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【スライド公開】オンラインでの適切なユーザーとのコミュニケーションのあり方とは?

自己紹介

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

こちら2020年6月19日のオンラインイベント:「ユーザーコミュニケーション会議 vol.4」で使ったプレゼン、そして使ったスクリプトを公開させていただきます。YouTubeで見たい方は以下リンクにてご覧ください(すみません、何故か埋め込みが出来なかったのでリンクの共有となります)。

https://youtu.be/04KU5ssXsCs

よくあるSNSでのダメな投稿とは

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まず、よくあるSNSでのダメな投稿とはというトピックについてです。

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ここで重要なのは、マーケティングとブランディング、いわゆるユーザーとのコミュニケーションではバリューを与えることが大事です。特にこれから伸びるブランドもそうですが、既存の大手ブランドも同じだと思ってます。

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今回ユニクロの人が参加していたら、申し訳ないんですが、ちょっとユニクロさんの事例を使います。こちら数日前に私がユニクロのTwitterページに行って、最新の10個ほどのツイートをスクショした画像です。こちらで共通しているのは、何か?

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それは、商品を買ってくれと叫んでいることです。

もちろんユニクロさんは認知度が高いですし、既にロイヤルユーザーがいっぱいいるからこそこのような戦略が取れるかもしれませんが、ほとんどのブランドはこのようにSNSを使ってしまうと、恐らくエンゲージしてくれるユーザーはあまりいないです。

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その理由は、SNSとはコミュニケーションする場所で、関係性を作ることだからです。そのコミュニケーションが最終的にお金になるのは間違えないですが、いきなりプロモーションだけしても、ユーザーは興味持ってくれません。それがワークしないから、多くの成功しているブランドはネット・リアルを使っていろんな形で商品以外のバリューをユーザーに提供しています。

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例えばHubspot。Hubspotはすごい有名なブログ・コンテンツをいっぱい公開して、営業のやり方、コンテンツの作り方などをユーザーに教育しています。そういうコンテンツを信頼するユーザーに対して、Hubspotが提供するCRMソフトは信頼できると思う。

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次にスーツケースを売っているAway。彼らは最初から「スーツケースブランド」として認識されたくなくて、「旅行ブランド」として認知されたかった。

そのため、サイトや広告ではそこまで商品の良さや機能を伝えず、逆にそのスーツケースがあることでどれだけ旅行を満足できるかというメッセージングに変えてます。そのため、多くのユーザーはAwayに旅行の質問をしている。その質問に答えるべく、Awayは雑誌や旅行アドバイスをするポッドキャストとかやってます。

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次にPatternというキッチンウェアブランドです。彼らは商品だけではなく、料理自体を楽しませたいため、ユーザーにPatternが選ぶシェフと直接やりとりができるようにして、今ある具材や食べ物でどんな料理ができるかアイデアだししてもらうサービスを作りました。

このように、多くの会社はユーザーを商品だけではなく、別の形でバリューを与えています。

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ただ、そのバリューを与えるには、自分たちのユーザーのデジタル上での生活を理解することが重要だと思っております。

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それは誰がデジタル上のユーザーで、ネットのどこにいるのか、何を話していて、何を信じているのか。それを理解しなければ、そもそもユーザーとの接し方、話し方が理解できません。

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例えばGlossier。Glossierのターゲットユーザーはミレニアル世代で、Instagram好きで、頻繁に話したい、カジュアルなやりとりをしたい人たちです。だからこそ、GlossierはInstagramアカウントを持っていて、そこに実際に毎分平均で6件のDMがユーザーから届いている。そしてGlossierは全て回答しています。

これだけユーザーのコミュニケーションを徹底する会社はなかなかいませんが、そのおかげでGlossierが大好きなコアファンが作られています。

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こちらはVerbというエナジードリンクの会社です。VerbとはSMS・テキストでやりとりが出来るんですが、その中で犬の写真を送りあったりする人たちもいます。いわゆる、ブランドを友達感覚として扱っているユーザーがいるということです。

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こちらはRecessというCBDブランドです。Recessはいくつかドリンクの味を用意してますが、各ドリンク・商品が性格を持って、話し合ったらどういう会話になるかをInstagramでチャット風に投稿しています。この投稿ではユーザーが購入まで至るものではないかもしれないですが、ブランドのロイヤリティーや満足度が上がる可能性はあります。

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こちらはまたまたGlossierですが、Glossierは自社のアルファベットまで持っているとInstagramで公開しています。やはりこれも、ユーザーとの共通の言語を作ることで、ユーザーとの密度を上げる施策かなと。

