雪ネリネ6
荷物をまとめてみると、自分の私物は案外少なくダンボールは半分程度しか埋まらなかった。ただ、その多くない荷物の中に歯ブラシが数本あり、それがいやに目立っている。
ジミンは歯ブラシとか化粧品とか着替えとか、そういった私物を彼の部屋に保管してもいいと言ってくれた。しかし、なんとなく、そうするのは彼の優しさに漬け込みすぎているようで気が引けた。彼と私には超えられない壁があるということを忘れたくなかった。だから私はなるべく彼の部屋に自分の痕跡を残さないように努めていた。
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