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映像の言語化という作業は具体化なのか抽象化なのか

はじめに

おはようございます。OGIZARUです。
まだ社会に出たこともない立場でよくそんな調子乗ったテーマ選べたなと思う方もいっぱいいるでしょうがもし興味ある方いらっしゃましたら最後まで読んでいただけると幸いです。

このテーマでnoteを書こうと思った理由は毎週金曜日の夜20時から生配信をされている”CameraTalk”チャンネル様のライブを見ていた時のこと。
【↓配信URL↓】

映像を言語化することと感覚で感じる余地について論じられていたからでした。

言語化とは何か

言語化と感覚で感じるモノ |CameraTalk堀口さんの発言より

CameraTalkチャンネルのホスト、堀口さんは

「言語化するという作業も大切なんだけど、タイプ別だと思う。感覚的にとらえていて感覚的にまねようという人も多い、割と職人ってそっちなんだと俺は思っている。僕は実家が大工で職人を見てきているから”職人ってなんだろう”というといわれたときに職人が言語化しているかといわれると全く言語化していない。てめぇの感覚のみでやっているのに図面に起こした人よりも正確にやるって意味がわからないんだけどこれはなんなんだろうというのを目の当たりにしてきた人間なので俺の中ではやっぱり言語化すればいいではないと思っている。なんかそこは言語化したところでってところだし解釈だって人によって変わってくるし感覚でつかんで…なんでコピーが生まれないか。インスパイアして昔の職人さんが作った…なんでもいい。写真でもなんでもいいんだけど先駆者が作ったものに対して感銘を受けて見よう見まねでまねていくってところから進めていくから…この…見よう見まねなんだよね。この言語化じゃなくて感覚的にすごいなぁでこねくり回しながら試行錯誤していくっていう作業があるからこそ自分のオリジナリティっていうのがそこにそそぎ込まれていくのでインスパイアしていながらも全く別のものが生まれて、すごいいいものが生まれてくる。その人なりに洗練されたいいものっていうのが生み出されていくっていうのがその人なりの個性になるって思ってるんだよね。だから僕はなんでもかんでも言語化すればいいかというと違うな、って感じている人だな。すごく感覚を大事にしたい。言語化がすべてでは逆にないんじゃないか、逆にすごいデータ化していく流れだからこそ凄い感覚を大事にしたいなと思う。IT屋さんだから余計にそう思うかも。これはよくも悪くも感覚をものすごく大事にしたいと思っている。言語化で、明確に見える人もいる。ただ、それは僕の中ではなんかトレース。それこそトレースってイメージがちょっと出てくる。いい悪いの話ではないけど。料理がまさにいい例なんだよね。レシピで小さじ三分の1とか職人さんが一個一個やったりしているっていうのはあり得ない世界だしそう教わっていないんだよね。でもうまいものを作る。うまいものを言語化して誰でも作れるようにするっていうのは料理のいいところではあると思うんだけど逆に言うと右へ倣えなんだよね。だから僕のなかではうんっ…って感じ。自分の中での余幅?自分の中での余白っていうか見ててなんとなくこのぐらい入れていたなっていうのがなんか違うなもっとこうしようもっとあれだなってやっていくのがすごい正しいと思う人だから目分量でやるほうが好きっていう。カメラって良くも悪くも言語化しやすい…じゃん。だからなんかそっちにいってる気がするけど感覚?もっとあやふやなものを大事にしたいなって感じだな。難しいよね。」

Youtubeチャンネル「CameraTalk」 2023年12月15日配信
「何か色々出て来たカメラの「噂」の話で一杯呑もうやLive」内 58分30秒ごろからのお言葉

要は
言語化という作業で何かが見えてくる場合もあるが、言語化というのは他人に伝える手段であって”トレース”するためという意味が多分にあるような気がする
・言語化せずに”感覚”で感じ取ったものを試行錯誤して似せていく過程で洗練され、個性が出てくるのではないか
というわけです。

その後も何度かライブ内で言語化について言及されていらっしゃったんですが、結論としては僕の中で、僕と堀口さんでは言語化の認識が少し違うのではないかという結論に至りました。

堀口さんの考える言語化とは|林さんの例を持ち出して

僕の中で、堀口さんの考える言語化というのが何なのかを考えていく上で元RICOHエンジニアで元bird and insect(映像制作会社)の林さんという人物の存在が浮き上がってきました。

ライブ内で言語化に関するお話をされる際に堀口さんは言語化を多くする方としてたびたび林さんの名前を出していらっしゃったのでXアカウント(@kotaronya)を改めて拝見したところ、映像から感じる”美”を言語化して多数のポストを投稿、多くの方に支持されているアカウントでした。
(1) 🌲虎太郎🌲(@kotaronya)さん / X (twitter.com)