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ここで重要なポイントなのは、こういう施策をコピペしたから自分のブランドがうまくいくのかと言ったら、そうでもないこと。結局各ブランドは自社の性格、それは創業者から雇う従業員から、プロダクトから、様々な面で、「自分のブランドの本来の性格は?」という質問を聞かなければいけないです。

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それを私の中では、ブランドの「人間化」と呼んでいます。特に今の世代ですと、新しいブランドがあっちこっち立ち上がっている中で、プロダクトだけでは勝てなくなっています。コアユーザーやサブカルに寄せて、ブランドとして何を信じているか、何を感じているか、何を思っているかをいろんな形でユーザーに表現して、ユーザーと話し合わないといけない時代になっています。

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その中でも少し面白い事例はAllbirdsという靴屋さん。今年日本でも店舗をオープンしましたが、1,000億円以上のアメリカのスタートアップです。

彼らはNew York Timesでこちらの広告を出してますが、内容は絶滅危惧種の鳥についてキャンペーンを出しています。特に彼らがダイレクトにインパクトしていませんが、環境問題に対してソリューションを提供したいと思っているブランドなので、お金を払ってまでもこんな広告を出した。

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そしてそれはスタートアップだけではなく、大手ブランドもやってます。こちらはナイキの広告。ナイキはアメリカの警察が黒人への差別をしていると感じているアメフト選手を広告に起用した。「何かを信じろ。たとえそれで全てが犠牲になるとしても」と言うメッセージ。

これを見た一部のアメリカ人はこのアメフト選手がやっていることが間違えだと思い、ナイキからは絶対買わないと誓う人や、ナイキの靴を燃やす人まで出てきた。でもナイキはこの広告を下ろすことなく、そのまま起用しました。

全員には自分のブランドは受け入れられなくても、より自分のブランドの思い、信じていることを前に出すと共感してくれるファンがついてきて、よりブランド信者になってくれる。それが最終的にはより高い売上に繋がることをナイキも理解している。

このブランドの人間性というのは今後どのリテールブランドも必要となると思います。

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ブランドの性格を表現するためには、ストーリーを伝えなければいけません。

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それはレジェンドへの敬意を表すストーリーだったり、

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新しいアイデアを表現するストーリーだったり、

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自分のブランドがどういう人に使ってもらいたいかを表現するストーリーだったり。

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プロダクトの機能を感情的に表すストーリーだったり。

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各ブランドは、自分たちの性格と、それに合わせたストーリーを考えなければいけないです。

その性格を作り上げるには、対照的っぽい表現を二つ組み合わせると良いと思います。Casperだと「pioneering」と「lovable」。Uberの初期はプレミアムでも面白い。

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ただ、面白いストーリーを伝えるだけではなく、それが最終的にはプロダクトと合わないといけません。

例えばAllbirdsの場合ですと、こちらの画像でも見えるように、環境問題に関する表現の仕方を木や自然のもので表しています。ただ、それだけではなく、プロダクト自体も環境に悪いゴムを使わず、ウールを使ったり、環境に優しい商品を作っているからこそ、環境に対してのストーリーを語れるようになる。

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次に、どこでそのストーリーを伝えるか。多くのビジネスはInstagramアカウントやTwitterアカウントなど、立ち上げがちだが、正しい回答は、ユーザーがいる場所に行くこと。実際にGlossierの方がインタビューで言ってたのは、GlossierはInstagramをユーザーとのメインコミュニケーションチャネルとして選んだのは、単純にコアユーザーがInstagarmを最も使っていたから。

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それが例えばオフラインだった場合、どうするべきなのか?オンラインにできるのか?特に今のコロナの状況では、ユーザーとのコミュニケーションをオンライン化する需要が出ていますが、実際にそれをやっているブランドがいます。

こちらTracksmithというランニング系のブランドですが、彼らはユーザーがお互いランニンングに関してのアドバイス(服装、トレーニング方法)などを共有できるSlackを立ち上げています。これはユーザーが直接ブランドと話すだけではなく、お互いコミュニケーションできるのが重要です。

なぜなら、ほとんどのユーザーが別にブランドと話したくないから。ただ、同じ考えの人たちと繋がりたい需要はある。

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このようにコミュニティー作りはどうやるべきか?いくつかこちらにアドバイスとしてVCのFirst Round Capitalがあげてます。こちらはコロナ中でのオンラインコミュニティーの始め方のアドバイスですね。

