探究活動事例1 ~農家と繋ぐ、イネの成長をみる探究活動~
2024年4月~ 「総合的な探究の時間」探究活動
生徒5名の問い「作物の育ち方に関心があって、肥料の違いでどう育ちが違うかやってみたい」
一見すると、穴だらけの問いである。
何の作物? 育てる時期は? 肥料ってそもそも何の肥料(液体肥料?牛糞等の肥料?)? 育ち方とは?
聞くと班員全員が、家庭菜園等での栽培経験はほぼ無く、うち1人が、親戚が家でちょこっとやっているのをちらっと見た程度とのこと。
未経験なのでやってみたいとのことみたいだ。
多くの指導者はここで「何の結果が得られるのかわからないから、やめておいたほうがいい。」「9月に中間発表会があるが、それに間に合わないからやめておこう。」と引導を渡しそうだと思う。
ただ、私は、私自身が農業未経験で何も知らない。その私が、無下にやめておきなさいとも言えない。かといって、自分たちで考えてやってみれば?と放ってもあまりに放任である。
★「農家」と繋ぐ★
たまたま知っている農家さんに電話して、2週間後、ご多忙な中学校に来てくださるとのことで、インタビュー機会を得た。皆、食い入っていろんな質問をしていた。農家さんからも世界情勢から見た農業の現状を話していただき、ご自身の主要作物 イネ についてもいろいろ話していただけた。
その後、別日に、種植えをするからと誘っていただき生徒が行ったところ、イネの種を分けていただいた。そして、田んぼの土も分けてくださるとのこと。農家にとって貴重な収益源をおすそ分けしていただくという、本当にありがたいことをしていただけた。
これから栽培をしていくことになり、収量比較についても視点を与えていただき、まずはやってみることになる。
【分析】
・新規性? → 世の中一般からするとありふれたテーマ。専門家から見てもありふれたテーマだろう。でも、田んぼは身近に見るけれど、身近な高校生が栽培をやっていそうでやっていない。
・検証可能?→ 一株当たりの収量をみれば検証可能性が高い。ただし、栽培成功が条件となる。
・イネを育てたことがある高校生はいるか?→ 実はそうそう居ない。ただし、ここは校内アンケートを取るなどして数値化する必要がある。
・生徒の変容が期待されるか?→ すでに変容した。農家さんに繋げる前は自分たちだけでどうにかしようとしていた(どうにもなるはずがないのに)。一度農家さんと繋いだ後は、農家さんに自分たちだけで訪問して会話ができていた。あとは私の想定をどんどん超えて動いてほしい。
私なりの分析では・・・、現段階でも価値ある研究になると思われる。継続した農家とのつながりと、地道なイネの世話に向き合うことができれば、生徒自身にとって何物にも変え難い貴重な経験を積むことになる。
これからのイネと生徒の成長に期待したい。
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