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発熱と咳


喉の痛みこそないものの、発熱は38度を超え、咳が続いた。

ついに来てしまったかと。新型コロナウイルスが流行ってもう4年。2019年から続くこの流行病にもここまで無縁で過ごしていた私にもついに来た。

一つずつチェックしていく。

まずは味覚。普段から味がよくわかっていないのが、不幸に出た。もっと味わって食べるべきだった。でも甘い辛いは分かるから大丈夫だと思う。

次は聴覚。これは著しく落ちた気がする。なんか音が遠い。でも年のせいな気もする。

触覚。触覚というより握力が落ちた。メチャクチャ低下した。普段からほぼ握力はないが、それ以上に落ちた。物が持てない。これは困ったぞ。でも普段からないからあまり違いがわからないぞ。

という事で比較的元気である事がわかっている。しかしだ。万が一ということもある。万が一流行病に罹っていてそれに私が気づいていなかったら、迷惑するのは周りの人になる。それは避けねばならない。よし、受診しよう。

午前中の診察は混むことがわかっていたけども迷惑承知で伺ったら、いつもと違う待合室に通された。

待合室。灰色のカーペットにソファ型の椅子が数個置かれているだけの殺風景な部屋。網戸が越しから見える空は曇っていて、夏の終わりを感じさせる。

抗原検査が痛いと聞いてビビり倒していた私。だって怖くない?鼻腔に棒を押し当てられるのよ?ツーンとした痛み。多分身体の拒否反応的なやつよ。おそらく人生でもそんなに経験しないタイプの痛みだと思う。ただ、やっぱり調べておかないと怖いってのが本音。人に移す危険性もあるしね。

そしてその時が来た。看護師さんは穏やかな表情で淡々と準備を進める。
恐怖という文字が目の前で踊っている。
看護師さんが罰を与える執行人にすら見える。あの穏やかな表情の裏に、もしかしたら綿棒で人の鼻を攻める趣味があるかもしれない。

「抗原検査しますね」
「綿棒を鼻の奥まで入れますので、ちょっと痛いかもしれません」と言われて、「はい」と答える。「はい」と答えるしかない。私が必要以上に目を瞑るので、「ふふ」とちょっと笑われる。そんな事をしているうちに、グイって入れられる。一瞬痛みが走るがそれも一瞬。後はグイグイとされて、そのまま終わり。

これが驚くほど痛くなかった。不思議だ。前は痛くて悶絶した記憶があるのに。

待つこと20分。結果はインフルエンザ陽性。A型ということで、最近流行っているそうな。
帯状疱疹といい、インフルエンザといい、今年は散々だ。

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