見出し画像

Instagramのリールズ化は、なぜTikTokとの“全面戦争”なのか【Off Topic Ep129】

アメリカを中心に最新テクノロジーやスタートアップビジネス情報を広く深堀しながらご紹介するポッドキャスト『Off Topic』。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再編集したものをお届けする。

今回は「#129 インスタの短尺動画機能に隠されたメタの焦り、ソーシャルメディアの時代は終わったのか?」から、「InstagramのTikTok化」についてのトピックをご紹介する。パーソナリティ・宮武徹郎の「Instagramのリールズ導入が“TikTokとの全面戦争”を意味する」という言葉が、あながと大げさでもないその理由とは?

「TikTok化」へと舵を切るInstagram

移り変わりが激しいSNSにおいて、Instagramは常に大きな存在感を示しているサービスだ。その大きな要因のひとつは、新たに台頭してきたサービスに対抗して類似する新機能を次々と実装してきたことにある。キメラ的に他のサービスを取り込むことでごちゃごちゃしてしまったという声や既存ユーザーからの反発もあるが、DM機能やInstagramショップは成功し、Snapchatに対抗して実装したストーリーズはアメリカのZ世代にも根強い人気を誇る。

そうしたなかで、Instagramにおけるもっとも大きな転換は、2020年にリリースした「リールズ」機能である。競合となるTikTokを明らかに意識した同機能は、直近四半期(2022年4〜6月)において、Instagramのリールズの利用時間は30%増、アプリ利用時間のうち約4分の1程度を占めるなどユーザーに徐々に普及している。

TikTokは2020年と2021年で世界でもっともダウンロードされたアプリであり、Piper Sandler(パイパー・サンドラー)の調査によれば、アメリカの10代の好きなSNSでも1位を獲得している。グローバルの広告売り上げはTwitterとSnapchatの合計を超え、(YouTubeのショーツ導入によって変わるかもしれないが)2年後にはYouTubeの広告売り上げをも超えると目されている。

Piper Sandler Taking Stock with Teens Fall 2022

そうした状況にあって、InstagramがTikTokを意識することは自然な流れではあるのだが、注目すべきは、同サービスがとりわけリールズを非常に高いプライオリティに置いている点である。

写真やフォローしているポストをフィードの中心に据えた、ソーシャルメディアライクな性質をもつInstagramにとって、AIがレコメンドした動画がフォロー/フォロワー関係なくランダムに表示されるリールズは、同サービスがもともと想定してたユースケースとは異なる。にも関わらず、Instagramが「TikTok化」へと舵を切ることは何を意味するのか。

変わる「フィード」の役割

ここから先は

3,171字 / 2画像

スタンダードプラン

¥500 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?