への取材によると、こうした大問題について板橋区からはまともな回答が得られていないそうです。

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※このように東上線の線路はキワまで民家が立ち並んでおり、ここを高架化するには工事車両が入る側道を何か所も作るところから始めないといけない。したがって、商店街だけではなくこの一帯のあらゆる場所がこの先何年もの間工事中になってしまうということ。

補助26号線の終点にある東上線の踏み切りの様子。ここに20m道路を通すつもりらしい
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※完成済の鮫洲線と東上線の踏み切り(写真左奥)。この踏み切りを渡った先が、上の写真のみらべるやSainEのある通り。


(3)駅前広場の建設
地元住民らが青天の霹靂と言っているのが、東上線の高架化に伴う大山駅前広場の建設計画が突然決定したことです。これは広場と名が付いているものの、実態は開通した都道420線から大山駅前にバスやタクシーを引き込むための、大きなロータリーのことです。

こちらはハッピーロードではなく、大山にあるもうひとつの巨大商店街・遊座大山が被害を受けるのですが、多くのマンション・住宅・飲食店が潰されるだけではなく、健康長寿医療センター付近にある処方箋薬局なども軒並み立ち退かされることになります。

この工事もかなり大掛かりになることが予想され、仮に補助26号線の延伸工事や、東上線の高架化と同時に進められるとなると、大山駅と商店街と各方面の住宅街とを繋ぐ動線が、壊滅的な被害を受けることになり兼ねません。

少なくとも駅周辺は何年もの間「店がない、うるさい、通れない」と、非常に不便な状態になるでしょう。

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遊座側はこの写真に写っている一画が全て広場建設のために更地になる
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※再開発予定地はハッピーロード側だけではなく、遊座大山も駅近くの一帯が ”駅前広場” 建設のために何年もの間使い物にならなくなってしまう。
上2枚の写真に写っている建物は全て取り壊され、その奥も鮫洲線に至るまで更地になり、駅前ロータリーが作られる(取り壊し予定の区画を鮫洲線側から見たのが一番下の写真)。

『大山再開発の最大の問題点』
この大山再開発計画の最大の問題点は、道路工事・鉄道の高架化・駅前広場・再開発ビルの建設といった各計画がバラバラに動いており、スケジュール管理から地域住民へのケアまで、全体像を見ながら進めている監督者が誰もいないことです。

そのせいで各地で情報が錯綜し、すでに補助26号線を通すための立ち退きが始まっているというのに、未だに本当の情報を知らず、何かあった場合の担当部署も分からず、戸惑っている区民が多数おりました。

また取材を進めて行く内に、板橋区自体がこの開発計画に乗り気なあまり、反対の声に対してまともな対応をしていないという問題点も浮き彫りになって来ました。

ハッピーロード振興組合や、取材に応じてくれた区議会議員の話では、度々区に問い合わせ、また陳情書を提出しているそうですが、その度にたらい回しにされ、中身のない返答しか得られていないそうです。
今回取材に応じて下さった方々は、口を揃えて「無謀な計画から区民を守るのが区の仕事ではないのか」と憤っておりました。

さらには「この計画はオリンピック後にデベロッパーや土建屋を食わすためのエサにされている」と指摘する方もおり、聞くところによると上に挙げた計画以外に、大型の複合ビルやマンションを何棟も建てる計画が進行中だとのこと。

しかも、当初は立ち退きに協力した商店や住民は、新しい再開発ビルのテナントやマンションへ入れるという話だったものが、家賃の増額などを後付けで持ち出され、結局ご破算にされてしまったと言います。

この事から、大山が様々な業者に食い物にされている状況が浮かび上がって来ます。

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※すでに川越街道側から取り壊し工事が始まってしまっている……のだが、この工事の最中に上で紹介したアスベスト飛散の危険性や、調査の不備が発覚した。それでも区は強行姿勢を崩さない。


『壊される街の魅力』
こうした街の破壊は、大山という土地に致命的なダメージを与える結果になるでしょう。
というのも、大山は数多くの個性的な個人商店によって、オンリーワンな魅力を持った商店街・繁華街として栄えて来た街です。
この再開発により、そうした面白い個人商店の多くが立ち退かされることになりますが、上で述べたように立ち退いたが最後戻って来られるとは限りません。

何故なら、新築の商業ビルのテナントなど家賃が安い訳がないのですから、そこに入れるのは大資本のフランチャイズ系のお店くらいのもので、極端な薄利多売で頑張っている大山の個人商店が借りられるような条件になる訳がないのです。

