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乾杯はいつも瓶ビールで

夫と2人で飲みにいくとき、一杯目はいつも決まって瓶ビールだ。

なんで生ビール中ジョッキやグラスじゃないかっていうと、お互いに注ぎあうのが楽しいから。でも、夫になんでって聞いたら「生ビールはサーバーの手入れ具合によって味にばらつきがあるが、瓶ビールなら味が安定しているから」ともっともらしい答えを言われた。ロマンがない。

瓶ビールと一緒にやってくる小さめのグラスを傾けて、金色のビールが注がれていくのを一緒にじっと見る短い瞬間が、なんだかいい。泡がむくっと盛り上がるまでたっぷり注ぐ。注いであげたら、こんどは注いでもらう。それからカチンとグラスをあわせて乾杯する。すごく、同じのみものをいっしょに飲んでるなぁって感じがする。

おかわりは相手の飲むペースを気にする。というと気を遣うようでなんだか疲れちゃいそうだけど、2人で飲むときは、アンテナがちゃんとお互いに向いているので、自然とビールを注ぐタイミングがわかるのだ。グラスをくいっと傾けて飲み干したら、ゆっくり瓶をとって、おかわりを注いであげる。相手もそうしてくれる。なんだか心地いいリズムだ。

ラベルを上にする、みたいな、他の人に強いることはないけど2人のあいだでは暗黙の了解が、形式化されていることにも、心地よさを感じる。いつものやりかた。ビールの銘柄の好みも決まっていて、あればとりあえず「赤星!」。プレミアムじゃないふつうのモルツがあるとちょっと珍しくて嬉しくなっちゃう。

あと、瓶ビールのいいところは、飲む量が2人で違ってもいい塩梅に調整できるところ。体の小さいわたしと、大きな夫では飲めるビールの量もペースも全然違うのだけど、瓶ビールだとうまく分けあいながら飲むことができる。ちゃんと実利的なメリットもあるのだ。

だから、乾杯はいつも瓶ビール。

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