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日々の気づき

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3月11日

あの日、私達はカウワイ島のホテルで眠っていた。 真夜中にドアを叩く音で起こされた。津波が来るから今すぐ高台にある小学校まで逃げろと言われ、1歳にもならない娘を抱き、貴重品だけを持って車に乗り込んだ。 高台の小学校には、すでに沢山の人が避難していた。設置された一台の小さなテレビを無言で見つめる人々の姿を思い出す。大変なことが起こっている。それだけは分かった。 テレビには津波が街を襲っている様子が映し出されていたが、その時はまだ他人事のように眺めていた。 Japan、Ja

桜の木と奇跡講座

これは娘がキンダーガーテンの時に描いた桜の木だ。 娘たちの通う学校では、春休み前の3月になると、子供が日々学んでいること、取り組んだプロジェクトについて親に紹介する生徒主導の面談(Student led conference)が開かれる。 少し興奮しながら案内をしている娘が、自分の絵はこれだよと指さした瞬間、正直少しがっくりしたのを覚えている。 こんな桜の絵が並ぶ中、娘の桜の木はぐちゃぐちゃにしか見えなかったから。 後日、娘が作品を持ち帰ったとき、これは桜の木を上

迷ったとき、悩んだとき

今年4月1日、バンクーバーに移住してから18年になる。あと何年もすると日本に住んでいた期間よりも長くなるのだから、最近あちこちに加歳を感じるのも納得だ。 2003年、就職して1年目だった。今考えれば、1年も経たずに退職届を出すことになるのだから会社にしてみればとんだ迷惑な奴だ。 あの時私は迷っていた。 21歳の時に出会った今の夫がカナダに帰ることが決まっていたのだ。一緒に行かないかと誘ってくれ、2人の間ではどんどん話しが進んでいたのだが、両親にも会社にもなかなか話せない

それは本当?

「みじめな私」の眼鏡をかけて世界を見ていたこと(投影)に気づいたのだが、今度はそこにくっついている感情を観察してみることにした。 眼鏡にはいろいろな感情が絡まっている。 「みじめな私」をしばらく観察していると、「母がかわいそう」「馬鹿にするな」という言葉と共に何とも言えない悲しみと締め付けられような感覚を身体に覚えた。 小学5年生の私は、おんぼろ自動車を運転し、同じ服を着回している母を恥ずかしいと思っていた。思ってはいたけれど、笑われたとたん「母がかわいそう」「私の母を