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鼻からサンドイッチを噴いた日

私はぱっと見、真面目そうな顔をしている。

真面目そう、というのは褒め言葉でもあり、

堅くてつまんなそう、という裏返しの言葉でもある。

しゃべりが面白い人や、

外見で自己表現できる人というのは

私からしてみればかなり羨ましい。

話芸というのは上手にやろうとするほど

空回りしてスベるし、

おしゃれになりたいと気合いが入るほど

お金がかかった割に

キテレツな仕上がりになったりすることがある。


特に天性しゃべりが面白い人は、

サラッとした小エピソードだけで、

何回反芻しても笑えるような

パンチ力を持っている。


私なども、

友人の素晴らしい結婚式の

帰りのカフェで

幸せな余韻の中

そんな天然の話芸のパンチを

久しぶりに出会った同期から

不意に喰らったことがある。

彼女にサラッと可笑しいことを言われたのが

私の笑いのツボに入ってしまった。


そして私は

友達の会話の輪の中

自分1人だけ食べていた

ミニサンドイッチを

鼻から噴いた。


噴いたのがサンドイッチだったのは幸いで、

もし液体だったら確実に対面ですわっていた

友人2人の晴れ着の和装を台無しにしていた。

いや、もう、

すでに夜のカフェのまったりした雰囲気を

台無しにしているのだが、(居酒屋ではないので)

医療系の友人などは自分の着物より

私の窒息の心配をしてくれたり、

ひたすら申し訳なくも、みんなが優しかった。

(友よありがとう)



噴飯ものの、という言葉通り、

笑ってしまってご飯を口から噴き出すことはあっても、

鼻から噴き出す人はさぞ珍しかろう。

口から噴き出すのを堪えようとして、

鼻から出てしまったのだ。

ある意味

健気な努力の結果とも言える。


一見、

真面目そう、もしくは、

堅そうに見えたりする人ほど、

ものすごい笑い上戸で

私のように鼻から噴き出したようなエピソードを

もっているかもしれない。

そういえば、日頃おしゃべりとは言えない

私の父も

よく何かにウケて噴飯している。

鼻から出たのは見たことはないが、

多分遺伝なのだろう。


私が食べているときに

不意に笑わせてはいけない。












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