見出し画像

【PMBOK対応】PM試験の知識体系まとめ(#4 コスト編)

概要

コストはQCDの1つであり、納期・品質とともに重要な観点である。
プロジェクトマネージャーは、手法・ツールを駆使し、必要な予算を算出し、有効に活用していかなければならない。
もし予算の不足・大幅な余剰、無駄遣い等発生した場合、あなたは説明責任を果たせるだろうか。

4コスト

#4.1 コストマネジメントの計画

コストマネジメントに対する活動指針の決定し、コストマネジメント計画書を作成する。
具体的には以下が盛り込まれる
・測定単位:例)人日
・見積り精度:例)±10%等
・コントロール閾値:例)ベースラインからの逸脱±10%等
・報告の書式/頻度
 ・・など

実施時期は、他の知識エリア(スコープ・品質等)の計画にて予算要求が発生する、プロジェクト初期となる。

#4.2 コストの見積り

プロジェクトで発生するコストの概算見積りを行うプロセスである。

画像1

■#4.2.1 パラメトリック見積り
・4.2.1.1 プログラムステップ法
プログラムのステップ数(行数)を基に、コスト・所要期間を見積る手法。

・4.2.1.2 COCOMO法
ベーム(Boehm)が考案したソフトウェア開発工数の見積り技法。
見積り方法は以下の通り。

画像2

①予測プログラムステップ数
過去に開発したシステムの規模・ステップ数(実績)と、今回開発したシステムの規模を比較し、算出する。

②開発生産性
類似の過去システム開発における開発生産性を、「人月/kステップ」で算出する。

③指数倍率
開発規模が大きくなると、コミュニケーションコスト(認識を一致させるために費やす時間)が指数関数的に増える。
これを考慮するため、過去システム開発の実績値を参考に指数倍率を算出する。

④補正係数
①~③は過去プロジェクトを考慮したものである。
今回開発するシステムの特殊性を考慮するため、補正係数を掛け合わせる。
具体的には下図のようなものである。

画像3

上記図の場合、影響要因ごとに生産性の数値を決め、
C1×C2×C3×C4×C5×C6で補正係数を算出する。

・4.2.1.3 ファンクションポイント法
アルブレヒトが考案した見積り手法。
ソフトウェアの「機能」に着目し、見積もる。
よって、内部設計より前の要件定義・外部設計工程から利用でき、設計が進むにつれ精度が高くなる。
機能ごと。処理内容の複雑さ等からファンクションポイントを採点し、
その後すべての機能のポイントを合算し、規模や工数を導き出す。
ファンクションポイント法の1つであるIFPUG(International Function Point Users Group)による手順は以下の通りである。

①基礎数値の決定
開発するプログラム機能を5つの種類「内部論理ファイル」「外部インターフェースファイル」「外部入力」「外部出力」「外部参照」に割り振る。
その際、「複雑度」を定義する。

画像4

②ファンクションポイント数の算出
①で出した複雑度に対し、ファンクションポイント(FP)を設定する。
そのFPに対し、機能数をかけ合わせ、総ファンクションポイントを算出する。

画像5

③補正係数の算出と適用
本プロジェクトにおける特殊性を加味するため「補正係数」を用いる。
具体的には以下のような要素・基準である。

画像6

計算方法は以下の通りである
影響度(C1+C2+C3+C4+C5+C6+C7)×0.01+0.65
仮に影響度が0.4だった場合、補正係数は
0.4×0.01+0.65=1.05
となる。
上記表の場合、
FP(541)×補正係数(1.05)=ファンクションポイント(568)
となる。

④見積り工数の算出
最後に、開発生産性(人月/ファンクションポイント)と掛け合わせれば見積り完了である。
例)開発生産性:1人月/0.9FPの場合
見積り工数:568×0.9=511.2人月

■#4.2.2 三点見積り
プロジェクトの作業期間・コストを楽観値・最可能値・悲観値の三点から見積もる手法である。
- 楽観値:物事が円滑に進む条件が整い、最短で完了する場合の値
最可能値(最頻値):いつも通りの進捗の値
悲観値進捗が悪く最遅で完了する場合の値
この三点を、以下の計算式いずれかに当てはめる。
- 平均:(悲観値+最可能値×4+楽観値)÷6
分散:((悲観値-楽観値)÷6)の2乗 
標準偏差:分散の平方根
これを基に、統計学の知識である信頼範囲を使う。
- 平均値±標準偏差に収まる確率:68%
- 平均値±標準偏差×2に収まる確率:95%(一般的にはこれを使用)
- 平均値±標準偏差×3に収まる確率:99.7%

具体的には以下のように使用する。

3点見積り

■# 4.2.3 予備設定分析
・#4.2.3.1 コンティンジェンシー予備

既知の(予測済みの)リスクに対する予備費。
予測したリスクごとに設定する。

・#4.2.3.2 マネジメント予備
未知の(予測不能な)リスクに対する予備。
プロジェクト全体で1つだけ設定する。

#4.3 予算の設定

個々の活動に必要なコストを集約し、プロジェクト全体のコストを算出する。
承認後、コスト・ベースラインとなる。

#4.4 コストのコントロール

■#4.4.1 アーンド・バリュー分析
EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)で用いられる、パフォーマンス管理をするための分析技法。
まずは用いられる言葉の名称と意味をしっかり理解してほしい。
この表は、わかりやすいようにかなり頑張って作成した

画像8

画像9

・ETC(残作業のコスト見積り)の具体的な計算方法
ケースごと、計算方法が変わる。

画像10

・残作業効率指数(TCPI:To Complete Performance Index)
残存資源を使用するうえで必要な、コストパフォーマンスの指標。
残り予算(BAC - EV)に対する、未完了作業の完了コスト(BAC - AC)の割合を表す。
例)1.3の場合、今までの1.3倍の効率で作業しなければ間に合わない

CPIが1を大きく下回る場合、挽回が現実的でなくなってしまうため、
未完了作業の完了コスト計算を、「BAC - AC」ではなく「EAC - AC」にする。

画像11

謝辞

以下利用させていただきました。感謝申し上げます。
いらすとや
XMind

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?