ランダムな3単語から短い文章を書く④ (お題「シャボン玉/黒幕/寒い」)

言葉をまとめる練習でランダムな3単語から短い物語を書くことをしています。
ここ数ヶ月、話がまとまらないことを言い訳に書くこと自体をサボっていました。思いついてしまえば早いんですけどね。そこまでが長いので短くできるといいですね、と思っています。

お題は「シャボン玉/黒幕/寒い」でした。


シャボン玉がふわふわと浮かんでいる。
緊張感もなく、ただ、ふわふわと。

それは暖かな日差しだった。わたしが居た薄暗く寒い部屋に突如として差し込んできた一筋の光。彼女は当時"黒幕"と呼ばれていたわたしの隣に居続けてくれた。彼女がいる間だけ、私の部屋は少しだけ明るく暖かくなった。ほんの少しだけ良い匂いもしたかもしれない。
勇気がなかっただけだったのだ。
暗いところから抜け出す勇気が。
そんなわたしのところに彼女は光を連れてきてくれた。

シャボン玉が太陽の光を受けてキラキラとひかっている。
シャボン玉は日差しを浴びてふかふかになった真っ白な布団にぶつかると跡形もなく消えてしまった。
幸せみたいだな、と思った。
彼らはいつも突然現れて、わたしたちを惑わせて、突然消えてしまう。
娘が「パパもやる?」とシャボン玉を差し出してくる。わたしは礼を言ってそれを受け取ると、ゆっくりと丁寧に息を吹き込んだ。そうしてできた大きなシャボン玉は風をうけて不定形に空を漂う。
幸せみたいだな、と思った。

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