見出し画像

夕飯の支度の為に「ローマの祭」ってる私


(※祭ってるという日本語はおかしいでしょうが、最適な表現があればぜひコメントにてお知らせ願いたく存じます。勉強になります。)


冬の寒さの緊張が解けてきたせいだろうか、

ここ数日、

とても眠い時間が増えた。

春に眠いときに眠れる人はなんと幸いである。


私などは、夕方、子どもたちが帰宅する頃に、

謀ったように眠くなるタチであり、

よほど身体の血の気が失せたりしていない限りは

困ったことに軽い仮眠も苦手なタチである。

ひたすら眠気をひきずる。


それでも私は我が家のオーナーシェフである。

腐ってもタイである。


やたらと眠たい時間に、

あまり得意ではない料理に取り掛かる。

さすがにもう何年も毎日作っているので、

「今日の夕飯は惨憺たるものが並んだのだった」

みたいなことはないのだが、

本当に私は今からこの食卓に夕飯を並べさせられるんだろうか、

みたいな自信のなさは、

しつこくへばりついている。

簡単なものしか作れないのに。

いちいち大げさである。


そんな私の眠眠打破な最終兵器は、

J-popの

ロックなBGMではない。

自らのアドレナリン放出の記憶が蘇る、

懐かしいブラスの響きである。

お世辞にもお上手ではなかったのだが、

中高の部活動でトランペットを吹いていた。

先輩同輩後輩、全てに恵まれて、

自分はお上手ではなくとも、

美しいトランペットの音に、

ウィンドオーケストラの響きに囲まれて

6年間暮らしていた。

1番好きな楽器はと言われたら、

やはりトランペットである。

楽しいばかりではなかったが、

十代にバカみたいに部活をしたのは、

人生の宝である。


埼玉県というのは、

朝日新聞社主催全国吹奏楽コンクールの

高等学校大編成の部に

長きに渡って全国大会金賞常連校で居続ける学校を

3つも擁する吹奏楽の盛んな県である。

(しかもそのうち2校は公立である。)

そんな学校がよくコンクールの自由曲で、

弦楽オーケストラの吹奏楽アレンジ版を演奏することはよくあることだ。

大所帯の部内オーディションを経た

生え抜きのメンバーが揃うバンドが好む、

スケールの大きい難易度の高い曲である。

私が現役の時はアルプス交響曲とか、

サロメとか、シバの女王ベルキスとか

中国の不思議な役人とか

流行っていた気がする。

流行りがあるので、

今の自由曲の傾向はどうだろうか。


私の通っていた高校の指導者は、

幸いというか、

その流行りとは趣味が合わなかったらしく、

私自身はついぞその難曲たちとご縁がなかった。

どれもトランペットのハイトーンが華々しく

指遣いもタンギングも難易度が高く、

多分ご縁があっても当時の私は吹けなかったと思う。


そんなコンクール自由曲の定番にあるのが、

イタリアの作曲家、

レスピーギのローマ三部曲のうちの1つ、

「ローマの祭」である。

この曲が、もう本当に、

あの10代の青春から時を越えて、

40歳になった眠たい私の夕飯作成に

多大な貢献をしてくれているのだ。

YouTubeよ、本当にありがとう。


「ローマの祭」自体は

全体30分近い曲なのだが、

コンクールでは時間制限があるため、

抜粋して演奏される。


どのパートも素晴らしいのだが、

眠眠打破には、

「チェルチェンセス」と「主顕祭」の組み合わせが最強である。

ちなみに、ローマ三部作のローマの噴水やローマの松も名曲だが、

眠眠打破にはやはり「祭」である。


イタリアという陽気な国の祭りなので、

出だしからもう

シンバルやドラが

ガシャーン!ジャーン!と始めて

眠気を飛ばしてくれる。


うっかり調理中に

ボウルをシンクに落としたときと

同じくらいの衝撃と刺激と思って頂いて良い。

目が覚める。


チェルチェンセスから主顕祭の組み合わせは、

始めから終わりまで適宜

そのジャーン!や、ガシャーン!が挟まるので、

いいのだ。


そして、大好きなトランペットが

ほんとうにカッコいいのだ。


吹いてないし、多分吹けなかっただろうけど、

自分吹いてる気分で聴いてると、

アドレナリンが放出されて、

さくさく動けるようになる。

イメトレは大事だし、何より楽しいし、

ミスする恐れもなく

利のみで害なしである。


主顕祭の最後のあたりは、

大好きな三連符のメロディーが続く。

なんで三連符って、

こんなにワクワクしちゃうんだろう。

菜箸を持って、踊るわけである。



盛り上がって盛り上がってとうとう

ジャン!!と終わると、

YouTube音源には

ブラボーと拍手が入っている。

全国大会の録音は皆そうだ。

その学校のOBが大体ブラボーを発してくれるらしい。

私も台所で1人ブラボー発声をしている。

今日も家族が食べられる夕飯を作り終えた。

ローマの祭、レスピーギさん、ありがとう!

ブラボー!!!トランペット!!!


ローマの祭の吹奏楽版に

ご興味がある方は、

参考YouTube音源を下記に貼っておきますね。

画像じゃなくて、URLをクリックすると、

音源に飛べます。

交響詩「ローマの祭」より【’92・東海大四高】

↓こちらをクリックすると上のサムネイルの演奏を視聴できます。

https://youtu.be/LNrBN4WlrcM

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?