ここで大事なのはコミュニティーは一気に広がるものでもないですし、一発目で成功するわけではないです。いろいろフォーマットやコミュニケーション方法を試しながら、どういう反応がベストかを探るのが重要ということです。

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このコミュニティーというコンセプト自体は今すごいアメリカではキーワードになっています。何百人のアメリカ起業家が調査されたときに、多くの人はコミュニティー作りにフォーカスしたいと言ってました。それは、コミュニティーが今後自社ブランドにとって重要な競合優位性になるから。結局デザインや商品はコピーできてしまう。

AmazonもAllbirdsの商品をほぼ完コピした時もありましたが、allbirdsのユーザーは離れなかった理由は、ブランド・Allbirdsコミュニティーがあったからと言っても良いと思います。

意外に重要なメールでのコミュニケーション

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これまでいくつかマーケティングの事例を見ましたけど、その中でも今日フォーカスしたいのはメールです。

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意外と多くの会社は放置しがちですが、メールは最もユーザーと直接話す頻度の高いコミュニケーション手法です。そこを見てない会社は、かなりの機会損失をしていると思います。今日はそんな中、良いメール事例を紹介します。C向けに偏ってますが、似たようなことをBでも出来ると思ってます。

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まず、こちらhydrantというエナジーパウダーです(いわゆるポカリのパウダー版と同じです)。こちらは購入前に、ユーザーがサイトにてメアドを登録した際にhydrantが送るメッセです。

興味があるが、購入まで至らない。その場合は、購入をすごくプッシュするのではなく、まず商品をもっと理解してもらうと教育コンテンツを出しているのがうまいと思います。

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そしてこちらは同じブランドで、初めて購入した後のメールです。まず読みやすい。で事案的に、スペースの分け方がうまいです。さらに上の方のドアマットは実はGIFになっているので、商品が届いたように見える。そして商品が届く前に、プロダクトをどう使うべきかをサマってくれているので、すぐに使える状態にしている。

多くのブランドがこの購入後のメールでは「ありがとうございます」だけを送りがちですが、ここもユーザーとのタッチポイントと忘れないようにするのが大事です。各タッチポイントでユーザーに何かしらのバリューを与えるのを心がけるのが大事です。

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こちら別のブランドでCBD系の商品を売っているfealsです。こちらも購入後のメールですが、彼らのすごいところは買った商品のFAQを送っていること。

ブランドやいろんな商品の情報だけではなく、ユーザーが最も気になる買った商品のコンテンツを提供することによって、ユーザーにその商品の良さをもっと知ってもらえる。

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こちらはfealsが普通に送っているメール例です。彼らの多くのメールは商品を売るためのメールがメインではなく、ユーザーのためになるものを提供しています。こちらの場合はユーザーをリラックスさせるための瞑想ガイドを用意しています。

もちろん後ほど小さく商品情報を記載してますが、重要なのはこの瞑想ガイドでユーザーを喜ばせること。そしてfealsはCBD系のサービスなので、リラックスさせるブランドなので、このメッセージは合う。

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次にスキンケアブランドのBlumeです。こちらも購入後のメールですが、Blumeは会社のビジョンや思いを共有しています。

一切商品のことを触れず、単純にユーザーを彼らの世界観へ引っ張ろうとしているメールです。もちろん一部の人たちはこれを見てすぐに消すかもしれないですが、重要なのは全員にアピールするのではなく、特定のコアユーザーへアピールすること。

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今までは少しデザインがこったメール事例でしたが、シンプルなものでも効果的なメールはあります。こちらはTenzoというお茶のブランドで、購入した後に送るメールです。

Tenzoを使ったレシピを簡単に説明することによって、ユーザーがTenzoをちゃんと使ってくれるようにしている。

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次はBambu Earthというスキンケア商品。こちらコロナの最中に出したメールで、創業者が自ら動画をとって、ユーザーに直接話すメールを送った。その中では、ストレートに、配送が間に合わないかもしれないなどを言った。

そのストレートさをユーザーが心を打たれて、結果としてこの一本のメールがかなりの売上につながった。

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こういうメールを作るには、ちゃんとしたメールフローを準備する必要があります。

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例えば、先ほど話したBambu Earthですが、彼らのサイトに行くと、パーソナライズされたスキンケアクイズを受けられます。

それを受けた人たちに対して、それ専用のメールフローを作っている。

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そのメールフローはこちらです。ちょっと早くて読みにくいですが、11日間連続にメールが送られる設定にしていて、クイズの回答によってフローが途中で変わったりしています。

