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明確な根拠のないマーケティング投資判断を無くしたい。

自己紹介

 株式会社秤の小川と申します。総合広告代理店でのコミュニケーションプランニング及び実行支援の経験とデジタルマーケティング会社やPR会社でのマーケティング戦略立案に伴うリサーチやコンサルティング経験を経て、2019年12月に法人を設立し、業務委託でデジタルマーケティングマネージャーやアドバイザーなど複数の役割で活動しているマーケターです。秤という会社の名前は、卓越したマーケティングノウハウを企業にインストールする株式会社刀から着想を得たものです。私は企業がマーケティングの意思決定をするために必要な知識を「秤」として提供したいと考えています。

明確な数値の根拠のないマーケティング投資判断など、多くの企業が行っている、あいまいな意思決定の現状を変えるための「秤」となる知識を浸透させることが弊社のミッションです。

マーケティング(コミュニケーション領域)の意思決定の常識を変えたい。

 時系列データ解析の解析によって効果を定量化するMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)の分析ツールを提供するサイカ社が、広告効果測定でデータ分析を実施している広告宣伝担当者に対し、効果測定に用いる分析手法について調査した結果(2020年調査)を参照すると、現在用いている分析手法としては、「過去の出稿額データに基づく前年度ベースでの判断(58.8%)」が最多であった一方で、今後用いたい分析手法としては「統計モデル・AI・機械学習などの技術を用いた分析(49.7%)」に回答が集中しているのに対して、今、そうした手法を行っている方は11.2%だそうです。これは2018年は4.9%。2019年は10.7%と増加傾向です。しかし、主な意思決定は過去の出稿額データに基づく前年度ベースでの判断です。これは果たして明確な数値の根拠を持った意思決定なのでしょうか?

 調査対象者は、インターネット広告、およびオフライン広告の両方を出稿している企業の勤務者であり、その企業で直近1年以内もしくは現在オフライン広告出稿業務に従事する方とあります。TVCM実施など、一定規模の予算がある企業が対象だと思われます。推測ですが、年1億円のマーケティング予算に満たない中小企業に調査対象を拡げた場合は半分以下、5%に満たないと思います。
 つまり、「統計モデル・AI・機械学習などの技術を用いた分析」は、今はマーケティング現場の常識になっていません。その状況を変えることに貢献したいと考えています。本noteでは、マーケティング予算最適化のためのマーケティング・ミックス・モデリング(MMM)を使いこなすノウハウを共有する弊社の支援についてご紹介します。

誰もが扱いやすいExcelで行う高度なMMMのノウハウ

 統計モデル・AI・機械学習と聞くと、高価なツールの導入や、システム開発が必須になると思われるかもしれません。私もかつて高価なソフトを使って分析をしていました。

以下のnoteをご覧頂ければ、過去に私が使用していた分析ソフトの使用経験を活かして、私がどの様にExcelで分析を体系化したか、参考にしていただけます。

参考note①

 私は、TVCMやインターネット広告などのマーケティング施策が、それぞれ売上をどれだけ増やしているか?効果を定量化し、予算配分の最適化試算まで行うマーケティング・ミックス・モデリング(MMM)の習得して頂くことを目標に書籍化しました。マーケティング施策(たとえばTVCMなど)の残存効果や投下量による効果の低減なども考慮して推定精度を向上することができる手法を学ぶ演習を行うExcelでできるデータドリブン・マーケティング」という書籍です。

マーケターに必要な統計や因果推論といった知識にまで触れました。50万部を超える販売実績を誇る「統計学が最強の学問である」シリーズ著書の西内啓氏からもご推薦頂きました。
 この書籍で公開したノウハウを学ぶことでTVCMなどのオフライン施策も、動画広告やSNSなどのデジタル施策も、売上数や金額、またはブランド指名検索などの重要な指標をいくつ増やしたか?定量化することで横並びで評価し、投資の判断ができる様になります。
 書籍では回帰分析を用いたMMMに必要な専門知識を網羅したため、百科事典の様なボリュームになりました。そこで、要点を分かりやすくオンラインで教える活動に挑戦し、2020年はのべ600名の方に講義をさせて頂きました。ストアカという研修プラットフォームで新人先生賞という賞を頂くこともできました。オンラインで教える技術を磨いたことで、マーケティング予算配分の最適化手段としてのMMMを一般化することに本腰を入れる準備が整いました。

(株)秤は、企業に何を提供するか?

