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会社の「未来のこと」を考える時間を増やしてみて、気づいたこと

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりや、いま考えていることについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

じつは最近、僕の働き方が変わりました。いままではプロダクト全般、組織全般の責任者として現場にきっちりと顔を出して、ああだこうだと言っていたわけですけど、少し前から一歩引くことを決めました。

じゃあ代わりになにをやってるのかっていう話ですが、経営者として未来の次の一手について考えるようにしています。

目の前のものばかり見ていたのは反省点

とはいえ役職は変わっていません。

代表を退いて会長になった、なんてことはないです。そういった組織変更はしていないですが、立ち位置が大きく変わったと思います。

Voicyが数年先にどんな姿になるべきなのか、会社の事業価値はどう変わっていくのだろうかという、未来のことにしっかりと向き合っています。

現場のリーダーたちにはVoicyの今を作るところと、その次を考えるところに注力してもらっています。僕はそのさらに先ということになります。次の次を考えるわけですね。

ただですね。僕は現場大好き人間なので、「このアプリ、このデザイン、もっとこうしたらいいじゃん」みたいなことをどうしても言ってしまいがちです。

いままで、そういった目の前のこと・緊急性の高いものに時間を取られすぎていて、「緊急じゃないけど大事なこと」に取り組む時間がこの数年、本当になかったんです。

じっくりと未来を考える、社会を考察する。そういったことに時間が使えてなかったっていうのは明確な課題と反省としてありました。

そういった形で働き方と社内での立ち位置を変えてみると、そこには意外な発見がありました。もちろん現場のことはわからなくなりますが、その分、遠くが見えて、視野が広がった部分もあります。

なのでこの取り組みは、ほかの経営者のみなさんにもぜひおすすめしたいところですが、もちろん悩みもあります。

緒方の話がこれまで以上にふわっとしがち

想像できると思いますが、未来のことや次の次の一手のことをいくら考えても、すぐには結果がでません。当たり前です。すぐに何か起きたとしたら、それは次の次の一手になってないということでしょう。

でも、すぐバシバシ結果が出ないって、とてもつらい。なんかこう、「あれ? 今週は何もやってないな…」みたいな気持ちになってしまうこともあり、ついつい焦ってしまいます。

この間、社内のキックオフMTGで各チームからの発表がありました。それぞれのリーダーが直近でやってきたことをどんどん発表していくんですけど、僕の発表がめちゃくちゃふわっとしていまして(笑)

社内の感想も、「緒方の話がふわっとしている」っていう声が多くて、なんかもうふわっとしたことを言う人みたいなポジションになってしまう。そこの歯がゆさみたいなものはあります。

やっぱり思いついたらすぐ動いて、良くも悪くも結果が出るのって気持ちいいじゃないですか。僕も何かリリースしたいんですが、そこは抑えてやっているところです。

もう一度スタートアップをはじめた感覚

もちろん、楽しいこともあります。数年先を見据えて次の事業を考えるって、もう一度スタートアップをはじめるような感覚です。

Voicyのコンテンツを使って出版社を作れないかなぁとか、もっとVoicyのパーソナリティさんが活躍できる事業ができないかなぁとか。AIを活用する、VRとAR、仮想通貨がかかわってくるなどなど。社会の動きとVoicy、音声のこの先を考えると可能性は無限です。

もともと僕は、「経営者だって飽きるよね」と思っていました。実際に飽きていく人たちも見てきたので、Voicyというサービスと組織をつくるときは常に飽きのこない、変化のあるものを作ろうと考えていました。

Voicyが毎年少しずつ変わったことをするのは、変化自体を志向しているからです。Voicyフェスなんかはいい例だと思います。回を重ねるごとに無理やり難易度を上げていますから。

