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アメリカに琵琶を持って行った備忘録③琵琶運搬編(2023年5月)

前回までのあらすじ

アメリカでの琵琶演奏に向け、荻山は楽器証明書を手に入れた!
さらに、主催者側がアメリカの長い名前の書類を取得してくれた!
さらにさらに、荻山はP3ビザを取得した!

物理的に琵琶をどうやって運搬するか

ようやく、持って行く書類の手続きは終わりました。
しかしながら、よーしこれで安心よーというわけには全くいきません。
そう、実際に琵琶を運搬しなければならないのです。

一般的な薩摩琵琶の大きさは、縦95cm×横30cm×奥行45cm(※弦巻の部分が後方へ大きく出っ張っているため)くらいです。
そして現在、航空機の機内に持ち込める荷物の上限は、おおむね縦+横+奥行が115cm以内のようです。

はい、大幅にアウトです。

ということは、全く気は進まないけれども、琵琶は、預入荷物として持って行くしかないわけです。

海外渡航時の、預入荷物の扱いのワイルドっぷりは、渡航経験に乏しい私でも知っています。
そんなところに大事な琵琶を放り込むのは、やっぱり怖い。
しかしながら、琵琶のために飛行機の座席を用意するだけの財力もない。
ただ。
ワイルド環境から琵琶を守ってくれる、ハードケースを作るだけの財力(?)を、2019年の私は辛うじて持ち合わせていたのでした。

何が何でも琵琶を守るケース

銀のモノリス……!!

2019年9月、ハンガリーで琵琶を演奏するため、このハードケースを特注していたのでした。
製作頂いたのは、大阪府枚方市にある、アルミケースやソフトケースを製造販売している、アクテック株式会社さん。

最近では、こんな画期的なケースで話題を呼びました。

ネット検索からいきなり突撃メールをかました一個人の私にも、丁寧に応対して下さり、実際に会社へ琵琶を持参、寸法を測り、ただでさえ安定しない琵琶を安全に固定し、衝撃にも耐えうる内装を考えて下さったのでした。
そして出来上がったのがこの堅牢なケース。

座りダコのある足が映ってますがご容赦を
琵琶を入れるとこんな感じ
フタ側の柔らかいウレタンで胴をしっかり固定します

実際に琵琶を入れて持ち運ぶ時は、弦巻を全て外し、全体を布の袋に入れて保護。
胴の背中側の大きな空間には、現地で持ち運ぶためのソフトケースを収納して隙間を埋めます。

海外旅行用のキャリーケースと並べるとこんな感じ

キャスターが付いているので、平らな道は自在に動かせます。
しかし、いかつい見た目ゆえ、「こいつ何持ってんねん」感は否めません。
何か可愛いステッカーでも貼ろうかと考えています。

重さは、琵琶を収納した状態で約20kg。
衣装等を入れたキャリーケースと合わせても、重量オーバーは免れました。
ただ、縦寸が大きいため、荷物受け取りの際にはターンテーブルに乗らず、別の出口から出てくることが多いです。

2019年のハンガリー渡航、そして今回のアメリカ渡航、2回の出動で、今のところ琵琶もケースも破損は無し。
次回の出動を、我が家で静かに待っているケースさんです。

ちなみに、ハンガリー渡航の様子をブログに書き残していましたので、よろしければこちらもご覧くださいませ。

まだ旅立っていないという事実

さて、ここまで、アメリカに琵琶を持って行くための準備について書いてきたわけですが…。
そう、まだ旅立っておりませんね。
そしてここまでお読み下さった皆様はもうお気づきのとおり、私、文章を書くのに、たいへん時間がかかります。
それゆえ、アメリカで実際に起こった出来事を書き起こす頃には、既に2023年が終わっている可能性もあります。
いや、できればそれは避けたい。
というわけで、なるべく年内を目指して、運用編をまとめていきたいと思いますので、気長にお付き合い頂ければ幸いです。

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