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書籍【幸せジャンクション~キャンピングカーが運んだ小さな奇跡】読了


https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/B0BQMCWM99

◎タイトル:幸せジャンクション~キャンピングカーが運んだ小さな奇跡
◎著者: 香住 泰
◎出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン


久しぶりの小説は読書の秋らしい内容だった。自分も年齢を重ねたからこそ、主人公に共感できた部分がある。
実際にはあり得ない物語展開かもしれないが、逆に言えば事実は小説より奇なりとも言える。
自分も主人公の年齢と近いために、「こんなことがあったら、自分ならどう感じるかな?」などと想像しながら読み進められた。
自分専用キャンピングカーを転がして、日本全国を旅するなんて、それだけで面白そうだ。
現実は大変なこともあると思うので、正直妄想だけで充分ではある。
私の性格なら、実際にやったらすぐに飽きるだろうことも想像できる。
会社の倒産から物語が始まるが、実際に働けなくなるというのはどんな感じなのだろう。
結局、会社が潰れなくてもいつかは定年退職する訳だし、体が動かなくなれば、そこで引退する訳だし。
いつかはそういう日が訪れる訳であるが、まだ正直ピンとはきていない。
しかしながら、そろそろ自分自身も先行きを考えなければいけない年齢だ。
もちろん、考えたからと言ってその通りに人生が進む訳ではないし、想定できない突発的なこともまだまだ当然起きるだろう。
まさか60歳になって目の前で妊婦が出産したら、卒倒してしまうかもしれない。
小説だけに主人公の身の回りに起こることは都合が良過ぎるとは思うのだが、それもご愛敬だろう。
焦らずに淡々と、どんな時でもしなやかに生きていきたいと思う。
最近はそういう風に考えてしまうのだ。
普段の読書はビジネス書ばかりだが、たまに読む小説も面白い。
ビジネス書も無理して読んでいる訳ではなく、完全に趣味となっている。
自分には無い発想の著者の考え方などに触れることは楽しいし、単純に新しい技術について知識を得ることも楽しめている。
小説は著者の主張が隠れている場合もあるが、エンタメ小説であれば単純に楽しく読めればそれでよいのだろうと思う。
本書は完全なロードムービー(映画ではないが)形式で、さらにバディものだ。
こういう人生を送ってみたいという著者の願望なのかもしれない。
ほとんどの男は、60年も生きていれば、ほぼ全員傷だらけである。
最後に主人公が報われたのかどうかは想像するしかないが、現実の世界では報われないことの方が多いだろう。
きっと、それが人生だ。
そして、それでも人は生きていくのだ。
傷だらけでズタボロであっても、日々淡々と生き、そして老いていく。
生きるとは、結局そういうことなのだと思う。
読後の感じはそんなに悪くない。
ズタボロであっても、そんな人生を嫌にならなければ生きていける。
そう教えてくれる書籍であった。
(2023/9/25月)


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