林さんは、X等のインターネット経由の収益で現在活動しており、ブランディングとして言語化で成功をおさめられている方です。
そんな林さんの言語化をポストから拝見するとかなり具体的なものが多いなという印象を抱きました。
例えば、カラーグレーディング時に最暗部に何色を乗せるとどのような印象になるか、フィクションをフィクションと感じさせるためにはどのような方法があるか、などのものです。

僕は
堀口さんが林さんの投稿を見ることで言語化の作業が具体化に近いものだと感じているのではないかと考えました。

そこで、ほかの方々が言語化をどう捉えているのかに関して調べてみることにしました。

※僕は具体化に近い言語化を否定するつもりは一切ありませんし林さんおよびそのFF様に関しても否定するつもりは一切ありません。勘違いなさらないようお願いいたします。

その他の方々の言語化①|Yuichi Ishidaさん

そのほかにSNS等で映像を言語化すると仰っている方を探してみると複数人見つかりました。
その中でYoutubeで「動画の知識は言語化しよう【動画クリエイター向け】」というタイトルで動画を出されていたのがYuichi Ishidaさんです。

引用:動画の知識は言語化しよう【動画クリエイター向け】
https://youtu.be/M2xT7S5Tfqo

①クライアントに説明できる
クライアントに対して自分の”意図”を口で説明できることは非常に重要。言葉で意図や意識等を伝えることによってクライアントに安心感を与えることができる。
②自分の知識や技術を体系化できる
自分の撮影を言語で体系化することで他人に伝えることができ”知識”として残すことができる。体系化して整理をすることで知識が引き出しやすくなり、撮影の幅を広げることができる。
③再現性の向上
言葉で説明できることならば何度も同じことができる。言語化できない感覚のフワフワしているものはやはりあやふやなので言語化することで”スキル”として身についていくのではないか。

Youtubeチャンネル「Yuichi Ishida」2022年3月19日公開
「動画の知識は言語化しよう【動画クリエイター向け】」

以上が動画内でおっしゃられていた言語化する理由です。読んでいただければわかる通りかなりクライアントワークを意識した内容になっています。

その他の方々の言語化②|村崎哲也さん

noteに数本の記事を投稿されている村崎哲也さん
その中に「映像表現は「言語化」が重要」という記事がありました。
映像表現は「言語化」が重要|村崎哲也 (note.com)

拝見した結果は以下の通りです。

・映像表現は言語化を極めることが上達の近道
・映像表現で最も大切なのは「伝えたいことが伝わる」ことだから
・映像表現は「フワッとしたイメージ」を「ビジュアル」に変換して表現しなければいけない

映像表現は「言語化」が重要|村崎哲也 (note.com)

その他の方々の言語化③|山田健人さん

映像作家の山田健人さん。「THE PLAYBACK」というラジオ番組のレギュラーに選出された際のインタビュー記事内に「「映像を言語化する」というおもしろさ」というタイトルのインタビューがあったので抜粋します。

映像作家・山田健人が、ものづくりの現場で感じる「美しさ」とは? | J-WAVE DIGITAL CREATION

──先ほど、ニッチで専門的な番組というお話があったように、『THE PLAYBACK』は「映像を言語化する」というテーマが設けられています。

ちょっと御法度系ですよね(笑)。ただ、おもしろい試みだと思っています。いつもは、音楽や言語を映像化している人間が、ラジオでは逆のことをしている。話すために整理をすることは自分自身のためにもなっていますし、特にそれを人にお伝えしようという心意気でやることは、どこか学校のような感じというか。言語化の難しさは感じますが、ワクワクは常にあります。

――山田さんは映像を制作する際、「言語化」と向き合う時間はありますか?

あります。MVなどの映像を撮る際は、最初に企画書を作って「今回はこういうものを撮りたい」というイメージを共有するんです。映像作家によって企画書の作り方は違って、一行で書き表す方もいれば、絵コンテの方もいるのですが、僕はできるだけ文章をメインにしていて。あとは、アーティストと言葉を介して企画を説明していくことも言語化ですよね。頭の中で思い描いたことを言語に落とす瞬間が映像制作のプロセスの中で必ずあるので、ある意味では「いつもしていることを、ラジオでもやっている」と言えるかもしれません。ただ、今回の番組は自分の作品ではなく、人の作品や既存の技術を言語化することにトライしています。それも、「該当の映像を観ていない人にも伝わるように」という想定なので新鮮ですね。

