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【不妊治療体験談#1】精子無力症と精索静脈瘤について(精液検査結果あり)

からだが弱く、不妊治療という言葉はいつも頭の片隅にあった。しかしまさか私が原因ではなく、主人が原因で不妊治療という言葉に直面するとは思いもしなかった。精液検査の結果、精子無力症ということがわかったのだ。不意打ちの右ストレートに、焦点が、思考が定まらない。帰路の車中、突きつけられた現実にひとり、止めどなく涙が流れた。

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はじめに

このマガジンは男性不妊について知識を深めることや、改善のための取り組みと結果について記録したいと思いはじめました。男性不妊の体験談はやはり女性不妊よりも圧倒的に少ない。貴重な体験談に感謝しつつ、一つでも参考となるデータを提供できたらと思っています。
そしてもうひとつの大切な目的は、自分の気持ちの納めどころ見つけるため。「自分は子供ができない可能性の方が高い」その現実に気持ちが激しく揺さぶられることが増えました。自分の気持ちをどう納得させるのか。定量的なデータ蓄積と定性的なメンタル面の2方向からマガジンを更新していきたいと思います。

※2020/11/27不妊治療専門病院での精液再検査の結果、運動率15倍の変化があり精子無力症と断言できない状況になりました。詳しくは「【不妊治療体験談#4】精液検査2回目 運動率3%→45% 検査は不妊治療専門病院で」をご覧ください。

わたしたちについて

主人37歳、わたしは29歳。楽天家な夫と、神経質なわたしの凸凹コンビです。結婚3年目、妊活は2019年11月から開始。1年経ったところでお互い検査に踏み切ったのでした。

夫(37)
【体型】肥満だけど筋肉体質、お腹には立派な浮き輪
【タバコ】非喫煙者
【酒】毎日は飲まないが飲み会が生きがいで「乾杯のために生きている」が代名詞。金曜日の夜は缶ビール2本ほど。飲み会はコロナの影響で激減し月数回程度。量はビール10杯程度もしくは途中で焼酎ロック、記憶がなくなるまで。
【病歴】小学生のころ喘息。その他は健康体で体力が異常、疲れ知らず。
【運動】会社で野球部とテニス部に所属し毎週末何かしら活動
【ライフスタイル】仕事は朝9:00-9:30の間に出勤、帰宅は22:00-22:30。金曜日はノー残。土日のどちらかは朝3:00起きで10時間程度の釣り。
わたし(29)
【体型】痩せ型、冷え性
【タバコ】非喫煙者
【酒】飲めない
【運動】週5日在宅筋トレ15分〜20分
【病歴】2018年に両方の卵巣嚢腫手術。仕事のストレスと重なって術後自律神経失調症が原因のひどいPMS、慢性胃腸炎に。半年におよぶ自律神経専門整体と今も継続している藤川徳美先生のメガビタミン健康法で日常生活を取り戻す。2020年11月左卵巣嚢腫(2cm程度)再発確認。
【ライフスタイル】扶養内フルリモートで10:00出勤、完全裁量性で15:00-17:00仕事終わり。土日は映画、読書、アニメ三昧。

▼メガビタミン健康法体験マガジン

精液検査結果

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・禁欲は2日間、2020/11/13の朝7:50採取、8:50検査
・採取後20分はほろぬるい布団の中、その後30分はわたしの腹巻の間に挟んで病院へ
・WHOが定める基準値はこちら

タイミング後だったため量が少ないのはセーフとして、問題は運動率。驚愕の3%、精子無力症でした。インスタやブログを漁っても10%以下の症例は数件しか見当たりません。こちらのサイトによると人工授精に有効な運動率は30%。(参照)人工授精の際、精液の洗浄・濃縮といった精液処理をすると運動率が上がるケースが多いですが果たしてここまで上げられるのかどうか。
総合病院での検査だったため、不妊治療専門病院で再検査を勧められ、月末に再検査となりました。

精子無力症の原因とは

主な原因は下記3つ。残念ながら半数以上は原因不明とのことでした。

・原因不明(約半数以上)
・精索静脈瘤/セイサクジョウミャクリュウ(乏精子症・精子運動率低下原因の35%)
・生活習慣

精索静脈瘤が原因であれば手術することで6割ほどが改善されるとのこと。平時は健康体を祈るものの、生活習慣もしくは原因不明となると暗闇のなか手探りになってしまうこともあり、精索静脈瘤であってほしいと思わずいられません。ここから先は精索静脈瘤について詳しく調べていきます。

精索静脈瘤とは

精索静脈瘤は精巣から心臓に血液が帰るための血管(静脈)にこぶができ、温められた血液が精巣に逆流してとどまることで精巣の温度が高くなり精巣機能が低下すること。熱は精子の天敵です。また血の巡りが悪くなることで酸素や栄養素、老廃物の循環がうまくいかず酸化ストレス物質(老廃物)がたまることも機能低下を招いてしまいます。(引用元) 右側よりも左側に多く見られるとのこと。(参照)
男性不妊症患者全体の約40%に認められる症状で、手術により50~60%の症例で精子性状が改善し、 35~40%の症例が妊娠したというデータがあるそうです。(引用元)

