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わかるとつくる

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「わかる」ってなんだろう。なぜ人は「つくる」んだろう。理解と創造性について考えます。
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2019年7月の記事一覧

わかるには大きすぎる(TOO BIG TO KNOW)

わかるには大きすぎる(TOO BIG TO KNOW)

Eテレの子ども向け科学教育番組「ミミクリーズ」で番組づくりをご一緒している生物学者の福岡伸一さんによれば、世の中には、まず地図を広げてから動くマップラバー(地図好き)と、自分の前後左右を見て動くマップヘイター(地図嫌い)がいるという。地図で全体を俯瞰するマップラバーは堅実で無駄がないが、動き出すのに時間がかかり、地図がないと身動きが取れない。一方、地図がなくても勘と嗅覚で動き出すマップヘイターはい

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マイノリティと選挙

マイノリティと選挙

選挙とは多数決である。民主主義では多数決の原理に従って様々な決断が下される。一方で、少数派の意見も尊重すべきであるとも言われる。多数決の原理と少数意見の尊重、一見矛盾するように思えるこの民主主義の2つの原則は両立しうるのだろうか。「マイノリティ(少数派)」とはどんな存在でそれを「尊重する」とはどうすることなのだろう。

常に説明を求められる「マイノリティ」そもそも「マイノリティ(少数派)」とは何な

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正しさはどこにあるか

正しさはどこにあるか

選挙とは、意見や考えが異なる人たちがそれぞれ自分の「正しさ」を主張する場である。当然そこにはお互いに相容れない「正しさ」が並んで存在することになる。ある党はAが正しいといい、またある党はBが正しいと言い、お互いに決して譲らない。そんな状況で急に選挙が始まってそれぞれの公約や政策だけを聞いていても、どちらが正しいのか、どちらを信じればいいのかわからず、思考停止してしまう人も多いのではないだろうか。

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ワカンナイ(Can’t Grasp It)

ワカンナイ(Can’t Grasp It)

『情報環世界』の執筆中、家に帰ってもわかるだのわからないだのと話をしていたら、妻が「そういえば陽水さんの歌にそんな歌あったよね」と呟いた。確かに「ワカンナイ」という曲がある。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」に対する井上陽水さんらしいアンサーソングである。調べてみるとこの曲にまつわるエピソードが沢木耕太郎さんのエッセイに綴られているというので気になって読んでみた。

「あの‥‥雨ニモマケズ、風ニモマケズ‥

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