今のところ、こうした家賃の差額などについて、行政から補助金が出るといった助け舟は一切確認できませんでした。
よって、立ち退いた店はそのまま大山から消えると考えるのが現実的でしょう。

それに、大山が飲食店街として魅力的だった最大の理由は、土地価格が安く、人通りや外食人口の多さと比較して、家賃相場が抑えられていたからです。
それ故にコストパフォーマンスに優れた飲食店が数多く集まり、「板橋価格・大山価格」というコスパの良さを指す言葉が生まれました。

この再開発によって、その絶妙なバランスが壊されてしまうのですから、大山の再開発地区は 「大手チェーン店しかない無個性な街」 にならざるを得ないのです。

『すでに始まってしまっているハッピーロードの崩壊』
あまりネガティブな話はしたくないのですが、現時点ですでにハッピーロードは目で見て分かる苦境に追い込まれています。この開発計画が動き出してから、廃業する商店が続出してしまったのです。

その空いたテナントに何か新しい店が入れば良いのですが、こんな再開発計画が迫っているリスキーな土地に店を構えてくれる物好きなどいる訳がありません。
さらに間の悪い事に、コロナ禍が収まる気配を見せていない状況なので、飲食店の新規参入はほぼ絶望的となっています。

こうした事から「あの巨大さでシャッター店がないのは凄い!」と言われたハッピーロードにも、誤魔化せないほど廃業店舗が増えてしまいました。

まだ商店会の皆さんが戦っている真っ最中なのに、すでに”シャッター通り化”という最悪の形で、商店街の終わりが始まってしまっているのです。


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※シャッター店が殆どない事が評判となり、全国から視察団が訪れるほどだったのに、今ではこの有り様。しかも、素直に立ち退きに応じたのに ”帰って来れない” 店も多いのではと囁かれている。

『日本の暗部そのもの』
こうして見てみると、この大山の再開発計画は、現在の日本の負の面が凝縮されたかのような構図になっていることが分かります。

巨額のお金が動く開発計画のために万単位の庶民が犠牲にされ、ごく一部の利権を握った業者や地権者だけが肥え太る。これは板橋区に限らず、よそでもよく聞く話です。

最後に、今回の取材に応じてくれたハッピーロード振興組合の役員さんのお話を紹介させていただきますので、これを読んでこの開発計画が一体いかなるものなのかを考えていただければ幸いです。

「時代に合わせて商店街が変化するのは構いません。ハッピーロードはそもそもそのようにして発展して来た商店街です。ですから26号線を通すなとか、大山駅の高架を止めろとは言いません。ただ、地元で商売をしている我々や、生活している区民の声をちゃんと聞いて欲しい。それを開発計画に反映させて欲しいんです。区には、せめて商店街を維持することで得られる経済効果と、再開発をすることで得られる経済効果を試算してくれと要望を出したのですが、そんな数字が出せる訳がないと相手にされませんでした。こんな大掛かりな計画が動いているのに、そんな試算すら提示して貰えないのです」

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※駅前広場計画の酷さがよく分かる写真2枚。
上の写真の駅前広場完成予想図のど真ん中にある、ロータリーに面した ”中州” みたいなビルの列の実物が下の写真である。
上下の写真を見比べながらお読みいただきたいが、新生・大山駅の駅前に作られるロータリーに面した景色がどのようになるかというと、下の写真のように「建物の背中」が立ち並ぶ事になる。
何故ならば、こんなふざけた計画でも予算を切り詰めたいようで、建設に必要なギリギリの用地確保しかしないようなのだ。
したがって、下の写真のように立ち退きを免れたビルが背中を向けたまま広場を見下ろす格好になってしまう。そんな駅前ロータリー見た事あるか?


『最後に』
この大山の再開発計画は、いったい誰が為のものなのでしょうか。少なくとも、長くこの土地に住み、税金を納め続けた区民に対するものではないでしょう。何故なら、そうした大山を愛する大多数の人々にとって、この計画は自分の生活を不便にする結果にしかならないからです。

プロジェクトによる経済効果の試算も出せないような雑なやり方で、都内でも有数の活気ある巨大商店街を犠牲にしてしまって良いのでしょうか。
商店街に活気があるということは、それだけ大勢の区民がその商店街を愛用している、生活の支えにしているということです。

なぜ板橋区は数万人規模の区民が生活拠点としている街を、すなわち生活環境を、守ろうというそぶりを見せないのでしょうか。

区民の生活そのものを破壊し、それと引き換えに手に入れられるものとは何なのか、理解に苦しむばかりです。


※ 本文ここまで
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