機嫌なおそう

 
夕立のように黄砂と憂鬱が降る町で影を踏んでは消して
 
いつかみたおさかなやさん過ぎて電車は須くなぎ倒しゆく
 
殺された時のぬめりがナマコになった海だけはそういうところ
 
魂は空 煙草が核をつくり霧にみたされる 知った気になる
 
嘲笑の潮汐に似たケロイドをゆるすというのかゆるすというのか
 
サイゼ行こうよ酒を飲んでさ嘔吐しようね捻挫するまでずっと
 
吹き出しのついた拙い絵本ごと煮沸消毒じんせいあかるく
 
立ち上げた夏の空気に驚いてみんな死んだよ大丈夫だよ
 
殺されて花瓶になってからが本番の君の人生の喜劇
 
八月の死にたさ全部八月に生まれたせいだぼくら加害者
 
深酒に任させて肩にもたれれば死神が祝福を送る
 
苦労とか重ねないほうがいいよ、幸せになりなよドラ息子


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