やさしさってなんですか。語られないやさしさは、それとわからないかたちで◆片親パンとコンドーム配布問題と、トー横【週刊スラムvol.92】
週刊スラムは読書サークル三ツ星スラムの機関紙として、スラム内トピックスをお届けしております。
実録!浮浪者は見た
大預言を読む
こちらは対談を加筆編集したものです。オリジナルの「ぷろおご×伊予柑の大預言」は三ツ星スラム内「木曜の読書会」にて、配信されています。
片親パンについてしみじみと語り合えるやつはみんな友達だ
伊予柑:木曜の読書会。今日は「片親パン」160円ぐらいで売ってましたよ。食べます?
ぷろおご:食べます。
なつかしい。ちいかわも食べるかい?
ぷろおご:おれはチョコチップスティックパン派。ご馳走の日はチョコチップスティックパンに雪印のコーヒー牛乳がつく
伊予柑:金がなくてカロリーが欲しい高校生の頃は食ってましたね
ぷろおご:すげえ安い。リュックにぶち込んでちぎって食う
悪夢のはなしをする少女、彼女の夢の国はどこ?
伊予柑:片親パンとともに、コンドームを福祉施設が配るのはいかがなものかという話がTwitterで話題
ぷろおご:日本に限界がやってきて、福祉に厳しい目が向けられていますね
伊予柑:あなたは新宿で福祉に奢られてる
ぷろおご:買うやつも売るやつも買われたやつもみんなくるんだよ
伊予柑:片親少女とか売春せざるをえない少女は、なんでお金をだして奢りにくるんですか?
ぷろおご:動機とかはみんなたいしたことないですよ。ライブハウスに行くみたいな感覚で、たいして興味ないけど友達が興味あるって言ってるから行くみたいな、あのノリじゃないですか。
おれなんて2、3万でいけるからディズニーランドに行くのとあんまり変わらないんじゃないですかね
伊予柑:おもしろかった〜みたいな感じで?
ぷろおご:そんなかんじ。
まあ、はなしはその人の経験だったり個人的なものになるから、内容は各々でちがうんですけどね。でも、まあ結局みんな変わらないですね
伊予柑:言ってることが?
ぷろおご:自分のなかでこれは問題だとかああでもないこうでもない、と自分のなかで設定してるもの、パッケージがちがうんですけど、
だいたい友達がいないとか家が核家族で大人が少ないとか、未成年だから自由にできなくて抜けられないとか、家族はカルトだけどカルトから逃げられませんとか、
そこから頑張って逃げてきたけど、未成年だからホテルも泊まれないし、身分証もないからどうしようもなくて、はたらけないし、みたいな。そうなると、違法なところでやっていくしかないから、そうなっちゃうよねっていうのは当然のことで。
男の子は家を出てもホモソーシャルに入れば、半分くらいの打率でそこそこのかんじで生きていけるじゃないですか。薬物とかいろいろやらされちゃうところもありますけど。
女の子は売れちゃうものがあるぶん、「そのへんにいるし…」みたいなのが多い。で、やりはじめたら簡単にお金もらえて、ってなるとそれはメインになりますよね
東京は、身ひとつでやっていける街?
伊予柑:地方のそういう少女の目線で見た時に、たしかにトー横しか選択肢ねえなって思ったんですよ
ぷろおご:地方は監視社会ですからね。どこにいてなにをしようが、親から離れられてるっていう実感も持てない。そうすると、東京というメタバースに・・・
伊予柑:高校生で、国公立だったら親が出してくれるけど私大だったら出してくれないみたいな状態って普通にあるわけで、それで地元に職があるかというと、東京から離れていたらそうでもない。
その時にどうするかって言われたら、トー横というか身ひとつでなんとかできる場所はすごく欲しくなるなあと思いましたね
ぷろおご:行かざるをえなくなりますね。場所にもよりますけど、地方で孤立した女の子はやっぱり性被害に遭いやすい。そうすると、そこの周辺にいるのは怖いとか、そういった被害を受けたときと似たシチュエーションにいるのが怖いとか、あとはその街全体が怖いとか、あそこでまたあの人たちに会ったらどうしよう、とかなるんですよね。
子どもなので、実際のリスクよりも大きく見えたりするのは当然で、そうすると東京で一回リセットですよ。
自分の育った地元で起きていたことをリセットしなきゃいけないから東京に行く、くらいの発想になる。東京の人がインドに行けば人生変わるみたいなかんじで地方の人は東京にくる。だけど、住むところがないしはたらけないので、違法なものしかなくて、そこにはそういった大人が集まっているので、大変だねっていう
福祉とは、弱い人をつなぎとめること
伊予柑:僕、田舎から出てきた男の子を一時的に面倒見ていたんですけど、最終的に友達のものをパチったんですね。それで追放せざるをえなかったんですけど、福祉の難しさというか、弱いやつはやっぱり弱いっていうのはツラい。能力はあったんですけど、根本的に弱いんですよ
ぷろおご:足りないですからね
伊予柑:そう
ぷろおご:じゃあ、誰がそこ補うの?っていうときに、基本的に誰もやりたくないわけじゃないですか。そうすると福祉って大事だねっていうはなしになるし、福祉の人たちもみんな好きでやってんのかって言ったらそんなことないわけですよね。
物好きだったり、個人的な経験からこうすべきだっていう強い気持ちがあったりしてやっている人はいるけど、そこにいるメンバーが全員そうかと言われたらそんなことはないわけで。
だから、公金から中抜きした金をいくらか懐に入れるとかもふくめて、福祉かなとおれは思ってる。だってそうじゃないと、なにで続けたらいいの?って話になってくるわけで、どうしようもないじゃないですか。それが横行しすぎたら刺すべきですけど、そこまででじゃなかったら国も多めにみるわけですよね。やるやつがほかにいないわけだし
伊予柑:頭はいいけど弱いやつは盗んだりするんですよね。そうすると、コミュニティからパージせざるをえなくなる。救いたいんだけどこいつは弱いっていう現実を受け入れるのは難しいと思っていて、Twitterの人たちはこの弱い部分を許せないんだよなぁと
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