 これまで弊社の主なビジネスは、クライアント企業のコンディションに合わせて行うアドバイスや研修、分析代行などを行うコンサルティング業務でしたが、今回はパッケージ化したサービスを提供します。

研修とMMM分析をセットで行います。

 ただし、サービス提供の対象は事業会社のみとさせて頂きます。自社で分析を行い意思決定を行うマーケターを育成することで、高い価値を提供できる自負があります。

広告会社や調査やコンサルティングなどの企業の支援を行う会社はパッケージ料金の対象外とさせて頂きます。

パッケージで提供するもの(現状把握・定量化まで)

 パッケージする分析では、時系列データ解析により貴社の重要なKPI又はKGIを説明するモデルを作ります。得られたモデルから、以下の様なアウトプットをご提示します。それぞれ売上や指名検索数などの重要なKGIまたはKPIを説明しています。以下は拙書の演習のために用意した架空のデモデータのアルコール飲料の売上数の説明モデルを例にしたものです。

◆予測と実績(説明モデルによって導いた予測値と実績値のあてはまりを確認)

予測と実績

◆KGIまたはKPIを構成している要因の円グラフ(説明モデルによって導いたKGIまたはKPIを構成している要因を可視化)

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◆KGIまたはKGIを構成している要因の積み上げ時系列グラフ

積み上げ時系列グラフ

◆KGIまたはKPIの積み上げグラフ(効果量と予算の比率を比較)

予算比率

※時系列データ解析による予測モデルと説明モデルは近しいのですが、ここではマーケティング施策それぞれの効果(専門用語での介入効果)を推定することが主目的てなるため、説明モデルとしています。

次フェーズから行う支援

 モデルの精度を上げながら、予算配分の最適化試算までをご提供します。そして、その分析(私が提供するExcelファイルで実行)方法をインストールします。一部、無料のExcel多変量解析ソフトも使います。特に、私がこだわったのは、マスとデジタルの予算配分最適化におけるチューニングです。
 年1億円の予算があり、それを全てCMなどのマス広告またはWEBプロモーションに投資していた場合、投資の時系列のトレンドを一定にし、倍の2億円まで増やすとした場合、マス広告は仕入れ単価を下げられる傾向にあり、WEB施策は入札制が多く単価が上がる傾向にあります。
 そのトレードオフを企業ごとの過去知見から得た数値を元にパラメーターとして取り入れ、現実的な投資配分を導きます。このノウハウは私が過去に欲しかったものですが、既存の分析ツールにその機能が無かったので、自らExcelのソルバー機能と関数で実装しました。

なぜ、「自走」を支援するのか?

 これまで、弊社に頂く相談のうち、MMMのノウハウを本気で学びたいというオーダーは支援会社の方のほうが多かったです。クライアントに対する付加価値としてMMMを武器にしたいという方が沢山いらっしゃいました。個人負担費用で時間単価数万円のレクチャーを続けた方もいらっしゃいました。一方で、事業会社は自前で分析を行えるようにしたいという方は、多くありませんでした。餅は餅屋にというお考えかもしれませんが、本来、もっとも重要なマーケティング予算全体の配分の意思決定に伴う分析こそ、自社で行うべきではないでしょうか?
 外注する場合、各種マーケティング施策の実行に対しての利害関係のある会社に分析を委託するのは、その会社が担当する領域の評価を高めるなど、恣意的な分析結果を出していないかという不安がつきまといます。一方で調査分析の専門家はマーケティング施策に対する理解が乏しい傾向にあります。
 マーケティング予算配分の意思決定を確かな数値の根拠から行って効果を最大化するためには自社で分析を行える様にすることが一番良いと思います。手探りだったマーケティングコミュニケーション施策それぞれの意義も明確化できます。そして何より、あの施策は「おそらく効いているはずだ」「いや、効いていない」といった不毛でしかない議論や検討によるリソース浪費がなくなります。それをなくすことが最大のメリットです。
 事業会社のご担当者が意思決定に用いる分析のアルゴリズムを理解することをオススメします。弊社にはそれを共有するノウハウがあります。宝の持ち腐れとなっている時系列データを整形して解析すれば、得られたモデルから、マーケティング全体予算配分の最適化による効果向上または費用の削減を予測し、意思決定できる様になります。繰り返しになりますが、Excelでできます。
 企業研修で漠然とメンバーを集めただけでは、どんなに私が分析の内容を噛み砕いて話をしても、本質的には響かず、自分が分析を会得します!と挙手する方は簡単には現れてはくれません。ですが、自走頂くためには、そうした方が現れる必要があります。そのサポートが弊社の提供価値となります。

目の色を変えるための実例

 漠然と企業研修をしたくらいでは、自ら分析を本気で覚えたいという方は簡単には現れて頂けません。一方で、自社の重要なKGI又はKPIをいくつかの変数で高い精度で予測または推定できるモデルを実際に作って、分析結果をお見せすると、みなさんの目の色が変わります。かつての私のようなモチベーションでMMMを自分のものにしたいという方が現れる可能性が格段に上がるのです。
 今回ご案内するパッケージでは、MMMがみなさんのマーケティング予算配分の意思決定に使えそうか?それを、まずご確認頂くため、現状把握の説明モデル作成までの分析をテストします。分析のプロセスと結果を題材に研修とセットで提供します。テストケースの結果から、次フェーズへ進むか否かを分析結果を教材として用いた研修に参加頂いたのちに、ご判断いただきます。

