見出し画像

詩のご紹介 373 まつぼっくり(小黒恵子詩)

 今日は、まつぼっくり(まつぼっくりの会 発行)に掲載されていた詩をご紹介します。
 まずは、「まつぼっくりの会」についての記載をご紹介します。

「まつぼっくりの会」について
  こどもたちのためにいい本をつくろう ― すこしばく然としていますが、そんな目的をもって、まつぼっくりの会は、一昨年(註:1967年)発足しました。
  会の主旨は、次のとおりです。
     ・こどもたちに愛されるいいうた(童話を含む)をつくる。
     ・こどもたちに夢をいだかせるいいうたをつくる。
     ・こどもたちの心に残るいいうたをつくる。
     ・たくましいこどもを育てるいいうたをつくる。

  まつぼっくりの会は、毎月一回、定期的に作品研究会を行い、年に四回『まつぼっくり』を発行します。
(註:1969年以降、年に四回は発行されておらず、『まつぼっくり15』では、機関誌「まつぼっくり」を発行しています。
となっており、下記の 定期購読・・・も記載されていない)
  『まつぼっくり』の定期購読ご希望の方は、1年分600円をまとめて
    東京都杉並区浜田山●~●~●
      ●●方 まつぼっくりの会(〒166)
  までお送りください。送料は会で負担いたします。また、会則をご希望の方は、ご遠慮なくお申し越しください。
  なお、会では、児童詩、児童画など、読者の作品投稿をお待ちしています。(住所、氏名、年齢を明記するようおねがいいたします)。

まつぼっくりの26  巻末

「まつぼっくりの会」について
  まつぼっくりは昭和四十二年に第一号を発行してから三十年になりました。仲間たちも色いろな出発をしてくれてうれしいかぎりです。当初のモットーは次の四つでしたが今も変わりません。
・こどもたちに愛されるいいうた(童話をふくむ)をつくる。
      ・こどもたちに夢をいだかせるいいうたをつくる。
      ・こどもたちの心に残るいいうたをつくる。
      ・たくましいこどもを育てるいいうたをつくる。
◎同じ志をお持ちの方はどうぞ   会費一五〇〇円/月

季刊日本童謡秋季号(第3巻第11号)P24より 

「まつぼっくり」13 1972(昭和47)年9月30日発行
 ・巻頭詩
 ・長い夜(お話し)……天野康子
 ・モロコのたまご……赤岡江里子
 ・もみじの種の子(お話し)……高林恭子
 ・あしか(お話し)……すずききよこ
 ・吹きとばされたナナホシ(お話し)……やなぎまちてるこ
 ・萩寺ばなし……高木あきこ
 ・はくびしん……いまきいれ 幸代
 ・オニの子が見たアリズカ団地……小黒恵子
 ・ワンツースリーのうた……高橋吉子
 ・大王松……渡辺敏子
 ・おたんじょう日……高木あきこ
 ・うれしいことがあった日は……浅田真知
 ・空にはいろんなみちがある……近藤辰雄
 ・正月をとどけに……赤岡江里子
 ・青い小石(お話し)……ふとうはじめ
 ・地獄(お話し)……下田幸子
 ・ケン(お話し)……すぎやまきんぞう
 ・町の海ぞくたち(お話し)……ひび かいち
 ・ムジナ(お話し)……立石 巌

                       小黒恵子 詩
オニの子が見たアリズカ団地(だんち)

  ひとりぼっちの オニの子が
  雲のまどをあけて
  望遠鏡(ぼうえんきょう)で 下界(げかい)をのぞいています

  アリズカの団地(だんち)が
  ニョキニョキと またふえたようです
  アリズカには お花(はな)畠(ばたけ)のように
  色とりどりの 洗濯(せんたく)ものが
  ヒラヒラと 風にゆれています

  アリズカの ろじを
  買物(かいもの)かごを くるくるまわして
  スーパーに行く ママアリ
  アップルパイを 作ってるママアリ
  テレビをみて 笑(わら)ってるママアリ
  ハタラキアリ(パパアリ)の
  セーターをあんだり ワイシャツに
  アイロンをかけてる ママアリ

  アリズカの公園(こうえん)では
  ブランコにのってる子アリ
  ベンチで 絵本(えほん)をよんでる子アリ
  野球(やきゅう)をやってる子アリたち
  三輪車(さんりんしゃ)にのってる子アリ
  お部屋(へや)で ピアノをひいてる子アリ

  ベランダの フラワーボックスには
  パンジーが ネコのような顔(かお)をして
  あくびをしています

  ひとりぼっちの オニの子は
  とても さみしくなりました
  そこで オニダイコを
  思いきり力いっぱいたたきました
  ドン ドン ドコドン ドコドドン

  オニの子の 汗(あせ)と涙(なみだ)が
  パラパラと 落(お)ちました
  「雨だ 雨だあ」
  下界(げかい)の アリたちが
  あわててアリズカに 逃(に)げこみました

  おなかにひびく オニダイコの音が
  夕方まで つづきました
  アリズカの窓(まど)には ポツリポツリ
  あかりが つきはじめました

まつぼっくり 13(1972.9.30発行)

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回も、「まつぼっくり」(まつぼっくりの会 発行)から、小黒恵子作品をご紹介します。(S)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?