雪ネリネ29
逃げるようにしてホテルへやってきたあの夜はずっと涙が止まらなかったのに、今はあまり涙が出ない。あの夜で涙が乾ききったからだろうか、悲しみより怒りが勝っているからだろうか。
あんな風に怒るジミンは初めてだった。驚くと同時に、私の中にずっと存在していた彼にすがりたい気持ちが引き潮のように消えていき、苛立ちと無念さばかりが募った。この1年ほどの私の時間。私がジミンへ捧げた愛と時間は何だったのだろうか。二人で築いたと思っていた関係はこんなにも脆く、あっさりと壊れてしまうのか。
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