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危機における経営者のマインドセットと対峙の仕方を学ぶ。「コロナショック・サバイバル日本経済復興計画」

今回のような経済危機における経営者の舵取り、マインドセットの指針となる良書でした。
冨山和彦氏が、名だたる大企業の再生の現場から得られた生々しい経験と知恵・見地から述べられ、語られる生きた文章に引き込まれて一気読みしました。

後日読み返すように重要な部分をメモ。

■危機のときの生死を分けたもの
・現預金の潤沢さ
・金融機関との従来からの信頼関係
・平時における稼ぐ力と自己資本の厚み
■楽観シナリオの空気に楔を打つ。二重三重の施策。
最悪のシナリオを描ききるのは非常なストレス、恐れを生む。ホラーシナリオに対して自己保存本能として心理的なブレーキを踏んで、そんなことを考えないようにする。トップだけでなく会社全体にその空気が漫然と漂う。そして組織全体に「楽観シナリオ」をメインストーリーに物事が決まっていく。
そういった空気に楔を打って、先を読んで二重三重に手を打って、最悪のメニューを使わなくて済むようにするのがトップの仕事。
国民感情や社内の空気などに惑わされないで、理屈通りにやるのが経営。
■古来より戦時は独裁
古来より戦時は独裁である。意思決定に関与させるべきは少数の真のプロフェッショナルであり、修羅場をくぐってきたリアリズムのある人間。
限られた情報で最良の判断を下すことができる。なにか聞かれて「これから調べてみます」「よくわからないので分析してから報告します」では役に立たない。
■トップの姿勢
即断即決で危機に対峙すべし。
社内外に向けて自分の姿を晒し、自分の意志で決めたことを自分の言葉で発信し、その結果も自分が引き受ける。
状況が変わる、間違いに気づけば即座に朝令暮改。恥も外聞も気にしてる場合ではない。
■修羅場の「べがらず」集
・見たい現実をみる経営(不都合な真実を見ないで危機は乗り切れない)
・精神主義に頼る経営(特に古いタイプの会社に多そうな気合論)
・人望を気にする経営(社員は人生・家族の生活がかかってる時にいい人かどうかなんか見てない)
・衆議に頼る経営(みんなで決めたことにしたがる。危機の衆議は衆愚になる)
・敗戦時のアリバイ作りに走る経営(サラリーマン経営者に多い、訴訟リスクさけるetcのための努力)
・現場主義の意味を取り違える経営(現場に降りていって意見を聞いてそのまま共感してそのとおりにやっちゃう)
・情理に流される経営(合理が情理に優先する。その場でどんなに恨まれても10年20年後に感謝されたら御の字と覚悟する)
・空気を読む経営(最大のエッセンスはこれ。機器において空気なんてどうでもいい。合理的で冷静で迅速な判断と実行力のみ)

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