こちら平均開封率が43%で、15日目のCTRが15%と、割と良い数字を出している。

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こう言ったメールフローはいろんな会社が提供していますが、中でも有名なのはKlaviyoとかです。

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そして最後のパートに移る前に、もう一度覚えてもらいたいのは、バリューを与えてください。

かっこいいデザイン・面白いコンテンツだけではバリューではないです。それが上手くブランド、プロダクトなどと繋がっているかを考えるのが重要です。

なぜ海外企業はSNSやメールマーケティングにそれなりに投資をするのか

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最後に、何故アメリカ企業はこう言ったことに投資をするのかという話です。

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多くの人から、広告のROIは分かるが、メルマガ、TikTok、Twitter、抽選、ブログ、メールのROIはなんだ?と聞かれることがあります。

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その人たちに聞きたいのは、「あなたにとって親のROIとはなんですか?」です。

例えば私ですと親にアメリカの大学に行かせてもらったり、金額的に測れるものがあるものの、親との会話や家族内でのコミュニケーション、育てられ方が今の自分を作っています。ただ、母と会話Aを5歳でやったら、今のこのプレゼンにつながったとは言えないですよね。

それと同じようにSNSやマーケティング、ユーザーとのコミュニケーションを考えなければいけない。そして多くのアメリカの会社はそれを理解している。

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もちろん数字は大事だと思います。結果が全てもあると思ってます。ただ、人とのやりとりをする上では、まず顧客、人とのやりとりを考えなければいけないと思ってます。

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USのブランドが理解しているのは、ロイヤリティー、いわゆるLTVが全てだと。コアファンを作ると、お金を使ってくれる、離れない、一緒についてくれる。それには商品を売るだけではなく、同じ世界観だと証明する、ブランドとして信じていることをユーザーが共感してくれるようにならないといけない。

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その中で、今アメリカではユーザーリテンションにフォーカスしているブランドが多い(特にD2Cでは)。

ユーザーリテンションを改善する際には、まずは全てのユーザーとのタッチポイントを見なければいけないです。それは検索、配送、メール、SNS、広告、全ての体験が対象となります。

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その一つ一つのユーザー体験の監査をするのが重要だと思ってます。本当に一貫したメッセージングを提供しているのか、購入後のフローはどうなのか?などですね。

こちらはいくつかユーザーリテンション監査項目と呼べるものを記載しました。実際は、この倍以上の項目があると思いますが、これは良い初期リストになるかなと思います。

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結局、コミュニケーションとは全体のユーザー体験を考えることです。これは単純にかっこいいロゴや、ミレニアルピンクを使った広告、san serifのフォントの話ではないです。

各ユーザーのタッチポイントを理解して、最大限に満足させているのか、バリューを与えているのかを検証することによって、ユーザーのリテンションが上がると思ってます。

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例えば箱開け体験。こちらドッグフードのスタートアップのSundays。箱を開けると箱の裏にちょっと面白目のメッセージ、ステッカーなどが見える。そして特に面白いのは嘘の新聞を入れている。彼らは「犬に読ませる新聞」とちょっとふざけたブランディングをしている。箱を綺麗なデザインで情報量やフォントもめちゃくちゃ考えている。

特にオンラインで何かを売ると、必ず一つのタッチポイントはこの箱開け体験。

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店舗も体験となっています。Glossierがまさにそれを強調している会社だと思います。Glossierは「どこでも試せる」店舗を作っているので、ニューヨーク店舗では女子トイレ風なエリアがあって、そこで多くのユーザーはGlossierのメイクを試しています。

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これはLemonadeという保険スタートアップです。ユーザーに誕生日メッセージをツイッターで送って、それに対してユーザーが反応した際に、個別でケーキを送った。

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小さく、スケールできない風に見えるかもしれないが、これでこのユーザー、そして彼の友達や同僚はLemonadeのファンになる。

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これは単純に人に物を無料であげるだけではないことを理解してほしい。

これは立派な戦略で、最終的によりお金儲けできる仕組みだと個人的に信じているので事例を挙げてました。

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ただ、一つ注意事項を出すとすると、こういう施策はどんどん進化すること。マーケターはお互いコピーし合うので、今特別な体験が後々普通になる。

例えば、最初に無料配送をやってた会社たちに対して、めちゃくちゃオーダーが増えたが、今だとそれがもう普通になっている。言おうとしていることは、今話している戦略はいつまで続くかは分からないので、常に新しい体験を考えなければいけないということです。

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Presentation by Tetsuro (@tmiyatake1) | Edited by Miki (@mikirepo)



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