酸化が体に悪い理由
精巣も筋肉も人間の体は約60兆個の細胞からできています。細胞の中ではエネルギーを合成したり、さまざまな機能をもつタンパク質がつくられるなど、生命維持に必要な化学反応が絶えず起きています。ひとつひとつの細胞は細胞膜に包まれており、細胞膜が酸化してしまうと、酸素や栄養素を取り込みにくくなるのです。酸素や栄養素が取り込めない=エネルギーの合成や分解といった化学反応がうまくできず老化や病気の原因につながると言われています。
▼補足記事「からだのおはなし」
https://note.com/ogc1/n/n75a795d07b57?magazine_key=md2b138e04f81

精索静脈瘤の検査について

⑴セルフチェック
こちらの2サイトをもとにセルフチェックを行いました。
エス・セットクリニック>精索静脈瘤とは
大森病院リプロダクションセンター(泌尿科)>精索静脈瘤手術
が、結果は見た感じ特に問題ないとのこと。問題なし…

⑵泌尿器科における検査
・視診
・触診
・超音波(エコー)検査

⑶精索静脈瘤の手術費用
顕微鏡下精索静脈瘤手術の場合、局所麻酔、保険適応で4〜5万円程度。(参照)病院によっては全身麻酔にして一泊二日、費用も10万円以上というところもありました。基本は日帰りで、激しい動きをしなければ翌日から仕事もできるとのことでした。(体験談)

精索静脈瘤の治療には手術が必要。けれど前段落から、常に精巣の血流を良くし、酸化ストレスを軽減させることが大切ということがわかりました。ということはわたしが自律神経失調症を改善するため2年間実践し、効果のあった藤川徳美先生のメガビタミン健康法が男性不妊治療にも適応できるということです。希望の光。

男性不妊症これからのながれ

不妊治療専門病院は体外受精の口コミがとてもいい病院を予約しました。片道1時間半かかりますが、この際遠いなんて言ってられません。ただし、予約してから気付いたのですが男性不妊の場合、泌尿器科のある専門病院の方がよいとのこと。予測される今後のながれを書き出してみました。

▼不妊治療専門病院 精液検査再検査
▼精索静脈瘤の疑いがある場合は泌尿器科のある専門病院へ
▼精索静脈瘤の場合手術
▼精索静脈瘤ではない場合、3ヶ月の生活習慣の改善
▼3ヶ月後精液再検査
▼結果が芳しくない場合、追加で3ヶ月取り組むかどうか
▼6ヶ月改善が見られない場合、人工授精or体外受精

月末、不妊治療専門病院に行けばもう少し具体的になるはず。とにかく今はわからない不安が大きいので知識をつけて状況を把握し、わたしたちがとれる手段を洗い出し、実践すること。「わからないことがあったら、わかればいい… 自らの命を懸ける価値は十分ある」進撃の巨人、ハンジさんの名言がこんなカタチで蘇るとは、人生とは皮肉なものです。

次回は「精子無力症と生活習慣」「精子のしくみとメガビタミン健康法」といったトピックについてまとめてる予定です。

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「ジュウゥゥ」特上の上タンが炭火にあぶられ香ばしい匂いにつつまれる。検査結果の翌日、焼肉店で主人とわたしは不妊治療について話し合っていた。夜な夜な人工授精の成功確率や体外受精のプロセスなど調べ、その確率の低さと体への負担に脳が追いついていなかった。簡単に体外受精なんて言葉にしないでほしい。何も知らないくせに。心の中はヘドロのような感情に溢れ、疲弊していた。それでも現実は変わらない。お互いの目線を合わせるため、気持ちを探り合う。

「もし、最善を尽くしてでも出来なかったとき、特別養子縁組についてはどう思う?」もともと子供への関心が低く、いつかできればいいとくらいにしか思っていなかったわたしに、他人の子供を育てる覚悟なんて持てるはずがない。特別養子縁組については見解が一致した。「子供を育てるという経験をおゆきはしたいと思う?」そう聞かれた瞬間、『自分は人生で、子供を育てるという経験ができない可能性が高い』という事実に胸がえぐられ、涙が溢れた。いつかはと思っていた不確定な未来が、断崖絶壁となってある日突然、目の前に現れる。あぁ、わたしは子供がほしいんだ。初めて素直にそう思えた。「ごめん、極論すぎたね。」主人は悪意があって聞いたわけではない。わたしの子供への関心の低さから気持ちを探るために聞いたのだ。

嗚咽の隙間から「子育てしたい、気持ちに気付いた」と伝える。早く泣き止まないと。焼肉屋で困惑する夫と号泣する妻。離婚、浮気、絵面がさまざまな妄想をかきたててしまう。自分は大丈夫と安心させたくて、焼きすぎた上タンを口に運び「大丈夫、こんなときでも肉は旨い」と伝えた。

この先いつか焼肉の味もわからなくなるほどショックを受けることもあるだろう。食事がのどを通らないこともあるかもしれない。たとえ望みが叶わなかったとしても、それがわたしにしか歩むことのできない人生と受け入れるしかない。自律神経失調症も、不妊治療もできれば経験したくはなかったけれど、同じように苦しむ人の気持ちがわかるようになる。フィジカルな弱さは単なる弱さで終わらない。弱さを理解し他人の気持ちに寄り添えることこそ、人間の強さだ。

次回へつづく

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身体弱ヨワ系のみなさんの、お力になれますように。