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ゼミの取り組み 課題図書 8冊目


『遺体』 

著/石井光太

 2011年3月11日。40000人が住む三陸の港町釜石を襲った津波は、死者・行方不明者1100人もの犠牲を出した。各施設を瞬く間に埋め尽くす、戦時にもなかった未曾有の遺体数。次々と直面する顔見知りの「体」に立ちすくみつつも、人々はどう弔いを成していったのか?生き延びた者は、膨大な数の死者を前に、立ち止まることすら許されなかった―遺体安置所をめぐる極限状態に迫る、壮絶なるルポルタージュ。

ゼミ生のコメント①

何もない平和な日常がたった1日で奪われてしまったあの日。多くの人々が愛する人やお世話になった人の死に悲しんでいた。その中で遺体処理作業を行う方々は悲しむ間もなく届けられた遺体の家族のために身元を確認する作業を行っている様子が描かれていた。

 遺体の残酷さや処理作業者の精神的辛さが伝わり、地震発生後の悲惨さを感じた。

ゼミ生のコメント②

文章の中で繰り返し使われるマチという言葉がとても印象に残っている。町民が普段から親しみをもって使っている言葉が出てくるたびに、知り合いが亡くなった話を読むのと同じように、田舎の狭くて深い関係が見えた。町に被災を免れたところがあり、遺体捜索や安置所の管理が住人たちによって運営された釜石には、故郷の変わり果てた姿や遺体をその目で見て、事実として受け入れてきた人々が大勢いる。そんな彼らから聞くマチという言葉はただの場所の呼び名ではなく、繋がりをも表しているのだなと気付いた。

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