でもそのほうが楽しいじゃないですか。無限にできる可能性が広がるからこそ、集中する場所を決めて、一点突破して、無理そうなことを実現してきたわけです。

僕はいま現場から離れて、瞑想しているモードなんですけど、社員のみんなはめっちゃ活き活きしていますね。現場は任せて、緒方は未来のことだけ見ていてくれっていうプレッシャーを感じます。

先日リリースしたボイスドラマは、たぶん初めて、僕が一切現場で関わらずに世に出た新機能だと思います。とても頼もしく思います。

「新規事業」と「新規企画」はちがう

新規事業。

この言葉、みんなよく使いますけど、考えてみるといろんな意味を含んでいて、僕の中ではいくつかの種類にわかれると思っています。

まずは既存事業を伸ばすための一手として考える、新たなプランです。これは現場から声が上がったり、経営陣からのオーダーではじまったり、まあ普通にそのままやるじゃないですか。これは言ってみれば「新企画」です。

このサービスのこの部分にAIを組み込めないかなとか、あの人にオファーしておもしろい番組を作ったらどうだろうとか、これらは新規事業というよりは新企画になります。

次に、たとえばVoicyが音声の出版社を作ろうとか、いままでにない一大イベントをやろうってなったら、これは「周辺事業」と言っていいかもしれません。メイン事業とのシナジーを使って、新たなマーケットに踏み出すものです。

新規企画も周辺事業も、どちらも新規事業と呼ばれることがありますが、厳密にはちがうと僕は思っています。

では新規事業とはなにかというと、たぶん既存事業とまったくKPIの異なる、新しい分野でのチャレンジです。たとえばVoicyがいまからガジェットを作ろうとか、SaaSの顧客管理ツールを作ろうとか、そういうものです。

そういう定義にのっとって考えると、Voicyはしばらく新規事業はやりません。僕がいま考えているのは周辺事業と新規企画で、Voicyの未来がより拓けるタネがないかと探しているところです。

数年先のリブランディングへ

というわけで僕としては、考えたことをわちゃわちゃと形にしていく新規事業の準備室および社長室みたいなものを作らないといけません。

緒方の直下でいろんなことを企画してはそれが成り立つかどうか検討して、実装してみて検証し、形になるようだったら膨らませて、新規企画は既存チームの中に突っ込んで、周辺事業だったらある程度まで自分たちで作って運営できるチームを作りたいんです。

とりあえずどんなことでも企画に落とし込みますよっていう人と、言われたらとにかく手を動かす行動力の人と、できればプロダクトをつくれるエンジニアがいるといいですね。

こういうのって一般的には現場のリーダーがなかなか人を貸してくれないものなんですけど、そこをなんとかチーム作りしていきたいなぁと思っています。

そしてもう1つ大きなこととしては、数年のうちにリブランディングをしたいと考えています。そこに向けて最低限ほしい機能やコンテンツを揃え、一気に発信していきたい。

前に会社とサービスのロゴ変えてからもう4年ぐらいたっています。コロナ以前のことなので、もう一周した感じもありますし、ここ1年で社会は大きく変わりつつあります。

いまいるメンバーもほとんどがリブランディング後に入っています。会社のメッセージをまた新たにすることで、僕らも新規一転できると思うし、みんなのモチベーションにつながるんじゃないかな。

こういうリブランディングみたいな計画は、かなり先を見通さないといけないことです。目の前のものの延長線上だとなかなかできないので、じっくりと取り組みたいですね。

ちなみに経営者仲間からよく聞かれるのが、「現場にいろいろ言いたくなるんじゃないですか」とか「我慢するの大変でしょ?」ってことなんですけど、それはその通りで、もうリーダーにはブツブツと言っています(笑)

言っているんだけど、リーダー陣のみんなは「あー、はいはい」って言いながら現場に落とさず、そこでせき止められている。

結局、そのあたりをリーダーたちとちゃんと握っておくのが大事なんでしょう。めっちゃ頼りにしているし感謝しかない。みんないつもありがとう。

声の編集後記

今回のテーマについて、音声でも話しています。よかったらこちらもお聞きください。

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