コレクターのCDたちのつぶやき
「コイツ、本当にやばい奴だよね」
「うん、ヤバい奴。とんでもないところに来ちゃった。」
「えっ、そうなん?プレスされてそのままここに来たからみんなそんなところだと思ってたよ。」
「いやいや、普通は買ったと売ったりされて、色んな人の手に渡って、移動していけるんだけど、コイツ基本的に売らないから、俺ら終身刑確定だぜ。」
「まあ、燃えるゴミに捨てられた奴もいるって聞いたから、それよりはマシなんだろうけどなあ。」
「下を見たらキリがないぜ。庭にヒモで吊るされてるやつもいるし、外国に売り飛ばされたやつもいるぜ。」
「まあ、それに比べたらいいのかも知れないけど、せめてもう一回は聴いて欲しいよなあ。」
「それ、俺も思ってた。コイツもう二度と俺らのこと聴かないよね。」
「マジで。中には買ってから一度も聴かれてないやつもいるぜ。何のために買ったんだよ。」
「そうそう俺も聞いたその話。包装のシールすら開けてないらしいぜ。」
「ヤバっ、それじゃただ集めるだけの奴じゃん。」
「今更知ったの?もうガチのコレクターって言っていいと思うぜ。一応聴くために買っているみたいだけど。」
「うん、なんか幅広いよな。100年前の音楽を聴いているかと思ったら、過激なテクノも聴くし、クラシックとか現代音楽とかもかかってる。」
「なんか最近買うペースが落ちてるよな。」
「それ、俺も思った。昔は週に100枚くらい増えてたもんな。」
「自分で音楽やり始めてからあまり買わないようにしてるらしいよ。」
「なんだもう駄盤をこれ以上増やさないで欲しいなあ。」
「おう。これ以上無駄にプレスされるCDが増えないように祈るばかりだな。」
「一時、握手券だけ抜き取られて部屋に積まれる一族いたもんな。」
「あれはむごかった。」
「やっぱりサブスクってこと?」
「いや、もうサブスクだったら俺ら姿すらないじゃん。もう信号化するわけ。」
「信号でも生きてるってこと?」
「それは定義によるな。」
「まさに、人間がその話を、そろそろ議論するところらしいぜ。」
・・・てな話でした。
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