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【PMBOK対応】PM試験の知識体系まとめ(#3 スケジュール編)

概要

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スケジュール・マネジメントは、QCDの1つ「納期」を守るためのマネジメントである。
納期の遅れはプロジェクト失敗の代表的な要因の1つであり、苦労した方も多いのではないだろうか。
きめ細やかにスケジュールを管理し、デスマーチを発生させないように取り組んでいきたい。

3スケジュール

【余談1】私が従事した業務別のQCD優先度
私が過去従事した業務別に、どういった優先度を意識していたかシェアしようと思う。

・制作会社勤務だった頃
「納期>品質>コスト」
理由:顧客への請求の優先度が高いため
・事業会社勤務だった頃
「品質>納期>コスト」
理由:品質が事業に大きく影響するため
・フリーランスだった頃
「納期>品質>コスト」
理由:顧客への請求の優先度が高いため

総じて、「コスト」の優先度は低かった。
財務が健全であればこういった判断になるのは妥当であろう。

【余談2】航空旅客事業におけるQCD優先度

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案件で関わりのあったパイロットの方に伺ったところ、以下の通りだった。
「安全性>定時制>快適性>利便性>経済性」

組み替えると
「安全性>納期>品質>コスト」
と表すこともできる。
人命を扱う業種であれば、この優先度が妥当であろう。

ちなみにJALのサイトにおいて、経済性について触れられていなかった。
参照:基本品質|JAL企業サイト

#3.1 スケジュール・マネジメントの計画

プロジェクトにて、スケジュールがどのようにマネジメントされるかの「ガイダンス」と「方向性」を示す。

#3.2 アクティビティの定義

「計画プロセス」に属し、成果物を作成するための具体的な行動を特定し、文書化する。

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■#3.2.1 要素分解
「WBSの作成」でも使用したツールと技法であり、そこでは「ワークパッケージ」まで分解した。
ここではさらに細分化し、アクティビティ(メンバーが見れば、どんな作業かわかる状態)まで分解する。

アクティビティ

しかし、分解は必須ではなく「ワークパッケージ=アクティビティ」となっても問題ない。
アウトプットである「アクティビティ・リスト」は、アクティビティが網羅された一覧表である。

アクティビティ・リスト

■#3.2.2 ローリング・ウェーブ計画法
PM経験者であれば理解しやすいと思うが、
直近の予定は詳細に」「先の予定は大雑把に」計画する方法である。

ローリング・ウェーブ計画法

これはプロジェクトの特徴である「段階的詳細化」にも繋がっている。
要するに、「詳細化したくても、工程で得られる情報を得ないと詳細化できない(精度が悪い)」のである。

#3.3 アクティビティの順序設定

アクティビティの前後関係を特定し、文書化するプロセスである。

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■#3.3.1 プレシデンス・ダイアグラム法(PDM:Precedence Diagramming Method)
アクティビティを四角いノードで示し、矢印を使って先行・後続を表現する図である。

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#3.4 アクティビティの所要時間見積り

各々のアクティビティの作業期間を見積もるプロセスである。

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■#3.4.1 類推見積り(トップダウン見積り)
類似のアクティビティや過去のプロジェクトデータを用いて、所要期間やコストを見積る技法である。
プロジェクト全体の見積り等、比較的大きい規模の見積りで使用される。
比較的見積もり精度は低いが、過去のアクティビティ・プロジェクトが類似していたり、専門知識を持ったメンバーがいると精度が高くなる。

#3.4.2 パラメトリック見積り係数見積り
#4コストにて解説

■#3.4.3 ボトムアップ見積り
アクティビティごと所要期間・コストを見積りし、合算する技法である。
既存のアクティビティで見積りができない場合、さらに要素分解して見積りする。
他の見積り手法と比較して精度は高いが、時間がかかるというデメリットがある。

■#3.4.4 所要期間見積り
アクティビティを完了するための作業期間見込み数値。
(例:○○の設計に10日)。
リード・ラグは含めず、変動幅を持たせる場合がある。
(例:○○のプログラミングに20日±5日)

#3.5 スケジュールの作成

アクティビティリスト、プロジェクトスケジュールネットワーク図、所要期間見積り等を使い、プロジェクト・スケジュールを作成するプロセスである。

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■#3.5.1 クリティカル・パス法
全工程の中で、最も所要日数がかかる作業群をクリティカル・パスと呼ぶ。
クリティカル・パスの作業が1日遅延すると全工程の完了日も1日遅延する。
よって、クリティカルパスの作業は、進捗状況を特に気にしなければならない。

・#3.5.1.1 アローダイアグラム
作業を矢印で、結合点(ノード)を丸で表す、スケジュール・ネットワーク図である。
点線はダミー作業と呼び、作業期間は0日であるが依存関係があることを表現できる。

・#3.5.1.2 プレシデンス・ダイアグラム法(PDM)
作業をノードで表現したスケジュール・ネットワーク図である。
ADMの矢印を、ノードに置き換えたものである。

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■#3.5.2 クリティカル・チェーン法
各アクティビティの所要時間にバッファーを設けないことが特徴のスケジュール手法。
クリティカルチェーン法では、クリティカルパスを「クリティカル・チェーン」と呼ぶ。
パーキンソンの第1法則である、
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
によってバッファーが枯渇してしまうことを防ぐ意図がある。

・#3.5.2.1 プロジェクト・バッファー
プロジェクト完了日の遅延を防ぐため、クリティカル・チェーンの最後尾に配置する。

・#3.5.2.2 合流バッファー
クリティカル・チェーンの遅延を防ぐため、合流する作業群の末尾に配置する。

クリティカルチェーン

■#3.5.3 スケジュール短縮技法
・#3.5.3.1 クラッシング
資源(基本的には人的資源)を投入し、所要時間を短縮する技法である。
コスト増加を最小限に抑える必要がある。

クラッシング

・#3.5.3.2 ファスト・トラッキング
順序の制約があるアクティビティを細分化し、「できたところから着手」する技法である。

ファストトラッキング

■#3.5.4 スケジュール表現技法
ここまでに紹介した表現以外の技法を紹介する。

・#3.5.4.1 ガント・チャート
縦軸にアクティビティ、横軸に日付を記入し、横棒で予定期間を表現する技法。
実績期間を併記する場合もある。
誰にでもわかりやすく、プロジェクト全体の報告等でよく用いられる。
作業順序・クリティカルパスは記載しないことが多く、項目の粒度も粗いため、現場作業者との細かい認識合わせには使いにくい。

gガントチャートPNG

・#3.5.4.2 マイルストーン・チャート
重要な通過点と日付を、具体的な日付でまとめた表である。
バッファを含めた、デッドラインの日付を記載する場合が多い。

マイルストーン

#3.6 スケジュールのコントロール

プロジェクト全体を通して行う。
スケジュールの現状確認・遅延要因への働きかけ・スケジュール変更の確認/管理を行う。

謝辞

以下利用させていただきました。感謝申し上げます。
いらすとや
XMind

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