見出し画像

DIGIDAY BLAND LEADERS 2020 #3

参加者、昨年の京都と人数は少し少ないくらいでしょうか。フェイスシールドつけて、マスクして、消毒して、こりゃ大変。今年はこのイベントくらいですかね。久しぶりのオフラインで感じる熱量。DIGIDAY、関係者の皆様ありがとうございます。

第一弾、第二段につづき、第三弾です。ラスト。

いま求められる、「高価値」のインターネット広告とは?

田中 恵氏 株式会社集英社 広告部 広報部 コンテンツ事業部 読者サービス室 常務取締役
池上 吉典氏 読売新聞東京本社メディアデザイン部長 / YOMIURI BRAND STUDIO

コンテンツを中心にした事業の多角化が進む出版業界。集英社さんはコンテンツホルダーとしてのライツ事業、クリエイティブブティックを作っているインフルエンサー事業等。紙を中心としたビジネスではなく、コンテンツの力を磨いていくというポートフォリオへシフト。読売新聞も同じく、新聞社の強みを活かしたソリューション提供、モノのサービス化等。日本を代表する伝統的のパブリッシャーの挑戦。

田中さん
 出版が持つコンテンツの力は大きく強い。例えば集英社の発行する雑誌ブランド毎月550ブランド。記事数は毎月3000。それも出版社だからこそ担保できる高い品質、そこから生まれる信頼性。読者のコミュニティ。歴史が生んだブランド力。この価値を広告ビジネスに活化すことで、広告の価値を高めていく。当然その信頼性を失うことが無いようにアドベリはIASをすべての媒体に実装。
編集のプロとして心に刺さるコンテンツを作成できるクリエイティブチェック体制。編集経験者を集めた集英社EDITORS Labを作り雑誌の名前に紐づかないソリューション案件オウンドメディア制作、イメージ動画制作などを進めており、コロナ禍でも案件は増えている。
インフルエンサーマーケティング事業においては、インフルエンサーの世界観を棄損することはしない/させない。スポンサードであっても、嫌いなものはやらない等様々な箇所で透明性の開示を意識している。

コンテンツの力はなんとかの刃シカリ。版権ビジネスに力を入れるということは、ともするとJAS〇ACのような立ち位置になりそうなものであるが、アーティストを持っているところが大きな違い。今後はアーティストの確保をいかにし続けられるか。漫画はまだ、Youtuberのようにはできない(やると未だに同人誌)かもしれないが、それもLINE漫画のオリジナル等のプラットフォーム出てきている。クリエイターの確保と”編集者”の価値を高めていく必要があるのだろうなと思う。
また、素人臭さが受けていたインフルエンサーも直近はプロならではの仕事が増えてきている状況らしい。

池上さん
Creadibility*Creatibity*Digitalizationというコンセプトで信頼性と広告を高める取り組みを進めている。外部の企業の力もかりながら、デジタル分野、デジタルメディアの信頼性を高める取り組みである。
YOMIURI BRAND STUDIOはその中のグループデータの統合マーケティング利用を推進するために発足。
デジタルメディアの信頼性向上の為に編集者上がりによる品質担保、動画作ったり場合によってはTVCM作ったりもする。読売の持つデータは品質が高いだけでなく貴重性の高い趣味嗜好・興味関心のデータでもある。ジャイアンツから遊園地まで幅広いコンテンツを持っている。そもそもメディアの場としての信頼性が高いなかで、さらに活用を作っていくことに取り組む。

実績として、福島県と廃炉の取り組みの動画作成を見せていただいた。記者が取材を行いー動画コンテンツをつくるということをされたそうで、確かにクオリティの高さを感じるまるで映画のような作品として仕上がっている。新聞社ならではの歴史を踏まえた攻めのデジタルは、減っていく新聞と対照的な突破力を見せつけるものである。

Content Media Consortiumの発表
プレミアムなメディアをあつめセーフティなメディアでアドベリフィケーションが担保された広告プラットフォーム。28媒体社約150メディアへの広告配信が可能。これによりアクティブリーチはSPで46.1% (インターネット利用者の約半数)PCで28.07%。量だけではなく質の視点も重視。第三者評価(VR社)による監査確認を実施。十分取り組んでいると言う評価を受けている。2020年11月からPOC実施し、2021年1月正式ローンチ予定。

各大手媒体もに審査も強化され、質のベースが上がる中で、質を深く大切にするのはやはり大企業。デジタル広告市場の大半は中小であり、中小は量の方が大事。このことから大企業向けのサービスになっていくだろう。質を大切にするクライアントと量を大切にするクライアントで土俵が変わっていくのもあり得る姿かもしれない。

顧客データ起点で見る、DXの現状と課題

田村清人氏 トレジャーデータ株式会社 CCO(Chief Customer Officer)

