聞き方の問題(日記25)
今日は朝4時半に目が覚めた。
日の出とともに、明るくなってゆく部屋のなかで、ぱちっと目が覚めた。
目が覚めたら、なんと同居人氏たちも起きているではないか。
おばあちゃんやおじいちゃんになったような、わが家の朝。
同居人氏1はすでにゲームをやっており、同居人氏2も、早朝だというのにげらげら笑っていた。
謎に朝から元気なわが家のひとたちである。
わたしも、例に漏れず元気だったので、そのままの勢いで散歩に出た。
早朝、5時前の空気はひんやりとしており、気持ちがよい。
まだ新聞配達の方々が、ぶんぶん原付を運転している姿が見られた。
こんな朝早くなら、誰もいないかなと思いきや、そんなことは全くなかった。
早朝にお散歩している方は思いの外多く、すごく歩くのが速い人に抜かされたり、まだ子犬の柴犬、黒柴わんこすとすれ違ったりした。
ご高齢の方も多くて、ゆったりと歩くおじいさんとすれ違うときに、ハリのある声で、
おはよう!
と言われて、おはようございます!と、返すなどした。
朝の挨拶は気持ちのよいものだ。歩くのがゆったりでも、よく通る声のおじいさんだった。
そうして歩いているうちに、もうすぐわが家というところで、ひとりのおばあさんとすれ違った。
淡い色のカーディガンがとってもよくお似合いの、小柄なおばあさんだった。
最初は特に気に留めていなかったのだけれど、どうも、そのおばあさんは、なんだかきょろきょろしている。
曲がり角でないところを何度も覗き込んで、ゆっくり、ゆっくり、歩いていた。
そのまま一度すれ違ったのだけれど、その姿がなんだか気になって、振り返ると、電柱に手をついて、休んでいる。
余計なおせっかいかなあ、と、一瞬逡巡したのだけれど、どうしても気になって、声をかけた。
大丈夫ですか?
と、声をかけてから、しまった、と、反射的に思った。
大丈夫ですか?と問われたら、大丈夫じゃなくても、大丈夫って答えてしまう。
ああ、やってしまった、と思ったら、案の定、
大丈夫です。
と、おばあさんに言われてしまった。
聞き方をまちがえちゃったな、と思いながら、もう一度、別のことばで問いかけ直す。
おうちに戻られるんですか?
と、問いかけると、
おうちはすぐそこなんです。
と、答えてくれた。
お散歩に行かれるんですか?
と、問いかけると、
ええ、ご親切にどうもありがとう。
と、答えてくれた。
それなら大丈夫かなあ、と思って、そうですか、と返して、にこにこ笑い合いながら、おばあさんと別れた。
そうしてわが家に着いて、ゆっくりしていたのだけれど、あのおばあさんのことが、なんとなく気がかりだ。
ほんとうにお散歩だったかなあ、わたしがもう少し聞き方を上手にできれば、よかったのかなあ、と、考えている。
どうかあのおばあさんが、気持ちよくお散歩して、ちゃんとおうちに帰っていますように。
そして、今度こういうことがあったら、まずは、大丈夫ですか?って聞くんじゃなくて、なにかお手伝いできることはありますか?とか、そういう、相手に負担を感じさせないような聞き方、問いかけを、したいな、と思った。
投げ銭?みたいなことなのかな? お金をこの池になげると、わたしがちょっとおいしい牛乳を飲めます。ありがたーい