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議論する前に心得ておきたい「シンキング・ラダー」という概念【Off Topic Ep118】

宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するPodcast『Off Topic』。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。

#118 議論できる環境の重要性「シンキング・ラダー」』では、タイトルの通り、他者と議論をするうえで知っておきたい思考法と、その重要性について取り上げていく。

意見を分かつ、シンギング・ラダーという「縦軸」

前回配信『#117 「カレント・シングス」の心理』では、ソーシャルメディアユーザーの「最近になって話題を呼んでいる事柄への支持」というアピールをからかうミームとして、“I Support The Current Thing”を紹介した。なぜ、カレント・シングスが起きるのかを検証し、その功罪についても掘り下げた。

カレント・シングスとは、注目を集めているトピックについて人々が意見を語る際に、意見が集団化することによって、その話題を支持することが一般的になった状況を揶揄するものだ。意見を語る人々も、実際にはそこまで話題に詳しくなかったり、現実にはサポートしてないかもしれないが、「とりあえず自分を意思表示をしないといけない」と思うことそのものを皮肉っている。

カレント・シングス化した話題は、その本質を見誤らせたり、支持層が厚くなることで時代における「正解」のように扱われたりするために注意を払わなくてはならない。この動きはインターネットのエコシステムによって、より顕著になってきてもいる。

また、話題になった「当時」は悪しきものとして語られたアイデアが、時を経て(つまり、カレント・シングスではなくなった後で)評価がひっくり返り、良いものとして取り上げられ、イノベーションの源になることもあるのだ。

『#118』はその前段を踏まえ、宮武が講演を聞いて知ったという思考法の「シンキング・ラダー(The Thinking Ladder)」を取り上げていく。講演者は、図解を交えて心理学やビジネスについての長文論考を出す著名ブログ「Wait But Why」で知られるTim Urbanだ。

たとえば、支持政党について語る時、アメリカであれば「民主党か、共和党か」という大きな対立に分かれる。それぞれに主義主張がある両者を「横軸」に並べると、いわゆる「右派/左派」といったように直線上の左右に位置づけることができるだろう。そして、この横軸内にもグラデーションがあり、中心点に近づくほど中庸な立場としてみなせるわけだ。

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