過去の経験から、MMMを活かすことができる企業に共通する勝ちパターン

 7年以上MMMの分析に携わってきたことで見出した勝ちパターンを共有します。

①デジタルマス横断の態度変容型コミュニケーションの効果の定量化にフォーカス

 拙書で用意した演習データに、TVCM、屋外交通広告(OOH)、紙媒体を入れましたが、MMMの結果から導かれるWEBのシフトの動きは多くのケースにあてはまります。オフライン媒体とWEB媒体の効果検証を、MMMによって横並びで評価(売上や指名検索)しましょう。私は10年以上前から、スマホの施策でメジャーブランドの実店舗売上を昨年対比で16%増えた実績や短期間で動画広告を2ヶ月で1,000万回再生し、それにより指名検索来訪および、そこから得られるコンバージョンを倍にした経験など、各種実績があります。その視点で行うデジタルコミュニケーションの効果を定量的に知っています。一方でWEBの指標に閉じたWEB媒体のPDCAではチャンスを逸しているケースが多いです。
 おおまかな傾向として、実店舗などリアルチャネルでの消費のビジネスで大規模なコミュニケーション投資をしているがMMMのアプローチができていなかった企業がMMMを行う場合はデジタルシフト。反対にデジタルチャネル中心のビジネスの企業ではマス媒体回帰にするという意思決定となる傾向があります。
 実店舗などリアルチャネルがビジネスの中心となる業種において、オフラインメディアとオンラインメディア、効果として得られる指標がバラバラだったものを統一して、定量化して把握することで得られる気づきがあります。デジタル施策で実店舗の売上がどれだけ増えているか?オフライン施策と横並びで把握しましょう。
 ECサイトやアプリなどのデジタルチャネルがメインとなる業種は効率的なリーチが担保できるマス広告のアシスト効果をきちんと把握しましょう。ある規模で、デジタルコミュニケーションチャネルはリーチが広がらずフリークエンシーばかり増えて効率が一気に下がります。フリークエンシー過多による逆効果を過去に定量化したこともありました。
 デジタル施策は投下料を増やすと仕入れの効率は下がる、マス媒体は増やすと効率が上がる、この前提を取り入れた最適化試算によって、最適配分を見出しましょう。


MMMの短所も理解、全体予算の最適化として活用

 計量経済学のVARモデル、状態空間モデル、動的ベイジアンネットワーク他、より高度な分析もあります。私が共有する分析では旧来からある回帰分析に、残存効果と、施策の投下量に応じた効果の低減(非線形な影響)を加味するためのアルゴリズムを加えたものですが、基本的に売上や指名検索数などのKGI又はKPIを説明する要因は現実10個程度が上限になる場合が多いので、(分析結果を有意なものとする為の各種指標をクリアするための制約から)その粒度での予算最適化を行うものとなります。分析の不理解から期待値を間違える、使いどころを履き違えると不毛な取り組みとなります。過去の支援での失敗もありました。自戒をこめ、弊社はそうしたネガティブな側面もきちんとご説明しています。

中間指標の発見と活用

 先行研究や私が行なってきたMMMの知見で明らかになっていることがあります。日常的に購入される低単価の商品やサービス以外は、時系列の解析においては、広告にまつわる変数が直接売上を説明せず、中間指標を介して、売上への寄与を説明できるケースが多いです。

TVCMなどの広告→中間指標→売上数

 その中間指標の中でよく用いるのが、ブランドキーワードの指名検索や、ブランドについて言及されたツイートなどSNSの言及数です。これらは当該商品やサービスに関する消費者の話題を象徴する代理変数、氷山の一角となる、大変貴重なデータです。
 例えば、不動産の購入に関する問い合わせや、自動車購入のための来店など、マーケティング施策の接触から、それらアクションに至るまでに時間がかかるものや、封切り前、または前売り券発売以前の映画のプロモーションなどは、時系列データ解析によって最終的に効果を知りたい指標を説明できないケースがほとんどですが、中間指標を説明するモデルを作ることで、効果を最適化する試算まで行うことができます。実際の分析結果で示してご理解頂くのがいちばん近道であるため、必要に応じて、中間指標についての説明が必要な場合は、パス解析(構造方程式モデリング)という分析も無料統計ソフトのHADを用いて行います。本noteのキービジュアルにもしていた以下のパス図は、2019年にヒットした映画の分析例です。(データはオープンデータから推計)

パス図横長

中間指標となりえる指名検索やツイートがなぜ有効か以下のnoteで詳しく説明しております。

参考note②③

手探りのマーケティング投資判断を終わりにしませんか?
まずはご相談ください。

お問い合わせ窓口

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追加情報(2023年12月18日更新)

クッキー規制で目減りする効果計測の課題を解決法をnoteにしました。無料で使えるMETA社の高機能なMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)ツール「Robyn」を徹底解説する2時間強のYouTube講義を公開しました。