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短編小説集《note版》

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2021年1月の記事一覧

いつか 秘術は解けるから

 志那子はかれこれ三十年以上、変わらず穏やかにほほえみ続けている。

 りん、とちいさく風鈴の音がして、ああそう言えばしばらく軒先に吊るしたままだった、と思い出す。片付けなければ片付けなければとそのままに、つい日が経ってしまった。朝の日課を済ませて立ち上がると足許にイツコが擦り寄ってきた。やって来たときにはまだまだ溌剌としたお嬢さんだったイツコも、今やすっかりおばあさんといった風情だ。朝夕の食事時

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