【不妊治療体験談#9】人工授精にステップアップ
純粋に子どもがほしいという気持ちよりも、早く作らないと子どもが大学を卒業するころには旦那が還暦迎えてしまうとか、老後の資金も運用で準備しないととか、そんな現実的なことばっかり考えて早くできたほうがいい、なんて思っている。
3月はたしか東北で暮らす姪っ子の誕生月。いつ生まれたかさえ記憶になく、LINEの連絡すら抜けていた。
週末の温泉。ウォーターボトルと小説を持ち込んで、2時間のんびり過ごす。人が少ない時間帯。同じように空き時間を狙って子ども連れのお母さんがちらほら。すみっこでぼーっと本を読みながら「子どもがいたらこんなこともできなくなるのか」とか「できなければ10年後もこうしているんだろうな」とか、お母さんの後ろ姿をみながら「だれに見られるわけじゃないけど体型は崩したくないな」とか、くだらないことばかり頭に浮かぶ。
仕事の負担で疲れが抜けなくなったり、鍼灸整体にかよったり、それでも排卵が乱れたり、クロミッドを飲みはじめてあまりの眠気にブチ切れそうになったり。
仕事も不妊治療も自分の意思でやっているはずなのに、意思がなく流れるままに進んでいる。だから不満ばかりがつのる。
定期的だった生理もいまは自力でタイミングをとることも難しくなり、市内の病院から20分で通える地方の産婦人科に転院し、今月から人工授精に踏み切ることに。いつまでも体の疲れは抜けず、周期17日目にもかかわらず卵胞は11mm。考えるのも面倒で、何の説明をきくこともなく「人工授精お願いします」とだけ伝え、クロミッド3日分をもらって早々に帰宅した。
人工授精の上限は5〜6回。4回で妊娠しなければその後確率があがることはないという。クロミッドの眠気だけで「原因はほとんど男性不妊なのになんでわたしだけこんな思いしないといけないの」と愚痴がこぼれる。体外受精をしてまでほしいと今は思っていないけれど、切羽詰ったら考えはかわるのだろうか。
いろんな矛盾が渦巻いて、すべてが面倒になって、流されるようにことが進む。しばらく海辺でひとり暮らしをしたい。ひとりで過ごせないストレスが極限になったのかもしれない。結婚で幸せになるタイプだと思っていなかったけれど結婚したのは自分の意思。せめて意思に責任をもつ大人にならないと。こんな人間が親になろうとしているなんて、ここにも矛盾を感じる。
明日は1週間ぶりのクリニック。クロミッドで卵胞は育っているのだろうか。育っていたら嬉しいのか。観測者として眺めることしかいまはできない。
身体弱ヨワ系のみなさんの、お力になれますように。