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詩のご紹介107 オニの子が見た アリズカ団地(小黒恵子作) ~ホラ 耳をすまして

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 動物や虫をテーマにした作品が多い、童謡集「ホラ 耳をすまして」からご紹介します。
 今回は、「オニの子が見た アリズカ団地」~Ⅴ コガネムシの フンジャック~ です。久々の長編です。

 「童謡集:ホラ 耳をすまして」については、下記をご覧ください。

オニの子が見た アリズカ団地
~ホラ 耳をすまして 「Ⅴ コガネムシの フンジャック」より~
小黒恵子 作 

ひとりぼっちの オニの子が
雲のまどをあけて
望遠鏡で 下界をんぞいています

アリズカの団地が
ニョキニョキと またふえたようです
アリズカには お花畠のように
色とりどりの 洗濯(せんたく)ものが
ヒラヒラと 風にゆれています

アリズカの ろじを
買物かごを くるくるまわして
スーパーに行くママアリ
アップルパイを 作ってるママアリ
テレビをみて 笑ってるママアリ
子アリを だっこしてるママアリ
ハタラキアリ(パパアリ)の
セーターをあんだり ワイシャツに
アイロンをかけてるママアリ
木かげで お話してるママアリたち

アリズカの公園では
ブランコにのってる子アリ
芝生で 絵本をよんでる子アリ
ソフトアイスをなめてる子アリ
三輪車にのってる子アリ
野球をやってる子アリたち

ベランダの フラワーボックスには
パンジーの花が
三毛ネコのような 顔をして
あくびをしています

ひとりぼっちの オニの子は
とても さみしくなりました
そこで オニダイコを
思いきり力いっぱい たたきました
ドン ドン ドコドド ドコドドン

オニの子の 汗と涙が
パラパラと 落ちました
「雨だ 雨だあ」
下界のアリたちが
あわててアリズカに 逃げこみました

おなかにひびく オニダイコの音が
夕方まで つづきました
アリズカのまどには パチリパチリ
ヒマワリのような
あかりが つきはじめました

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 次回は、「リスじいさんの クルミわり」(童謡集:ホラ 耳をすまして ~Ⅵ ハダシと ハダカ~)から、詩をご紹介いたします。(S) 

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