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WBC 選手たちのNow and Then

あまりにも素晴らしい決勝でした。
日本の野球界はついにここまできた。日本に野球が伝来したのは1872年のことでした。それから150余年、歴史に残る熱戦を制し日本代表がWBCの頂点に立ちました。3度目の優勝でありながらその感慨は最高レベルに達していることかと思います。その背景を歴史の連続性と国内リーグの成熟からみます。

メジャーリーガーの戦い

「憧れるのはやめましょう」決勝戦前のミーティングで大谷翔平はチームメイトを鼓舞しました。いつもアメリカ代表のスター軍団と戦っている彼の言葉には説得力がありました。思えば今までの戦いでもメジャーリーガーの存在が日本代表の躍進には不可欠だったと思います。

時は2009年。ダルビッシュ有は決勝韓国戦の9回に登板しました。3-2でリードしていたものの、1失点をしてしまい追いつかれてしまいます。そして延長10回表にイチローの勝ち越しタイムリーが生まれました。
10回裏、ダルビッシュが続投し韓国を抑えました。

それから14年、サンディエゴパドレス所属のダルビッシュはあの優勝を経験した唯一のメンバーとして代表に選ばれました。
8回に登板し1点を失ったもののリードを保って降板、9回の大谷に託しました。先頭バッターに四球を出してしまったのち、不穏なムードを一瞬で断ち切るダブルプレー。
そして2アウトからエンゼルスのチームメイトでありメジャー最強選手マイク・トラウトを三振に切ってとったボールは13年前のダルビッシュの再現のようでした。

当時のイチローはメジャーでも不動のスター選手でしたが、大会中は不振に喘いでいました。その苦難を経て放たれた決勝打に救われたダルビッシュは2011年に渡米。紆余曲折ありながらも戦い続け95勝を挙げています。そして大谷は、野手として投手としてメジャーリーグ史に確実に名を残す活躍をしています。
彼らだけではありません。1995年の野茂英雄が初めてアメリカに鮮烈な旋風を巻き起こしたとすれば、第1回大会でクローザーを務めた大塚晶文、松坂大輔や城島健司、青木宣親など30年間の数多の挑戦の上に今回のような達成が成し遂げられたと言えるでしょう。

2022年という特異点

日本のプロ野球に目を移しましょう。2022年は多くの記録が生まれた年でした。村上宗隆のシーズン56本塁打は2013年に元ヤクルトのバレンティンが記録した60本に次ぐ記録で、王貞治、カブレラ、ローズの55本を超えるものでした。この記録を22歳で成し遂げたのです。
また、佐々木朗希の完全試合も特筆すべき出来事です。この記録は1994年以来誰も達成していませんでした。(野茂や松坂、ダルビッシュ大谷でさえも!)もちろん20歳での達成は史上最年少で1試合奪三振数日本記録タイ(19奪三振)と連続打者奪三振記録の日本新記録(13者連続)と記録ずくめでした。
オリックスのエース山本由伸は投手四冠(最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振の4つのタイトルを独占すること)を達成しました。
この記録は歴代でも稲尾、野茂など限られた選手しか達成していません。山本はこれを2年連続で達成していて史上初です。歴代最強級の選手と言っても過言ではないかもしれません。
そんな極めてハイレベルな状況で鎬を削っている中で日本野球全体のレベルが底上げされています。首位打者と最高出塁率を記録し今年からメジャーリーグに挑戦する吉田正尚や近藤健介の今大会での活躍は目を見張るほどでした。若い世代に目を向けてもトラウトを三振に切ってとった高橋宏斗や戸郷翔征など皆が素晴らしかったです。
奇しくも、コロナウイルスの影響で1年延期となった2023年3月にその主役たちが躍動したことはとても幸運なことだったのです。

今後の発展に向けて

漫画ならこれで大団円連載終了と言いたいところですが、まだまだ日本そして世界の野球は続きます。予選を見ていても他国と実力差が開き過ぎている感は否めず、(こんな捻くれた投稿をしてしまった)他の出場国もレベルアップしてほしい。大会途中までニヒルを気取っていながら今や浮かれきっている私のような人をぶん殴るような試合を期待したいなと思っています。
欲を言えば日本からは私の応援する千葉ロッテマリーンズの選手がたくさん選ばれてほしい。佐々木はもちろん松川、藤原、種市、小野。。。そんなふうに思っています。


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