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おばちゃんを泣かせたこと。


祖母っこだった。

おばあちゃんこ。

両親共働き。
母親は帰りが遅い仕事だったため

祖母が母がわり。


食事からおやつ。
お風呂から
寝るまで
小5くらいまでは
ずっと
祖母と一緒。




福井弁か?
小川家だけなのか?


私たち兄弟は
「おばあちゃん」ではなく
祖母のことを
「おばちゃん」と呼んでいた。


いわゆる
おばちゃんとは違う
「おばちゃん」


ややこしいが
「おばちゃん」と呼んでた
そのままで
おばちゃんの思い出を書きたい。





先日
久々に弾丸で
鯖江の実家で帰省。


姉妹だけで帰った。


実家で泊まった。

4年ぶりだ。



仏壇のある
座敷に布団を
姉の布団と並べて引く。


この布団が!
重い〜〜〜〜💦

田舎の布団は
重い!!!



三月も半ばを過ぎたのに
その日は
真冬並みの寒さで

電気毛布
敷き毛布
掛け毛布

そして
重い掛け布団という
完全重装備で寝た。




仏壇は
おばちゃんが
毎朝毎晩
お参りしてた仏壇。


私たちも
まず帰ったら
帰省土産を仏壇に持っていき
「チーン」お鈴を鳴らして

「おばちゃん 帰りました」
と手を合わせる。



子供の頃
朝一番のお水

その日炊いた一番のご飯を

大、小の
小さな優勝カップみたいな形の?

あれに
こんもりと盛り付けて

「まんまんちゃん
 あんしてきなさい」


最初のご飯は
絶対食べたらあかんよ
仏さんのやから


で、あのご飯のこと
うち
「まんまんちゃん」

もしくは
「御前さん」いうてたけど


「御前さん」って違うんちゃう??

酔っ払って御前様は
よくあるけど・・・・・




仏壇の前の布団の中で
そんなことをつらつら考えながら

自然と
おばちゃんのことを色々と思い出す。


大好きやった
優しかったおばちゃん。

私のことを
いつも
「恵理ちゃんは
 おばちゃんの
 おちょっぽこさんやで
(可愛くてたまらん
 孫、犬、猫などに使う
 うまく説明できん福井弁)」いうて
可愛がってくれた。




そんな
おばちゃんを
一度だけ泣かせたことがある。





高校1年生。

武生高校に入学した。

学区1の進学校で
無事
合格した時

おばちゃんは
誰よりも喜んでくれた。


入学式まであと数日という
春休み


おばちゃんが
「恵理ちゃんちょっと」

何?


おばちゃんの部屋に行くと


「恵理ちゃん
 これ
 おばちゃんからの入学祝い」


小さな包み。


中を開けると


わぁぁぁぁぁぁ


腕時計や〜〜〜〜。



生まれて初めての
自分の腕時計。
大人の仲間入りや。




赤い皮のベルトの
可愛い
キュートな腕時計!!!


嬉しい〜〜〜〜!!

かわいい〜〜〜〜❣️❣️❣️❣️

おばちゃん
ありがとの〜〜〜〜。


私の喜びようをみて
おばちゃんも
嬉しそうだった。




おばちゃんの赤い腕時計を身につけ

あっという間に
友達もたくさんでき

なんちゅうても
受験から解放された
ピカピカの女子高生。


私の高校生活は
順調に健やかに
滑り出した。



五月。
初遠足。


場所は
気比の松原。


勢いのある敦賀だ。



お弁当食べて自由時間。


私たちのグループ
気比の松原海岸に行ってみた。

綺麗な海!

まだ
水は冷たい。

はしゃぎがちな15歳。


「ちょっと〜
 足だけつかってみよっさ〜〜」



靴と
靴下を脱ぎ


海にそろりと
足をひたす。


「きゃーーー 冷たいのう〜〜」


そこで
はたっと。

左手首の腕時計に気づく。


あ!
これ濡れたらあかんやつや。

外して
置いておこう。



靴の上に靴下。
その上に
腕時計をポンっと置いて



キャッキャッキャッ
水を掛け合ったり

絵に書いたような
海辺のああゆうやつね



友達と戯れた。




あ。もう集合時間やざ!
そろそろ行こっさ!


靴下、履こうと・・・・・



あれ??



上に置いてた
腕時計が・・・・ナイ!!



え?????

絶対ここに置いたよね??


あれ?あれ?

最初は
近くに落ちてるのかなとか
無いはずないよねとか
まさかね?とか





でも
ない〜〜〜〜〜〜〜😭



友達も
一緒に一生懸命探してくれた。



最後は
もう泣きながら。


いうてる間に

「集合時間やぞ〜 早く集まりなさい〜」



おばちゃんからもらった
あの可愛い腕時計

まるで
神隠しにあったかのように
忽然と消えてしまったのだった…





今考えても
不思議。

友達が
「波にさらわれたんでないの?」というけど


靴下も濡れてなかったし
んなはずねぇ・・・・。

通りがかりの人に
盗られたのか・・。

そんな
悪い人おる??????




とにかく

たった1ヶ月で
大事な大事な
おばちゃんの腕時計
無くしてしまった。

はずさんかったらよかった・・・号泣




帰宅して
おばちゃんに
腕時計無くしたことを
いう時の
辛さといったら…



打ち明けると
おばちゃん


しばらく黙って

「いいんやざ・・
 恵理ちゃんも
 無くしとて無くしたわけでないでの」


無理に笑ってくれたが
おばちゃんの目に
光るものがあったのを見逃さなかった。



あの時の

残念
寂しい
がっかりした

そんな感情を押し殺した
おばちゃんの
泣き笑いの顔。

今も
はっきり思い出せる。



多くもない年金貯金の中から

鯖江の商店街の
服部時計店かな?平和堂かな?

出かけることも
めったになくなったおばちゃんが
わざわざ買いに行ってくれたのに。



「孫の合格祝いです〜」
嬉しそうに
選んでくれたんだろう。


あかん
書いてても
泣いてまうわ・・・・


おばちゃん
あんときは
本当ーーに
ごめんなさい😢😢😢😢








座敷の明かりは
長いひも
引っ張って消すタイプのライト。


豆球の
オレンジの光を見ながら。



実家効果ですかね



40年前に
過ごした時間。

子供時代が
さらさらと
思い出され


鼻の奥が
ツーーン。


あの赤い腕時計
おばちゃんの
あの泣き笑い顔。



胸が潰れそうになったのは
重い布団のせいだけではない。


#実家
#祖母
#腕時計
#入学祝い










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