――映像や、その周辺のトピックに特化した番組は珍しいですよね。

普通に考えたらよくわからないですもんね、ラジオで映像そのものを語るって(笑)。でも、だからこそおもしろいと思います。

僕は本も好きなんですけど、言葉と映像を比較したときに、映像は情報が多すぎると感じる部分もあって。例えば、本に「赤いリンゴ」と書いてあったら、どんな赤なのかを想像しますよね。ある種、定義が読み手に委ねられている。一方で映像は、あらゆる情報が内包されるので、こちらで定義するという側面が強い表現だと思うんです。

「ハリーポッター」を例にすると、僕が本を読んだとき、ハリーの見た目はダニエル・ラドクリフの印象ではなかったんです。もっと髪がボサボサな少年を想像していました。あとは、『リング』の貞子もそうですよね。あの作品も、映像の内包する情報が多く、インパクトも強くて、そちらのほうがパブリック化している。

──たしかに「貞子」と聞くと、設定よりも先に、白いワンピースで、長い髪を前に垂らしていて......といった視覚的な情報が浮かぶ人が多そうですね。

言葉に想像の余地があるからこそ、僕は映像を言語化するという試みにおもしろさを感じるんです。テレビなどで「このMVをおすすめします」と言われて映像が流れるのとは違う、まずはラジオで僕の言葉を聴いて想像してみてもらって、そのあと各々で答え合わせができるというか、二度おいしい感じがある番組だと思います。

――先ほど、「本がお好き」とおっしゃっていましたが、具体的にはどういう作品を読まれるのでしょう。

小説や学術書など幅広く読みます。小説家でひとり挙げるなら、谷崎潤一郎。職業病みたいなもので、僕は本を読んでいると自然に頭の中で視覚化されるんですけど、彼の作品は1行で1本撮れるほどの奥行きを感じるんです。

――山田さんの中で、映像と言葉はある種、地続きな部分がある?

そうかもしれません。MVやライブの演出をする際も、音像感だけでなく、歌詞をすごく大事にします。どういう歌詞なのかを意識し、そこから想像の一歩目を踏み出していく感じがありますね。

――今後、ラジオを通してやってみたいことはありますか?

誰かとお話はしてみたいですね。僕は関わるアーティストも多いので、ゲストにお招きして、MVやライブの裏側の話を話せたらいいなという思いがあります。

映像作家・山田健人が、ものづくりの現場で感じる「美しさ」とは? | J-WAVE DIGITAL CREATION

山田さんの場合、”共有するため”に言語化しているという面が大きいように感じました。
自分の感覚を他人に伝えるためには現状言語化するしかないので、確かにそうだなと思いました。

僕の考える言語化とは何か

ここまでの情報を振り返って

ここまでの言語化について僕が感じた印象を振り返ると

CameraTalk堀口さん:具体化に近い印象
Yuichi Ishidaさん:クライアントワークで相手に情報を伝えるため
村崎哲也さん:映像表現を上達するため
山田健人さん:相手に情報を伝えるため

となります。

僕が思う言語化とは

結果として僕は言語化をどう思っているのか、最初の話題に振り返れば堀口さんが考えた言語化とどう違うのかを書いていこうと思います。

結論から言うと僕は言語化を”抽象化”の作業だと思っています。

僕が言語化をするシチュエーションは”複数の作品”を見て”共通の良さ”を見出し”ノウハウ”を抜き出すという目的です。

”具体化の言語化”と”抽象化の言語化”は何が違うか

具体化、抽象化といっても何が違うかよくわからない人も多いでしょう。ということで僕が考える具体化と抽象化の違いを最後に書いておきたいと思います。

具体化の言語化は”具体的なテクニック”を抜き出すという意味が強く

抽象化の言語化は”抽象的なノウハウ”を抜き出すという意味が大きいように感じました。

ちなみに、テクニックとノウハウの違いを書いておきます。
ノウハウはある物事を手掛けるための手順や方法についての知識、
テクニックは”ノウハウ”をもとに身に着けた技術や技巧という意味があります。(BingChat出典)
ノウハウは知識としての情報に留まっていますがテクニックだとより具体的な方法等まで踏み出していくことになるので応用が利きにくいのではないかと感じました。

まとめ

僕は具体化に近い言語化を否定するとか、抽象化に近い言語化がいいとか主張する気は無いですしその権利もないとは思っています。しかし、言語化といっても一つの考えにとどまらないということが知っていただけたら幸いだなと思って記事を書いてみました。

最近はYoutube等のメディアを中心に言語化による写真の上達が騒がれていますが、まずは言語化を定義することから始めたほうが良いのではないでしょうか。

この記事に関する意見等もコメント欄に書いていっていただけると幸いです。


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