Kiyoto-sanの日本カムバック後初のプレゼンだとのことでお疲れ様でした。
どんな活用するにもデータ統合がないと、どうにもこうにも始まらないですからね。そして、そこに必要なパワーははっきり言って活用よりかかってしまいます。デジタルネイティブ企業でもない限り、この部分はプロに任せてしまった方がコストも期間もよっぽど短縮できる。

プレゼン内容はこちら↓ ※マイナビさんの記事
https://news.goo.ne.jp/article/mycom/business/mycom_2149667.html

ビューティ、ウェルネスの未来予測
by Glossy Japan

日本版Glossy立上

https://digiday.jp/category/glossy/

Z世代 ミレニアル世代の起業に注目。インスタを中心に強化していく。直近では20-30代の起業家女性やZ世代ミレニアル世代の消費行動はどうなっている等を話してもらった。今後、国内の女性起業のリーダーに登場してもらいながら、日本国内においても多様性を認め合う社会の後押しをしていく。

※GlossyはMashingUPから発生した。

https://www.mashingup.jp/

 デジタルファースト時代の「B2Bマーケティング」再考:新しいヒューマンチャネルの可能性

風口 悦子氏 日本アイ・ビー・エム株式会社 パフォーマンス・マーケティング 理事

IBM自身の広報・マーケティングの話を聞ける機会は初めてでした。巨艦IBMも変革の時代で模索されています。

風口氏
何を選び何を捨てたか
日本IBMで起きた変化:
 ・完全リモートワーク
 ・ボスであるCMOはUSに出張して帰ってこれなくなった
 ・社長が変わる
 ・インフラ分社化
ブランディングについて変化
175か国をコントロールするバランスの変化
 ・本社HQによる統括ー制約は沢山あるがその中でも
  状況が各国で違っていた。中国が出社が始るころ東京は緊急事態宣言。

とりわけ制作に関する制約は物凄かったそうで、制約のある中でどうあるべきかー出すべきかー待つべきかを悩みぬき、日本の判断はタイムリーにできる限りで出すという判断をした。それは、"社会にとってかけがえのないブランドとしてありたい"という思いと"この状況だからこそ伝えたい"ものがったから。

今年のイベント。オフラインはゼロ。各イベントオンラインの方が参加率が高く80%近い。(51%が旧平均)移動を伴わない利便性。管理職が出てくれる。複数回出てくれる方も増えた。
ただし、その後の獲得においては効率が悪い。万を超える商品がある中でどうしても営業とのタッチポイントが最後に出てくる。

営業なしでは成り立たない個別要件のBtoB営業は単純なデジタル化をすればいいというものではない。その中でデジタルエンゲージメントの強化が課題だと感じ、イベント参加を目的にするのではなく、イベントに来るまで、来た後、すべての顧客接点を大切にコミュニケーションをパーソナライズしていくことを強化しているとのことである。

メーカーからリテールへ:コロナで異業種転職した、ブランドマーケターの「本懐」選ばれ続ける存在になるために

石谷 桂子氏 合同会社 西友 マーケティング&カスタマーエクスペリエンス ヴァイスプレジデント

足立さん同期 26年間P&Gからこの8月に西友に転職。その決断も含めても何を選んだかーという話。P&Gではマーケターでありブランドビルダーとして長年活動。

石谷氏:
改めてBrandの語源
牛の焼き印(BURNED)。自分の家の家畜を他の家の家畜と識別するためにつけた焼き印であり、エンドユーザーが他社製品と区別できるような特徴を有している商品やサービスのことである。

「へぇ」ボタンあったら押したい。

石谷氏:
ブランドはなにからできているのか
 製品・サービス + ブランドエクイティ = ブランド
(良いもの作ってもそれだけではなく、価値や意味を持たせたことでブランドはできる)
その価値が高ければそれによって価格が高くても選ばれる

音部さんの顔が浮かびました。同じ。

石谷氏:
ブランドエクイティ=ブランド資産
ブランドエクイティは人々が持つ貯金箱の中身であり、会社が貯金するが、会社の持ち物ではない。(会社だけの持ち物ではなく、人々の中にある)
貯金を維持する増やすためには、人々の期待を裏切らない。人々の想定を越える経験を提供し続けること。一朝一夕ではなく長い時間が必要。お金投入して認知取って金かければできるものではない。

子供と一緒で生むためにも時間がかかりお金がかかる。子育てにもお金がかかる。長い歳月もかかる。積み上げて行かなくてはいけないものであるとのこと。ずーっとどんなときも愛し続けるような覚悟も含めて大切に大切に育まれていく。

石谷氏:
育てるためには一貫したメッセージを送り続けなければいけない。
人間関係と同じ。信用されることはぶれないこと。市場の変化に応じて、進化をさせていく。お客様のニーズに応じて進化させていく。
裏切った場合は一瞬で崩壊する。

