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課外授業 〜紙工視点〜

2022.09.26
福永紙工さんからDMをいただき、立川のGREEN SPRINGSで行われている「紙工視点」へ。

福永紙工の山田さんには、私がキギに入ったばかりでKIKOFの営業を担当しはじめた時、海外の代理店から契約を持ちかけられ、分からない事だらけで困り果て、山田さんを訪ね、色々教えていただいた事がある。

実はその頃、キギにはデザイナー以外の職種の人がおらず、私は何か分からないことがあると、キギ周りの頼れそうな外部の方を訪ねては、教えを乞うていた。

福永紙工さんに至っては、それまでお仕事の関わりがあったとか、深く交流をさせていただいたていたとか、そういう事でもなく、きっと電話を受けた山田さんは「ハテ?」と首を傾げていたに違いない。

それでも、迷子のような顔をして訪ねた私を快く受け入れ、代理店との契約のことや海外輸出に関するノウハウを教えていただいたばかりか、工場内を案内してくれて、福永紙工さんの取組を紹介して下さった。

その時の感謝の気持ちが前置きを長くしてしまったが…

GREEN  SPRINGS 内、SUPER PAPER MARKET
入口すぐ左が展示スペース。

紙工視点は2018年から始まった取り組みで、ディレクターに岡崎智弘さんを迎え、3人のデザイナーが其々に、紙で出来ることの可能性を探り、プロダクトを作り上げるというもの。

コロナ禍で発表の機会がナカナカ持てず、2回めの開催となる今年のクリエイターは、建築家の大野友資さん、美術家のパーフェクトロンさん、空間デザイナーの五十嵐瑠衣さん の3組。

パシャパシャと写真を撮っていたら、会場にいらした山田祥子さんが気づいて声をかけてくださり、細かくナビゲーションしていただきました。

「プロセスこそがデザイン」と仰るように、3組のクリエイターとの製品化までの試行(思考 / 紙工)の流れが展示されていました。

大野友資さんは、業務用スチールラックから着想された紙のミニラック。いかに強度を出すかと紙の折り込み方が試行され、買ったはいいがこんな綺麗に組み立てられなかった!なんて事がないようにデザインされていました。軽いから、壁にそのまま取り付けられるのも、なるほどなアイデア。
パーフェクトロンさんは、モビールのような吊り下げ型のものを試作している段階で、偶然立体に立ち上がった紙を「生きもの」のように捉えて、天体「カミブリア」と名付けた生物の図鑑。「カミブリア」の進化の過程や生態の特徴がユニークに描かれていて、レプリカが付録でつくという、面白い発想のプロダクト。
五十嵐瑠衣さんは、紙を溶かして又固めてキューブのようなものを形作ったり…を繰り返し、最終的にはいくつも菱形のパーツを組み立てて、出現したのは
鳥!
このパーツは独立しているので、色々に組み合わせて独創的に楽しむ事ができる。いくつものパーツのそれぞれが、異なった紙の材質を使っていて、それは福永紙工さんがパートナーだからこそ出来ること。普通、外注でそんな事をしたら、販売価格が跳ね上がってしまう。

商品化となると、価格の問題だけでなく越えなくちゃいけない壁が増える。
何よりも、アイディアだけでなく、商品化まで持っていっているところが凄いと思った。

福永紙工さんには、構造設計士さんはいるものの、デザイナーはおらず、あくまでデザインを叶えるパートナーとしての役割に徹しているそうだけど、トライを重ねられる環境を提供して、これまで多くのプロダクトやプロジェクトを作り上げてきた事が本当に素晴らしいと思う。

これからもっと「商品を売る」という事が難しくなり、考えていなかくちゃいけないね。と祥子さんとお話し。奇しくも次のOFSでの企画が「ユニークなプロダクト」を紹介する展示だったので、もっともっとお話ししたいことがあったけれど。何も知らずに連れてこられ、ほったらかしにされてた母が退屈し始めていたので、思いを残しつつ会場を後に。

紙工視点」は9月30日(金)までの開催なので、あと僅かですが、是非足を運んでみていただきたい。

GREEN SPRINGS は開放感のある展望デッキが。
めちゃ曇ってたけど、気持ちよかった。


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