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No.495 小黒恵子氏の紹介記事-61 (熱海のパラナマツ)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 様々な新聞記事等をご紹介しています。今回は、新聞に掲載された小黒恵子氏の紹介記事 をご紹介します。

熱海のパラナマツ

 熱海市伊豆山で今年初め、宅地造成工事によって切られそうになったブラジル原産の「パラナマツ」一本が、所有者の意思で保存されたが、このニュースを財団法人・森林文化協会の機関誌「グリーンパワー」で知った神奈川県川崎市の作詞家小黒恵子さんが、このマツに取材した歌詞をマツの所有者に贈り、歌碑がつくられた。来月四日、マツの下で除幕式を行い、熱海少年少女合唱団が、曲のついた小黒さんの詞を合唱する。

夢あふれる歌碑ができた!
川崎市の作詞家が贈り 感激の持ち主つくる 来月4日にお披露目
 パラナマツはブラジルのパラナ州などに自生する南洋杉の一種。伊豆山のものは、樹高約十㍍、根本付近の周囲一㍍ある。ソフトボールよりも大きいマツカサがつく。その実は食べられ、近所の人に親しまれてきた。しかし、マツのあるミカン畑を近くで電気工事会社を経営する牛島祐基さんらが昨年買い、宅地造成をしたため、マツの行方が心配された。
 だが、牛島さんは日本で珍しいマツと知って保存を決めた。二月十三日付の本紙静岡版で紹介され、「グリーンパワー」五月号にも転載された。詞を牛島さんに贈った小黒さんは、日本童謡協会理事、日本ペンクラブ会員で、川崎市公園緑地審議会委員でもある。童謡の詞をつくり、「ライオンの子守唄」などの少年少女合唱組曲十四曲で五十七年度日本童謡賞を受賞している。
 小黒さんはブラジルに旅行した折、パラナマツを見、別名「モンキーパズル」という名を覚えていた。「だれがつけたか 木の名前 アンデスの ふもとの村の 大きい大きい 木だったよ」で始まる夢にあふれた詞が生まれた。題名も「モンキーパズル」
 この詞にNHKが曲をつけ、テレビの「みんなのうた」で六、七月に放送された。小黒さんは「グリーンパワー」で知った牛島さんに、自筆の詞を六月に贈った。
 やはり植物好きな牛島さんは小黒さんの詞に感激し、マツを大切にしようと、サルの絵もある歌碑をつくった。小黒さんの字体がそっくりきれいな鉄板に記された。除幕式には小黒さんも訪れる。熱海少年少女合唱団の歌声が響き、アンデスの村と熱海の湯の里が素敵な歌で結ばれる。

朝日新聞 昭和59年(1984年)10月26日 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回は、1984(昭和59)年の新聞の紹介記事をご紹介します。(S)

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