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靈が乗る平成終いの船

平成終いの船が出る、と、急に言われても、たぶん大半の人がポカーンだと思う。でも、わたしは霊媒だから、この船の運行に少なからず関わってきた。最初に船が出ることを教えてくれたのは故人で、ちょうど都に上洛してすぐのこと。当時子授けしていた方が懐妊されて、臨月間近。そんなとき、16年のキャリアで初めて依頼人の不審死を経験する。この事件で、わたしは二度とまがいものの神には、形だけでも頭は下げまいと決めたのだ。

この依頼人は、ある信仰宗教の学校OBだった。信仰を持つのは自由だ、僕は入信していません、と言われていたが、ぶっちゃけわたしにはどちらでもいい。その人がどの神様といるかは、あくまで本人の自由。そして、どこまでわたしが手を貸すのかも、わたしの自由である。このスタンスを変える気はない、しかしそのスタンスを変えさせた人物がいた。不審死したのは彼女の友人、うちにも彼女が連れてきた。本人に悪気はなかったのだろう、「会わせたい人がいるから」と、説明されわたしを施設に案内した。随分迷って「祭壇には祈らない」という約束で同行した。がしかし、案の定そんなこと罷り通るはずはなく、わたしは形だけ手を合わす羽目に陥った。このときの屈辱は、靈に刻まれた気がしている。二度と同じ目には遭いたくない、そう強く望んだら予約していた友人が不自然死したと依頼が入った。

鑑定では、幾つもの隠し事が明るみに出、わたしはこう告げざるを得なくなった。

もう、貴方の依頼は受けられません。

今年の秋に、同じように某教団施設に案内された。禁足地には参拝すればいける、といわれ、形だけ手を合わせてくれたら、と言われたが断固断った。次同じようなことをすれば、なにが起きるかわからなかったからだ。

お前にそんな力あんのかよ。東の、特に湘南の人はわたしによくそういう。力のあるなし以前に、ならこの事態を「偶然」以外の言葉で説明しろよ!と、毎回思う。事実がある以上、予防線を張るのが人間てもんだろう。

長い前置きはさておき、この事件を機にわたしは平成終いの船に携わることになった。8/16の送り火には2年連続で示された場所から船を出し、その船に乗るべき「お客」が依頼人として目の前に集まってくる。いまがそんなとき、冬至から年末にかけて、船が出るらしい。そこに乗せてくれ、という故人の声を受けてわたしに出航のスケジュールが知らされるわけだ。貴方の周りにも船に乗りたい方はいないだろうか?もし居るなら、次のことをしてあげて欲しい。

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