どこぞの芸能人のように、一つの裏切りですべてを失う。信頼はそういうものでそれだけ尊い。石谷氏はコロナ下に合って改めて感じたこととして、ブランドビルディング、エクイティの重要性を上げる。

石谷氏:
消費者に選ばれるサービス、商品力、人、製品、企業としての一貫性
大変な状況になっても、ブランドがついているから戻ってこれた。
自分の名前がついていないBtoBをやっていると帰ってこない。
toBであっても、お客様に直接選ばれるようなサービスが重要。

マーケティング組織の話。マーケティングの組織も定義が様々で単なる販促部になっている部署もあればP&Gのようにそれを事業体として捉えるところから様々であるが、定着の課題はどこにでもある。

石谷氏:
組織として定着していれば人が変わったとしても、ブランドに対する考え方が変わらない。さらに言うと、その考え方とは"消費者を基点にその変化を変えながら彼らのニーズを元にブランドを作っていく"ということ。それを定着させれば、人が変わったとしてもブランドが崩れたり、組織が崩れたりしない。

ヒーローをつれてきた、その人がやめた。途端に組織ガタガタ、ブランド崩れるが起こっている。それではいけない。
ウォルマートではCMOがいて、良いキャンペーンをつくっていた。その人が去り組織自体崩れ、マーケティング部門は販促をやるだけになっていた。
そうではなくて、顧客基点の店をつくって、END-TO-ENDでカスタマーエクスペリエンスを体現していきたいと思い転職を決めた。

という素敵な転職ストーリーはまさに今回のテーマ、何を捨てて何を選んだのかである。新しい業界に飛び込んだ石谷氏は8月からの2か月間、店舗で品出しレジ打ちをオンボーディングとしてやっており、マーケティングやブランドビルディングが製品だけのものではないと改めて感じたそうだ。

お客様は数あるスーパーの中で一つだけ行くわけはない。
その選択肢の一つに入ってほしい。
今までその選択の理由は、どちらかというと立地などが多かったが、あえてこんな状況下でも、あえて西友に行くというお客様を伸ばしたい。

西友の強みを伸ばし、西友に行く理由を作る。

24時間営業ー
ライフラインとして重要。この状況下でも続けた。分散型で購買してくれる。良いサービスになる。ネットスーパーで買ってくれる方が増えてきた。オムニチャネルとしてのオポチュニティを感じた。
お墨付きシリーズ―
非常に強いPB。

西友に行くと、いつ行っても大丈夫で、いつ行っても安い安定感はある。
あと個人的には垣間見えるウォルマートっぽさも結構好きなとこ。

石谷氏:
わざわざ、西友に、あえていくなら西友にというお店作り強化。その為に何が大事なのかというとお客様が何を求めているのかを観察し対応していくこと。
もう一つ、組織を作ること。やめてもその組織がきちんと、西友の良さを積み上げていける。ブランドになっていく。
お客さんの為にも働いている人の為にもお店のブランドとしての価値、そして企業のブランドとしての価値を高めていく。
そういう想いが強ければ、選ばれ続けるブランドが育っていくと信じている。

Wrap Up “5 things we’ve learned”

長田 真氏 DIGIDAY[日本版] 編集長

恒例まとめの5THINKS。今回特に何を選び何を捨てたかー

1.平常心
2.原点回帰
3.健康的な成長を目指す
4.ヒューマンアセットを見直す
5.次世代のコラボレーションを目指す

どんな状況下でも正しい選択をどれだけしていくかが勝負を分ける。歴史に学び打ち手を考えることも大切だし、冷静になってデータを見直し、今取るべき手段を考える平常心。

数値目標を追ってがむしゃらに頑張るではなく、自分達を見つめなおしこの状況下で自分達が何をやっていくべきかを問い直す原点回帰。

拡大だけを目指すのではなく、どれだけ社会課題を解決できるか。社会に迷惑にならず、成長を続けていく選択肢もある中で私たちは何を提供していくのか。

従業員の方々をリソースとしてみるのではなく、アセット(資産)として
共に育っていくものとして見直す。家族的な温かさ。

単なるIPということではなく、具体的に一緒に価値を作る。データを使ったうえでできることが実現できるレベルに来た。価値共創をできるパートナーの重要さ。データを使ったうえでできることが実現できるレベルに来た。価値共創をできるパートナーの重要さ。

DIGIDAYのステートメント
 Gain An Edge, make smarter decisions
5周年:https://digiday.jp/publishers/gain-an-edge-make-smarter-decisions/

今回も濃かったー。DIGIDAY5周年おめでとうございます。
この11月6日ーお忙しい中沢山話してくださった参加者の皆さんやご講演いただいた方々、何よりも開催、運営いただいたDIGIDAYの皆さんに心からお礼申し上げます。おがわ。 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?